伊達市_(福島県)
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なお、過去には福島県若松市(現会津若松市)及び福岡県若松市(現北九州市若松区)が存在しており、史上3例目となる。

北海道伊達市は仙台藩伊達家(伊達宗家)の家臣だった亘理伊達氏(分家)が入植したのが由来である。その伊達家は、鎌倉時代に伊達郡の領地を与えられたために伊達氏と改姓したのが発祥であり、また、亘理伊達氏の初代当主である伊達成実も伊達郡の出身であり、いわば伊達郡が本家である。北海道伊達市側からは反論もなく、穏便に同名・同音の市となった。

北海道伊達市と区別するため、テレビ番組や地震情報などではしばしば「福島伊達市」あるいは「福島伊達」という字幕が表示されるが、これは「福島県伊達市」の意味であり、「福島伊達」という市名ではない。
地理

面積265.1平方キロメートル。

平野部を含むため、福島県内でも比較的経済活動が活発で人口も多い地域である。福島県内の自治体として、人口は第7位、農業生産額は第3位、製造品出荷額は第6位、商品販売額は第8位、財政規模は第8位となる。

人口、商工業、農業は、福島盆地の平野部である伊達地域、保原地域の北部、梁川地域の西部が中心となっている。合併前の旧伊達町に当たる伊達地域は、福島県内で最も人口密度の高い自治体だった。一方で梁川地域東部、保原地域南部、霊山地域、月舘地域は阿武隈高地の山間部で、人口密度も低く、林業や農業が中心で過疎化も進んでいる。
河川

阿武隈川

広瀬川

塩野川

東根川

小国川

石田川



霊山

隣接している自治体

福島県

福島市

相馬市

伊達郡桑折町国見町川俣町

相馬郡飯舘村

宮城県

白石市

伊具郡丸森町

気候

北西部は
福島盆地の一部であり、内陸性盆地型気候。東部・南部は阿武隈高地の一部にあたる。

盆地の低地は標高50m以下、盆地周辺部の霊山は標高825mと高低差があり、地域による気候・天気の差がある。

特に夏は他の盆地同様暑く、最高気温が35度を超えることは多々ある。

冬の積雪は年に数回、10?30cm降る程度。マイナス10度を下回ることはほとんどない。

市内の梁川に気象庁アメダス観測点がある。

2023年(令和5年)8月5日、全国での最高気温40.0度を観測した。これはこの夏全国で初めての40度台であり、福島県内初の40度台の観測だった。同日福島市では39.1度を観測し、伊達市、福島市とも観測史上1位となった[1]


梁川(1991年 - 2020年)の気候
月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月年
最高気温記録 °C (°F)16.6
(61.9)21.5
(70.7)25.4
(77.7)32.2
(90)36.2
(97.2)36.6
(97.9)39.1
(102.4)40.0
(104)36.7
(98.1)30.8
(87.4)26.0
(78.8)20.9
(69.6)40.0
(104)
平均最高気温 °C (°F)5.9
(42.6)7.2
(45)11.2
(52.2)17.7
(63.9)23.0
(73.4)25.7
(78.3)28.9
(84)30.4
(86.7)26.2
(79.2)20.6
(69.1)14.6
(58.3)8.7
(47.7)18.3
(64.9)
日平均気温 °C (°F)1.3
(34.3)2.0
(35.6)5.2
(41.4)10.9
(51.6)16.4
(61.5)20.1
(68.2)23.7
(74.7)24.9
(76.8)20.9
(69.6)14.8
(58.6)8.6
(47.5)3.6
(38.5)12.7
(54.9)
平均最低気温 °C (°F)?3.0
(26.6)?2.6
(27.3)?0.4
(31.3)4.6
(40.3)10.3
(50.5)15.5
(59.9)19.8
(67.6)21.0
(69.8)16.7
(62.1)9.9
(49.8)3.2
(37.8)?1.0
(30.2)7.8
(46)
最低気温記録 °C (°F)?12.6
(9.3)?12.1
(10.2)?10.2
(13.6)?4.4
(24.1)0.4
(32.7)5.8
(42.4)10.3
(50.5)11.6
(52.9)5.7
(42.3)?1.7
(28.9)?5.2
(22.6)?16.2
(2.8)?16.2
(2.8)
降水量 mm (inch)49.9
(1.965)33.0
(1.299)64.1
(2.524)75.1
(2.957)83.0
(3.268)109.4
(4.307)159.2
(6.268)143.9
(5.665)158.4
(6.236)123.4
(4.858)53.2
(2.094)41.5
(1.634)1,095.4
(43.126)
平均降水日数 (?1.0 mm)7.96.58.28.08.910.813.210.711.08.76.78.1108.3
平均月間日照時間133.2142.5172.1186.6192.0145.5135.6157.3127.1132.0127.6119.21,765.3
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁[2]

