佐藤慶
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4時間半にわたる長尺のドキュメンタリーを劇場公開して話題になった映画『東京裁判』でも単独でナレーターをつとめている。

1981年には『白日夢』で武智鉄二監督の演出のもと愛染恭子本番行為を行い、一躍話題になった[1]

1980年代から1990年代中盤頃にかけては「卒業」などテレビドラマを中心に主人公の厳格な父親役を数多く演じ、その重厚な演技が人気を博した。

2000年以降も体調をみながら仕事を続け、2004年に衛星劇場より配給製作された短編オムニバスホラー映画『日常恐怖劇場・オモヒノタマ?念珠 七ノ珠 ECHOES』では主演級の老人役も演じきった。

体調面も含め、80歳を超えてからは仕事を控えるようになっていた。2010年5月2日午後4時19分、肺炎のため都内の病院で死去した[3]。81歳没。亡くなる前年の2009年に公開された映画『カイジ 人生逆転ゲーム』(2008年11月撮影)が遺作となり、貫禄のある役を最後まで演じきった。佐藤の死去の報を受けて、市川森一脚本家)、仲代達矢(俳優)など演劇関係者が追悼のコメントを発している[4][5]。生涯で出演した映画は、190本に上る[1]
人物
役者業について

本人は生前、「常識的な役にはあまり魅力を感じません。犯罪者とか権力者の方が食指が動きますね」と語っていた。別の時には、「善人ってのには興味がないんですね。全然つまんない。ワルの方が面白い」とも語っていた[1]。また、「どうして役者をやっているかを一言で言えば、“人間とは何か?”ということを突き詰めて表現したいと思っているからです」と語っていたという[1]

70歳を迎えた頃に「今の夢は?」と聞かれた際、「徹底的なワルがやりたい。誰かそういう脚本を書いてくれないかなあ」と答えたという[1]

崔洋一からは、「佐藤さんは勉強家で役柄に対する理解力が高い。その一方で時に予想のつかない演技になることもある。作り手側に新たな想像力を湧かせる怪優でした」と評されている[1]
ガリ版

子供の頃からガリ版(謄写版)に文字を刻むことが得意だった。小学生の頃から古いガリ版を使って、時間割表をガリ版刷り[注釈 1]して友達に配っていた[1]。俳優座時代はこのガリ版刷りの腕を買われ、所属役者の名簿、授業で使うテキストや案内状、滞納した授業料の督促状まてガリ版で作っていた[1]。本人は下積み時代の生計を支えてくれたガリ版への感謝を忘れず、有名になってからもガリ版用具を大切に保管していた[1]

生前、ガリ版で制作した印刷物は全てファイリングして保存していた[1]。愛用の謄写器は使うたびに磨いていたため、後年になっても新品のようにピカピカだった[1]。また、出演した映画、舞台、テレビの全作品を年代別に整然とした字でノートに記していた[1]

ガリ版印刷の保存運動をする中央印刷(山形市)がダメ元で佐藤に手紙を出したところ、謄写器や本人の印刷物のいくつかが寄贈され[1]、同社が運営する山形謄写印刷資料館に対してもコメントが寄せられた[6]
その他

月刊誌『噂の真相』を愛読しており、創刊準備号から最終号まで1号も欠かさず読みつづけたという。

ダジャレ好きで、古村比呂によると「チョッちゃん」で主人公の父親役を演じた(この時も厳格な役柄)際には、臨終の撮影シーンでもカメラが回る直前にダジャレを連発、共演者が笑いすぎて撮影にならなくなったこともあったといい、容貌や役柄からくる厳格なイメージとは異なる、意外な茶目っ気も持ち合わせていた。

かなりの酒豪でもあり、ベロベロに酔った状態で撮影所に現れることもよくあったが本番ではちゃんと演技ができていたという。共演者・スタッフからは、フランケンシュタインのような見た目から“ベロンケンシュタイン”と呼ばれていた[1][注釈 2]

1981年の映画「白日夢」での愛染恭子との性交シーンでは、スタッフ30人ほどが見守る中で6時間かけて撮影が行われ、愛染に勃起させてもらって何とか演技を終えた[1][注釈 3]
出演
映画

人間の條件 第3部(1959年、松竹) - 新城一等兵

青春残酷物語(1960年、松竹) - 松木明

波の塔(1960年、松竹) - 柴木一郎

太陽の墓場(1960年、松竹) - 坂口

日本の夜と霧(1960年、松竹) - 坂巻

地獄の饗宴(1961年、東宝) - ポパイ

切腹(1962年、松竹) - 福島正勝

おとし穴(1962年、ATG) - 記者

人間(1962年、近代映画協会) - 八蔵

武士道残酷物語(1963年、東映) - 近藤三郎兵衛

新選組血風録 近藤勇(1963年、東映)

真田風雲録(1963年、東映) - 大野修理亮治長

(1963年、近代映画協会) - 鯉口博士

おかしな奴(1963年、東映) - しゃもじ

集団奉行所破り(1964年、東映) - 竹内金次郎

越後つついし親不知(1964年、東映) - 佐藤

鬼婆(1964年、近代映画協会) - 八

宮本武蔵 一乗寺の決斗(1964年、東映) - 太田黒兵助

人生劇場 新・飛車角(1964年、東映)

忍者狩り(1964年、東映) - 永長八右衛門

徳川家康(1965年、東映) - 奥山伝心

いれずみ判官(1965年、東映) - 鳥居甲斐守

怪談(1965年、東宝)- 平内の家来[7]

冷飯とおさんとちゃん(1965年、東映) - 辰造

悪名幟(1965年、大映

剣鬼 (1965年、大映)

悦楽(1965年、創造社) - 刑事

異聞猿飛佐助 (1965年、松竹)

刺青(1966年、大映) - 芹沢

大菩薩峠(1966年、宝塚映画) - 芹沢鴨

座頭市の歌が聞える(1966年、大映) - 板鼻の権造

白昼の通り魔(1966年、松竹) - 小山田英介

陸軍中野学校 雲一号指令(1966年、大映) - 西田大尉

地獄の掟に明日はない(1966年、東映)

あかね雲(1967年、松竹) - 猪股久八郎

無理心中 日本の夏 (1967年、創造社)

絞死刑(1968年、ATG) - 拘置所所長

女と味噌汁(1968年、東宝) - 村田勉

藪の中の黒猫(1968年、近代映画協会) - 頼光

日本の青春(1968年、東宝) - 鈴木武則

帰って来たヨッパライ(1968年、松竹) - 青年

昭和のいのち(1968年、日活

新宿泥棒日記(1969年、ATG) - 俳優佐藤慶氏

鬼の棲む館(1969年、大映)

四谷怪談 お岩の亡霊(1969年、大映) - 民谷伊右衛門

弾痕(1969年、東宝


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