平成19年度税制改正により、新信託法に対応するため税制が拡充・整備された。以下では、当該改正前の税制を解説した後、改正点を解説する。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}
が望まれています。信託は法人格を持たず、受益者に所得を分配する導管にすぎないため、法人税を課する必要性を欠く(信託導管論)。そこで、信託自体に法人税は課されず、受益者が直接信託財産を保有しているものとみなして、収益発生時に受益者[注釈 8]に所得税等を課税することを原則とする(法人税法12条、発生時受益者課税の原則。これは民法上の組合と同様である)。
ただし、合同運用信託など同条但書に列挙されている類型の信託については、受益者が多数に上るといった事情があるため、収益受領時に受益者に課税することとされる(受領時受益者課税)。また、特定目的信託などについては信託段階で法人とみなして課税(法人課税)する一方で、一定の要件を満たす場合に支払分配金を損金に算入することを認め、二重課税を回避する(これは特定目的会社や投資信託、投資法人と同様である)。 新信託法により受益証券発行信託などの新たな類型の信託が創設されたこと、それに伴い租税回避を防止する必要が生じたことにより、概略以下のような改正が行われた[13][14]。 英米法(エクイティ)に基礎を置くアメリカ合衆国では信託は重要な法的手段で、トラスト(trust)と呼び、委託者(settlorまたはgrantor)、受託者(trustee)、受益者(beneficiary)の三者で構成され、委託者が一種の法人である信託に移転した財産を受託者が受益者の利益のために管理することをいう[15]。 アメリカ合衆国には目的や用途が異なるトラストが数多くあるが、これらは設定後に撤回・変更できる撤回可能信託(Revocable Trust: RT)と、設定後には撤回・変更できない撤回不能信託 (Irrevocable Trust: IT)に大別される[15]、州ごとの法制度の違いによるトラストへの課税や存続可能期間に違いがある[15]。ただし撤回不能信託でも、受益者の同意があれば(委託者が)撤回・変更可能である。 アメリカ合衆国の中流以上の階層では、相続を円滑に行うことを目的とした「生前信託(living trust)」を作成することが一般的であり、遺言(will)、事前医療措置指示書(advanced medical instructions)、(自己判断不能事態に陥った場合の)継続委任状(durable power of attorney)[16]とセットで「相続対策(estate planning)」として生前に用意することが推奨されている。以下に典型的な例を基に生前信託の概要を述べる。 正常な判断能力を有する単身者または夫婦は自分(達)を委託者とし、相続させたい子孫や近親者或いはその他の者を受益者として、自らを受託者とする信託を作成する。夫婦の場合、委託者と受託者は夫婦の共同名義である。信託は撤回可能信託とし、委託者である本人(夫婦の場合は夫婦のどちらか)が生存中はいつでも撤回・変更が可能である。信託中には、遺産の分配先、分配方法、分配条件などをできるだけ詳細に記す。分配先は現存する人物(子・孫)に限らず、将来の人物(例:××の子で委託者の死亡時に存在するもの)や寄付先を当てることもあるし、また「満25歳に達するまでは必要な生活費のみ、既に満25歳に達しているか満25歳に達した後は全額」などの時間的条件を付けることも一般的である。また、例えば分配先の続柄として「子」を指定するなら、「子」には養子として迎えたもの、養子として他所に出て行ったもの、非嫡出子・婚外子・胎児などを含めるかどうかの定義や、もし委託者が夫婦の場合どちらが先に死んだかで分配形態が異なるなら、例えば「夫婦両人が30日以内に死亡した場合或いは30日以内に行方が不明となって死亡宣告が成された場合は夫婦はは同時に死亡したとみなして、この信託で遺贈される資産の半分を夫が後に死亡した場合の分配方法で、残り半分を妻が後に死亡した場合の分配方法で…」のような死のあとさきの定義、胎児を分配先に含めるなら「後から死亡した委託者の死後300日以内に出生した者、ただし出生後180日以内に死亡した者を含まない」のように、後日論議を呼びそうな事柄をできるだけ排除するために詳細な定義を書き込む。 委託者兼受託者の信託作成者(夫婦の場合両方)が死んでしまうと受託者がいなくなってしまうので、委託者兼受託者の死後に受託者の地位を承継する「承継受託者(successor trustee)」を予め信託中に指名しておく。承継受託者には多くの場合信頼できる近親者或いは弁護士や銀行や証券会社などの信託部門などを指名し、また委託者兼原受託者の死亡を以て撤回可能から撤回不能信託に変性することを信託中に明記するので、信託作成・委託者(達)の死後は誰も信託を撤回・変更できなくなる。承継受託者には適切な報酬が払われることは一般的である。 信託証書に定められた書式は存在せず、また日本の公正証書遺言などとは異なり、生前信託は公的機関に提出などせずに、作成するだけで効力を持ち、通常はノタリー・パブリックの面前で正常な判断能力を有する委託者が自分の自由意志で署名したことをノタリー・パブリックが証明するスタンプを原本に押して委託者兼受託者の信託作成者本人が保管し、写し・控えを弁護士などの介助者と承継受託者が保管し、委託者の死後に受益者が原本を基に自己の権利を主張するために使う。 信託作成者(委託者)は、信託に実効性を持たせるために以下の名義を信託に変更する。 不動産の名義変更を共有(community propertyまたはjoint tenancy with right of survivorship=JTWROS)から信託への変更は実質所有者に変化がないので譲渡には当たらず、郡の登記局に払う数十ドル程度の手数料で済む。夫婦共有(JTWROS)の金融資産口座は問題ないが、IRA(個人退職資金口座)は個人名義であり多くの州では配偶者以外を優先受益者(primary beneficiary)に指名することには当該配偶者の同意が必要などの制限があるので、既婚者の場合は信託は劣後受益者(contingent beneficiary)に指定することが多い。また銀行などの預金口座は通常、信託を相続人として認めないので、死後支払い受益者(payable on death (POD) beneficiary)として個人を指定する。 信託の作成者(委託者)の生前は委託者は受託者を兼ねているので、信託中の自分(達)の財産の管理を自分(達)自身に委託している形になり、委託者兼受託者は信託中の財産をいかようにも管理・処分でき、信託の存在は実質何も影響しない。しかし委託者(夫婦で信託の場合は夫婦両人)が死ぬと、信託中の定めにより信託は撤回・変更不能になり、信託で指名された承継受託者が受益者の利益のために信託の指示に従って信託中の財産を管理・処分することになる。
平成19年度税制改正
受益証券発行信託 - 原則として法人課税、一定の要件を満たすものは受領時受益者課税
受益者等(受益者としての権利を現に有する受益者及びみなし受益者(信託の変更権限を現に有し、かつ、その信託財産の給付を受けることとされている者)のこと)の存在しない信託 - 法人課税、信託の設定時に受贈益課税。一定の場合は相続税・贈与税をも課税。
受益者連続型信託等 - 設定時および受益権の移転時にそれぞれ遺贈または贈与があったものとみなして相続税または贈与税を課税
一定の事業信託等 - 法人課税
アメリカ合衆国における信託
生前信託
居住している不動産の名義(title)
証券口座などの金融資産の死後移転受益者(transferable on death (TOD) beneficiary、相続人)
同時に作成する遺言に「自分の死後は『ジョン・スミス信託』に全財産を遺贈する」と記す。既婚者の遺言では「自分の死後は配偶者××に全財産を遺贈する。ただし配偶者なき場合は全財産をジョン・スミス=ベティ・スミス家族信託に遺贈する」と記すことが多い。