株式の発行につき、証券(株券)を発行しないことが原則となった。この点は社債と同様である。株式会社は、定款で定めることで株券を発行することができ、この場合その会社を「株券発行会社」という(会社法117条7項かっこ書き) [注釈 1]。
定款に定める発行可能株式総数(いわゆる授権資本枠)は、株式消却により減少する旨の記載が定款にない場合には、減少しないこととなり発行済株式数のみが減少することとなった[注釈 2]。
当該株式の取得に発行会社の承認を要する旨のいわゆる譲渡制限株式は、全株に共通する内容として、また、種類株式ごとに種類として規定することも可能である[注釈 3]。
株式会社が一定の事由が生じた場合には、株主の同意なく発行株式を取得することができるとする取得条項付株式の発行が認められている[注釈 4]。
複数の種類株式を発行する株式会社は、株主総会の特別決議により特定の種類株式を全部取得できる旨の全部取得条項付種類株式を発行することができる(これにより、いわゆる「100%減資」が必要な企業再生が容易となることが期待される)[注釈 5]。
株式の分割、併合により生じる1株に満たない端数については、会社がまとめて売却、換価して代金を交付するものとされた[注釈 6]。
株式会社の機関設計「株式会社」、「株主総会」、「取締役」、および「取締役会」も参照
この節は更新が必要とされています。
この節には古い情報が掲載されています。編集の際に新しい情報を記事に反映させてください。反映後、このタグは除去してください。(2018年12月)
会社法では、株式会社の機関設計にあたり配慮すべき対象は、以下の2つの視点から整理される。
公開会社[注釈 7]の場合 - 出資者保護の観点
会社の規模に応じて、大会社、大会社でない会社のいずれかの場合 - 債権者保護の観点
株式会社には、株主総会および取締役は置かなければならない。その他の機関である取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人または委員会については、会社の規模(大会社か大会社でない会社か)や株式の譲渡制限の有無(公開会社か公開会社でない会社か)などに応じて、それを設置するか否かを選ぶことができ、または、設置、不設置の義務が生じるなど、規律の違いがある。任意に設置できる機関の選択により、39通りもの種々の柔軟な機関設計が可能となる。
なお、2015年5月27日に施行された「会社法の一部を改正する法律」において新たに監査等委員会設置会社が導入された。
株式会社の機関設計株式会社の分類株式会社の機関 大会社、指名委員会等設置会社および監査等委員会設置会社においては、取締役の職務執行が法令および定款に適合することを確保するなどの業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)を設けることが義務付けられている。
株主総会取締役取締役会監査役監査役会会計監査人会計参与
公開会社大会社義務義務義務義務[注釈 8]義務[注釈 9]義務[注釈 9]任意
大会社でない会社任意任意
公開会社でない株式会社大会社任意[注釈 10][注釈 11]義務[注釈 12]任意[注釈 11]義務[注釈 13][注釈 12]
大会社でない会社
(会計監査人を置くとき)義務[注釈 12](置く)[注釈 12]
大会社でない会社
(会計監査人を置かないとき)任意[注釈 14][注釈 15](置かない)
指名委員会等設置会社[注釈 16]義務[注釈 16]設置できない[注釈 16]義務[注釈 16]
業務の適正を確保するための体制の整備