歴史
先史時代

伊達市は福島盆地とその周囲を山地を含む地域の北東側を占める。福島盆地が誕生したのは約20万年前の中期更新世で、その後緩やかに沈降しながら時に隆起し、盆地内に平野部と段丘を形成して現在に至っている。伊達郡桑折町の平林遺跡では約3万年前の旧石器時代打製石器が発見されているため、少なくともそのころには人の営みが始まっていた。
古代

古墳時代前期、福島県域ではまず会津地方で畿内とほぼ同時期に前方後円墳などが作られ始めているが、中期(5世紀)となると、会津地方よりもむしろ中通り地方で多く古墳が作られるようになり、伊達市を含む福島盆地でも数多くの古墳が作られた。伊達市内には愛宕山古墳群、大泉みずほ古墳群、新山古墳群などがある。

5世紀末、福島盆地も大和朝廷の支配下にはいり、大和朝廷勢力圏の北限として信夫国造が置かれた。信夫(しのぶ)は福島盆地一帯の名称である。信夫近隣では伊具(宮城県伊具郡角田市)、思(おもい)(宮城県亘理郡)、阿尺(あさか)(福島県郡山市)、染羽(しねは)(福島県双葉郡)、白河(福島県白河市)に国造がおかれた。氏姓制度では血縁を表す(うじ)と職務を表す(かばね)が定められたが、信夫国造は久麻直(くまのあたい)なので、信夫国造の姓が(あたい)であったことがわかる。また、信夫国の部民は、丈部(はつかせべ)、壬生部(みぶべ)、太田部(おおたべ)などがいた。また、大和朝廷勢力圏の北限として、蝦夷に対するため、軍備の任も担っていた。また陸奥国開拓のため、関東や近畿地方からの半ば強制的と思われる大量移民も行われていた。太田部とは新田開発のための移民団である。
飛鳥・奈良時代

7世紀中期 - 8世紀初頭には地方行政が再編され、(くに)は(こおり)を経て郡(こおり・ぐん)と名称が変わり、信夫国も信夫郡となった。また、道国郡制が整備され、東山道陸奥国信夫郡となった。行政官である国造も評司(こおりのつかさ)、郡司(ぐんじ)と変遷した。

701年(大宝元年)、律令制が始まると大和朝廷の勢力圏は現在の宮城県域まで北進し、それによって、718年(養老2年)には陸奥国の分国が行われた。陸奥国のうち、信夫郡、安積郡、岩背郡、白河郡、会津郡の5郡は石背国(いわせのくに)となった。同様に菊田郡、石城(いわき)郡、標葉(しねは)郡、行方(なめかた)郡、宇太(うだ)郡、曰理(わたり)郡は石城国となり、残る柴田郡、刈田郡、名取郡、宮城郡、黒川郡等の北部が新しい陸奥国となった。ただし、分国された新しい陸奥国では北方防備に十分な経済力を維持できなかったため、724年(神亀元年)までにこの3国は再び合併して陸奥国に戻された。
平安時代

10世紀初頭、各郡の大きさ(人口、経済力)を平均化するために全国的に郡の分割や再編を行った。福島盆地域では、信夫郡から伊達郡を分割した。ここに始めて伊達郡が誕生する。信夫郡には8つの郷(ごう)があったが、そのうち小倉郷(福島市南部、大森川以南で阿武隈川以西)、安岐郷(福島市中心部、大森川以北で松川以南で阿武隈川以西)、岑越(みねこし)郷(信夫山周辺、松川以北で摺上川以南で阿武隈川以西)、曰理(わたり)郷(福島市南部、阿武隈川以東の南部)が信夫郡として残り、伊達郷(福島盆地北部、摺上川以北で阿武隈川以西)、靜戸(しずりべ)郷(伊達市主要域、阿武隈川以東の北部)、鍬山(くわやま)郷(伊達市月舘町や伊達郡川俣町、伊達郡飯野町などの阿武隈高地域)が、新しく伊達郡となった。当時の松川信夫山(当時は岑越山)の南側を流れていたため、信夫山は松川以北となる。11世紀末になると、奥州藤原氏が東北地方のほぼ全域を直接的間接的な支配下においた。信達地方(信夫郡と伊達郡)は、福島県中通りと会津をほぼ支配下におさめた藤原氏の一族である信夫佐藤氏の本拠地となった。
鎌倉・室町時代

源頼朝奥州合戦の事実上の決戦が伊達郡国見町の厚樫山(国見山)山麓で行われた。このとき、信夫佐藤氏の佐藤基治を破った功で、関東武士で中村氏常陸伊佐氏)が源頼朝から伊達郡を拝領したため、下野国中村荘あるいは常陸国伊佐から分家して伊達郡に定住して伊達氏を名乗るようになった。奥州伊達氏の起こりである。


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