ミステリー、SF、純文学、青春小説、私小説といった多くの要素を内包・縦断する作風が特徴である。
純文学・大衆文学を問わない様々な小説、ロック音楽や漫画・アニメ・ゲームといったサブカルチャーなどさまざまな意匠を戯画・パロディ的に用いる。また、先行作品を参考・下敷きにしてオマージュ的に作品を執筆することが多く、『鏡家サーガ』はJ・D・サリンジャーの『グラース・サーガ』、『1000の小説とバックベアード』は高橋源一郎の『日本文学盛衰史』、『デンデラ』は柳田国男『遠野物語』、深沢七郎『楢山節考』、吉村昭『羆嵐』などへのオマージュとして執筆された。
佐藤の原風景である北海道は頻繁に作品の舞台となり、「閑散とした息苦しい地方都市」「灰色の町」として描写される。また、置かれた状況に対しての憤り、憎悪、鬱屈、焦燥、葛藤といった苦悩を生々しく描写する語り手を主人公に据えることが多い。主人公は物事や事件、環境に自ら狂いながらも抵抗していく。これらの舞台設定や語り手の心象、物語の筋といったものは、佐藤自身が置かれている実際の状況や、昔の経験などが少なからず反映されており、私小説的な筆致であると言える(「北海道の地方都市で、無為の日々を過ごすフリーター」の語り手を描いた『水没ピアノ』、「作家としてデビュー、上京するも執筆活動が思うように進まない」といった主人公を描いた『世界の終わりの終わり』など)。
メフィスト賞で同時期にデビューし、交友関係もあった舞城王太郎や西尾維新と比較されることが多く、シニカルで刺々しい作風や自虐的な発言から、今までの文学の流れを無視した若い世代の書き手とされるが、実際は大江健三郎や中上健次といった「王道」が大好きだという(「活字倶楽部」2005年春 インタビュー参照)。
影響を受けた作家にJ・D・サリンジャー、中上健次、高橋源一郎、上遠野浩平、浦賀和宏などを挙げている。また、佐藤の影響を受けたと公言する作家に、森田季節、小柳粒男、鏡征爾、斜線堂有紀などがいる。 妻は小説家の島本理生。2006年末に結婚、一度離婚を経て、2010年末に復縁し再婚した[6]。 デビュー作の『フリッカー式』をメフィスト賞に投稿した際はまだ19歳であったため、『メフィスト』の座談会では「戦慄の十九歳」と呼ばれていた。 「ユヤタン」という愛称で呼ばれており、このことは佐藤本人も知っている(『ファウスト』Vol.1エッセイ参照)。 出身地北海道の放送局HTB製作のバラエティー番組『水曜どうでしょう』のファン。同番組の企画の一つ「東京ウォーカー」を真似し東京を歩き続けた結果、ひどい筋肉痛で3日間、動けなくなったという逸話を持つ。 ギターやロック音楽が趣味であり、出版関係者と共にバンドを結成するほど。ナンバーガール、SUPERCARなどを好んで聴くという。こういったバンドの名前は作中にも現れ、三作目『水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪
人物
2019年より、滝本竜彦、海猫沢めろん、pha、ロベスらとロックバンド、エリーツを結成して活動している[7]。
渡辺浩弐が中心となって進めているニコニコ動画内の「ニコニコチャンネルGTV」[8]にも参加し、読者との新たな関係を模索している。
受賞・候補歴
2001年 - 『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』で第21回メフィスト賞受賞
2005年 - 『子供たち怒る怒る怒る』(短編集)で第27回野間文芸新人賞候補
2007年 - 『1000の小説とバックベアード』で第20回三島由紀夫賞受賞
2007年 - 『灰色のダイエットコカコーラ』で第29回野間文芸新人賞候補
作品リスト
鏡家サーガ詳細は「鏡家サーガ」を参照
佐藤は作家のJ・D・サリンジャーに強い影響を受けており、「鏡家」はサリンジャーの『グラース・サーガ』に登場する「グラース家」がモチーフになっている。
表紙絵はノベルス、文庫版とも笹井一個が描いている。ノベルス版『フリッカー式』、『エナメルを塗った魂の比重』の表紙は、増刷分より笹井のイラストに変更された。
2021年11月より「佐藤友哉デビュー20周年記念復刊企画」として『フリッカー式』『エナメルを塗った魂の比重』『水没ピアノ』『クリスマス・テロル』が星海社FICTIONSから4カ月連続で刊行された。
単行本
フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人(2001年7月、講談社ノベルス、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-06-182196-5/2007年3月、講談社文庫、ISBN 978-4-06-275319-7/2021年11月、星海社FICTIONS、ISBN 978-4-06-526152-1)