佐々木正
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

その他の同名の人物については「佐々木正 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

佐々木善」あるいは「佐々木直」とは別人です。

ささき ただし
佐々木 正
生誕1915年5月12日
死没 (2018-01-30) 2018年1月30日(102歳没)
別名ロケット・ササキ
職業工学博士
テンプレートを表示

佐々木 正(ささき ただし、Tadashi Sasaki、1915年〈大正4年〉5月12日 - 2018年〈平成30年〉1月31日[1])は、日本電子工学科学者シャープ元副社長。工学博士。「ロケット・ササキ」の異名を持つ[2]
人物・エピソード

島根県浜田市で生まれ、小学生時代に台湾小学校へ転校。旧制台北高等学校を経て、1938年京都帝国大学工学部電気工学科を卒業。台北高等学校で卒業研究として、マンゴーリンゴ接ぎ木する等のマンゴーの品種改良に取り組む[3]。アップルマンゴーは「この研究がきっかけでできた」と佐々木は説明している[4]

大卒後、当時の川西機械製作所(後に富士通と合併)へ入社。第二次世界大戦中はレーダー技術を獲得するためにシベリア鉄道でドイツに渡り、対空レーダーのウルツラウスの技術の習得のために派遣されたが、命からがら潜水艦の「Uボート」で帰国した[5]。また、本土決戦に備えて「殺人光線」の開発を命じられたこともあったという[6]。1964年に神戸工業(現:デンソーテン)取締役から、佐伯旭早川電機工業(現:シャープ)専務の要請を受け転進[7][8]。シャープ株式会社産業機器事業部長、専務、副社長を経て同社顧問に就任。

低電圧を実現したMOS・LSIを採用したハンディ型小型電卓や、ポケットに入る超小型電卓の開発[1]により、電算機・半導体・液晶業界では著名な研究者。また、電気・電子・情報通信分野の国際的な学会であるIEEE (The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.) で、日本人で5人目の「IEEE 2003 Honorary Membership」(IEEE名誉会員)を授与している。また、MOS・LSIがアポロ12号の着陸船に採用された事により、NASAから「アポロ功労賞」も贈られている[9]

また上記のように習得していたレーダー技術を応用し、電子レンジに使用するマグネトロンの開発に神戸工業時代に成功。電子レンジ自体の生産は他社に委ねたほうが最適であるとして、シャープが1961年に出した国産第1号の量産型電子レンジ「R-10」の製品化にも、佐々木は深く関与している[10]

1985年8月12日、大阪の実家への帰省のために羽田発伊丹行日本航空123便を予約していたが、毎年年末に恒例となっていたフィリップス本社の社長との会食がフィリップス側の事情でこの年は同日に前倒しになったために同便の搭乗をキャンセルをしその墜落事故の難を逃れる結果となった。同墜落事故についてはホテルニューオータニでの会食中に知ったという。一方で、搭乗をキャンセルしたことを知らされていない妻は佐々木を迎えに伊丹空港で待っていたが、空港で事故の情報が入ってくると心中穏やかな状態ではなくなってしまった。それでも遅くまで夫の帰りを待っていたが、会食で帰省が先延ばしになったことを知って安心して帰宅した[11]

ソフトバンク(株)相談役、(株)国際基盤材研究所代表取締役、郵政省電波技術審議会委員、新エネルギー財団・太陽光エネルギー委員会委員長、(財)国際メディア研究財団理事長、(財)未踏科学技術協会理事、島根/テキサス産業技術共創委員会島根側共創委員会委員長ほか数多くの要職に就く。また私塾の「正道塾」を通じ、後進の育成にあたった。

2018年1月31日、肺炎のため死去[12][13]。102歳没。
ロケット・ササキ

ロケット・ササキの由来は、当時、シャープの電卓「QT-8D」へ電卓用MOS・LSI(MOSFET)を生産していたノースアメリカン・ロックウェル社の経営陣が佐々木に寄贈した漫画に書かれたあだ名とされる。当時の電卓戦争下、2年サイクルで技術更新がされており、その状況下、先へ先へとやることが早すぎて、さすがのロケット関連会社(同社は当時、ミニットマン・ロケットを手がけている)も追いつけないという意味[14]と、めまぐるしく変わるテクノロジーの先端へと常に挑戦する姿がある[15]。漫画には「SHARP」と書かれた同社が手がけるミニットマン・ロケットに笑顔でまたがるスーツ姿の佐々木が跨がって上昇を続ける姿が描かれ、漫画の下部に「”Rocket” Sasaki」と書かれており[14]、佐々木の名刺の裏側にもお気に入りのイラストとして描かれていた[15]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:52 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef