伝統的
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戦後日本は「伝統的家族」が壊れ、家族の絆が弱まって家庭の教育力が低下した、といった意見が見られることがあるが、実際には、日本で教育のノウハウ等が登場したのは1910年頃で、富裕層や役人・知識人ら新中間層が家庭教育に注力し始めたものの、一般庶民には普及しておらず、子供は「放任」が一般的だった[6][20]

「家族の絆が弱まった」「家族が崩壊しつつある」と言われることがあるが、実際には、1958年の政府の調査では「一番大切なもの」として「家族」を挙げていたのはわずか12%である一方、2013年の調査では44%にまで上昇している[6]

「3世代の大家族は昔は日本のどこでも見られた」と言われることがあるが、1920年の調査で核家族が全世帯の54%にのぼり、3世代以上の同居家族は31%にすぎなかった。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}地方によってはむしろ複数夫婦の同居はタブーだった[要検証ノート][6]

「専業主婦は日本の伝統」と言われることもあるが、1970年ごろまで日本女性の就労率は欧米諸国よりも高く、専業主婦が一般化するのは高度成長期。1898年の明治民法の施行や近代化の過程で多様性が消され、儒教的で権威的な、中国のような家族像と西洋的な性別分業が強調された[6]

古典作品評価

万葉集は、伝統的に評価が高かったわけではなく、明治期に、庶民から天皇までの歌が収められているために、「日本」という統一国家観の形成のために価値が創りだされた、と品田悦一は指摘している[21]
イギリス・アイルランドにおける例

タータンチェック・スカートはスコットランドの「伝統」ではない[4]。もともと、タータンチェックは17世紀後半頃、スコットランドの高地地方に住む人々が「伝統」として始めたものだった、との指摘がある。
インドにおける例

ヨーガと言えば独特のポーズ(アーサナ)をとる練習風景を連想するが、このポーズ練習を中心に据えた現代のハタ・ヨーガは、インド古来の伝統なハタ・ヨーガではない。19世紀後半から20世紀前半に西洋で発達した西洋式体操が、近代インドに輸入されてできあがったものである[22][23]。現在日本で行われている「ヨーガ教室」などの大半はこの流派に入る。
出典^ 日本国語大辞典、小学館、2005年。
^ 広辞苑、第六版、岩波書店、2008年。
^ a b c d 特集ワイド:それホンモノ? 「良き伝統」の正体 - 毎日新聞 at the Wayback Machine (archived 2016-01-25)
^ a b エリック・ボブズボウム、テレンス・レンジャー(編)、『創られた伝統』紀伊國屋書店、1983年[要ページ番号]。
^ a b c “創られちゃう伝統――「夫婦別姓」最高裁判決を受けて生じる無邪気な言説(松谷創一郎) - エキスパート”. Yahoo!ニュース. 2024年3月30日閲覧。
^ a b c d e “特集ワイド:「家庭教育支援法」成立目指す自民 「伝統的家族」なる幻想 家族の絆弱まり、家庭の教育力低下??!?”. 毎日新聞. 2021年8月17日閲覧。
^ a b c 白川千尋 国立民族学博物館(編)「創られた伝統」『世界民族百科事典』 丸善出版 2014 ISBN 9784621088234 pp.56-57.
^ 法令全書明治九年1453頁
^ 井戸田博史『夫婦の氏を考える』世界思想社、2004年[要ページ番号]
^ Michele M. Mason “Empowering the Would-be Warrior: Bushido and the Gendered Bodies of the Japanese Nation”
^ 輪島裕介『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』光文社新書、2010年[要ページ番号]。
^ 熊倉功夫『文化としてのマナー』岩波書店、1999年、47-49頁。 
^ 平山昇『鉄道が変えた社寺参詣 ・ 初詣は鉄道とともに生まれ育った』交通新聞社新書
^ 『鉄道が変えた社寺参詣 - 初詣は鉄道とともに生まれ育った』交通新聞社、10月15日 2012、34-35頁。 
^ 成澤宗男週刊金曜日編 『日本会議と神社本庁』 金曜日、2016年、40ページ。
^ 「相撲の”女人禁制”は明治以降に作られた虚構? 救命中の女性に「土俵から降りて下さい」が波紋」『キャリコネニュース』、2018年4月5日。2018年4月6日閲覧。
^ 清水克行『喧嘩両成敗の成立』講談社メチエ、14頁。
^ 近藤好和『弓矢と刀剣』吉川弘文館、121頁。
^ “在日ロシア人排斥、ウィル・スミス擁護…日本にはびこる「正しい暴力」の幻想”. ダイヤモンド・オンライン (2022年4月21日). 2022年4月21日閲覧。
^ 広田照幸、日本人のしつけは衰退したか、講談社、1999年。
^ 品田悦一、「萬葉集の発明」、新曜社、2001年。
^ マーク・シングルトン『ヨガ・ボディ - ポーズ練習の起源』喜多千草訳、大隅書店、2014年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-905328-06-3。 [要ページ番号]
^ 伊藤雅之「現代ヨーガの系譜 : スピリチュアリティ文化との融合に着目して」『宗教研究』84(4)、日本宗教学会、2011年3月30日、417-418頁、NAID 110008514008。 

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。伝統

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