語尾を濁すような独自の口調で語られるモノローグ(ナレーション)を多用した脚本で著名(ただし、『前略おふくろ様』で初めて取り入れた手法であり、それ以前には用いていなかった[注 5])。
また、映像や音楽(BGM)まで想定した脚本を書くため、しばしば演出家や映画監督に脚本の改変を禁止することもある。もっとも、倉本自身は台本よりもよい表現方法をしてくれたときには「そっちの方がいい!そのように変えてください」と諸手を挙げて賛成するとしており、「語尾の一字一句も直すと怒ると変な噂を立てられたのは全く以て心外」と述べている[45][注 6]。
『うちのホンカン』、『北の国から』の初期や、映画『ブルークリスマス』では、(未知の知的生命体のものとしての)UFOが登場する描写がある。また、『火の用心』の登場人物の一人が超能力を持つなどの描写がある。『北の国から』にUFOを出したことについて、倉本は移住当時北海道でUFOを目撃したという騒ぎがよくあったことと、科学で割りきれないものやメルヘンやファンタジーを大切にしたいという思いが背景にあったことを述べている[46]。
脚本家の山田太一は、刺激を受けた同業者として向田邦子と田向正健、倉本の名を挙げた[47]。また、倉本作品の魅力のひとつは「間がいい」点だと評している[48]。
受賞歴
ゴールデンアロー賞(1976年、『前略おふくろ様』)
毎日芸術賞(1976年、『前略おふくろ様』)
昭和51年度(第27回)芸術選奨文部大臣賞(1976年、『前略おふくろ様』)
山本有三記念路傍の石文学賞(1982年、『北の国から』小説版)
山路ふみ子文化財団特別賞(1986年)
小学館文学賞(1987年、『北の国から '87初恋』小説版)
紫綬褒章(2000年)
第21回向田邦子賞(2002年、『北の国から 2002遺言』)
第56回北海道新聞文化賞特別賞(2002年)[49]
旭日小綬章(2010年)[50]
第55回ギャラクシー賞 放送批評懇談会55周年紀念賞(2018年)[51]
主な作品
テレビドラマ
『パパ起きて頂だい』(1959年、日本テレビ系)
『教授と次男坊』(1961年、日本テレビ系)
『現代っ子』(1963年、日本テレビ系)
『0戦はやと』(アニメ、1964年、フジテレビ系)※主題歌の作詞も担当。
『チコといっしょに』(1965年、日本テレビ系)※演出:矢追純一
『勝海舟』(1965年、毎日放送制作・NET系)
『青春とはなんだ』(1965年、日本テレビ系)
『千姫』(1966年、毎日放送制作・NET系)
『これが青春だ』(1966年、日本テレビ系)
『文五捕物絵図』(1967年、NHK)
『太陽野郎』(1967年、日本テレビ系)
『颱風とざくろ』(1969年、日本テレビ系)※演出:藤田繁矢(藤田敏八)
『わが青春のとき』(1970年、日本テレビ系)
『君は海を見たか』(1970年、日本テレビ系)
『砂の城』(1970年、NHK)
『2丁目3番地』(1971年、日本テレビ系)
東芝日曜劇場(TBS系)
第772回『おりょう』(1971年、中部日本放送)※昭和47年日本民間放送連盟賞 番組部門(テレビ娯楽) 最優秀賞
第790回『風船のあがる時』(1972年、北海道放送)※昭和47年日本民間放送連盟賞 番組部門(テレビ娯楽) 優秀賞
第802回『平戸にて』(1972年、RKB毎日放送)
第828回『父(とん)ちゃん』(1972年)
第829回『田園交響楽』(1972年、北海道放送)
第848回『祇園花見小路』(1973年、中部日本放送)※昭和48年日本民間放送連盟賞 番組部門(テレビ娯楽) 最優秀賞
第877回『ばんえい』(1973年、北海道放送)
第888回『聖夜』(1973年、北海道放送)
第926回『りんりんと』(1974年、北海道放送)
第947回『ああ!新世界』(1975年、北海道放送)
『うちのホンカン』シリーズ(1975年 - 1981年、北海道放送)
第1000回『幻の町』(1976年、北海道放送)
第1040回『ひとり』(1976年、北海道放送)
第1092回『時計』(1977年、北海道放送)
第1131回『スパイスの秋』(1978年、北海道放送)
第1183回・第1184回『遠い絵本』(1979年、北海道放送)
第1460回『遅れてきたサンタ』(1984年、北海道放送)
『挽歌』(1971年、NHK)
『赤ひげ』(1972年、NHK)
『ぜんまい仕掛けの柱時計』(1972年、NHK)※昭和47年度(第27回)文化庁芸術祭賞 テレビ部門(ドラマの部) 優秀賞
火曜日の女『ガラス細工の家』(1973年、日本テレビ系)
『白い影』(1973年、TBS系)
『ぶらり信兵衛 道場破り』(1973年、フジテレビ系)
大河ドラマ『勝海舟』(1974年、NHK)
『6羽のかもめ』(1974年 - 1975年、フジテレビ系)※石川俊子名義。『勝海舟』でのNHKとの確執から、別人名義とした。
『あなただけ今晩は』(1975年、フジテレビ系)
『前略おふくろ様』(1975年 - 1976年、日本テレビ系)
『大都会 闘いの日々』(1976年、日本テレビ系)
『あにき』(1977年、TBS系)
『七人の刑事』第23話(1978年、TBS系)
『坂部ぎんさんを探して下さい