赤字路線のため、2005年12月に近鉄から経営形態の見直しが示唆されていたが、上下分離方式で近鉄が線路や駅舎などの施設を保有して保線などの管理を行い、近鉄や沿線自治体が出資する伊賀鉄道が運営・運行することで存続が決定した。新会社への移行は当初2007年(平成19年)4月を目指していたが、10月1日にずれ込んだ。
この伊賀鉄道へは近鉄が98%、伊賀市が2%を出資し、2007年度(平成19年度)から2016年度(平成28年度)までの10年間、伊賀市は年間最大約0.6億円もしくは赤字額から資本費を控除した額の半額を支援する。赤字額の残りは近鉄等が負担する。なお、2017年度(平成29年度)以降の支援額については関係者間で改めて協議することとしている。その後、同年度より近鉄と伊賀鉄道が保有する施設や車両を伊賀市が譲り受けて維持管理し、それらを伊賀鉄道に貸与する公有民営とすることが検討された[7]。
これとは別に、市側は合併特例債により車両の更新を計画した。2009年4月1日号「広報いが市」によると、この更新は2009年度から3か年で実施する予定で計画され、2011年度までに後述の200系が導入され旧来の車両を置き換えた。
2015年3月に、伊賀線を公有民営方式での運行に移行することに、近鉄・伊賀市・伊賀鉄道が合意したことが発表され[8]、2017年4月1日に実施された[9]。 すべて普通列車で、伊賀上野駅 - 上野市駅間が1時間あたり1 - 2本、上野市駅 - 伊賀神戸駅間が20 - 40分間隔で運行されている[10]。これは前者の区間がJR関西本線との接続を、後者の区間は近鉄大阪線との接続を重視しているからである。 伊賀鉄道移管後、伊賀上野駅 - 伊賀神戸駅間の全線を直通する列車が毎日3 - 6本運行されているが、近鉄時代は旅客列車は原則として上野市駅で系統が分割されていたため、全線を通して運転される列車は基本的にはなかった(ただし、高校生の通学客対策として、例外的に平日朝ラッシュ時に上野市駅で折り返さない伊賀上野駅 - 茅町駅間の区間運転の列車も設定していた時期もあった[11])。一方、貨物列車は原則的に全線を通しての運転で、伊賀神戸駅 - 西名張駅間の廃止後も貨物列車の廃止までこの運転形態を踏襲していた。 各区間でワンマン運転を行っている。しかし、一部乗客専務車掌が乗務して車内改札・乗車券販売及び乗降時の改札を行っている。これは前述の無人駅の巡回とともに不正乗車防止のためである。 なお、2008年7月19日より、ラッシュ時を除き無人駅での乗降扱いは列車最前部の扉(運転士に最も近い扉)のみを開ける方式に変更した。これまでは無人駅でも全扉を開けていたため、信用乗車方式に近い状況であった。 伊賀線の輸送実績を下表に記す。表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。なお、2007年度は近畿日本鉄道は9月までの、伊賀鉄道は10月からの実績である。 年度別輸送実績 伊賀線の近年の営業成績を下表に記す。表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。なお、2007年度は近畿日本鉄道は9月までの、伊賀鉄道は10月からの実績である。 年度別営業成績 伊賀線用の新車は電化時に導入されたデハ1形(後のモニ5181形)・デ1形以降全く製造されず、近鉄時代は他線からの中古車がかき集められてきた。必要車両数は2両5編成10両と少ない。
運行形態
利用状況
輸送実績
運営主体年度輸送実績(乗車人員):万人/年度輸送密度
人/1日貨物輸送量
万t/年度特記事項
通勤定期通学定期通勤通学
定期計定期外合計
近畿日本鉄道1966年(昭和41年) 414 輸送実績最高を記録
1993年(平成5年) ――
1994年(平成6年) 307.4 ――
1995年(平成7年) ――
1996年(平成8年) ――
1997年(平成9年) ――
1998年(平成10年) ――
1999年(平成11年) 275.5 ――
2000年(平成12年) 261.1 ――
2001年(平成13年) 247.4 ――
2002年(平成14年) 243.9 ――
2003年(平成15年) 240.34,036――
2004年(平成16年) 238.54,056――
2005年(平成17年) 2303,912――
2006年(平成18年)26150176442203,741――
2007年(平成19年) 上半期の数値
伊賀鉄道2007年(平成19年)20.283.9104.121.8125.9 下半期の数値
2008年(平成20年)31.1128.1159.245.0204.23,412
2009年(平成21年)29.5115.3144.846.0190.83,246 200系車両への更新開始
2010年(平成22年)27.9110.8138.743.9182.63,101
2011年(平成23年)26.3103.4129.742.6172.32,836 200系車両への更新終了
2012年(平成24年)25.796.4122.141.6163.72,702
2013年(平成25年)25.596.2121.741.8163.52,698
2014年(平成26年)24.386.5110.840.9151.72,504
2015年(平成27年)23.985.7109.642151.62,495
2016年(平成28年)23.980103.941.5145.42,440
2017年(平成29年)24.877101.839.5141.32,378
2018年(平成30年)24.371.79638.9134.92,268
2019年(令和元年)24.56690.537.4127.92,116
2020年(令和2年)21.660.782.321.8104.11,775
営業成績
運営主体年度旅客運賃収入:千円/年度貨物運輸
収入
千円/年度運輸雑収
千円/年度営業収益
千円/年度営業経費
千円/年度営業損益
千円/年度営業
係数
通勤定期通学定期通勤通学
定期計定期外手小荷物合計
近畿日本鉄道2003年(平成15年) 228,000668,000△440,000293.0
2004年(平成16年) 219,000614,000△395,000280.1
2005年(平成17年) 219,000624,000△405,000284.9
2006年(平成18年) 213,000596,000△383,000279.8
2007年(平成19年)
伊賀鉄道2007年(平成19年)
2008年(平成20年)54,848112,031166,879115,8120282,69106,659289,350597,534△308,184206.5
2009年(平成21年)53,678101,831155,509110,6910266,20008,091274,291576,123△301,832210.0
2010年(平成22年)49,00097,000146,000106,000 252,000 6,000259,000579,000△319,000223.6
2011年(平成23年)48,00090,000138,000103,000 242,000 8,000251,000521,000△269,000207.6
2012年(平成24年)48,00085,000133,000101,000 234,000 9,000244,000514,000△270,000210.7
2013年(平成25年)47,00083,000130,000101,000 231,000 20,000254,000570,000△316,000224.4
2014年(平成26年)46,00076,000122,00096,000 218,000 14,000232,000529,000△296,000228.0
2015年(平成27年)46,00075,000121,000102,000 223,000 15,000238,000472,000△234,000198.3
2016年(平成28年) 220,000552,000△332,000250.9
2017年(平成29年) 97,000309,000373,000△64,000120.7
2018年(平成30年) 107,000313,000375,000△62,000119.8
鉄道統計年報(国土交通省鉄道局監修)より抜粋
国土交通省中部運輸局ウェブサイト[12]より抜粋。
近鉄発表資料[13]より抜粋。
伊賀市資料[14]
『伊賀タウン情報 YOU』2011年6月1日[15]、同2012年7月3日[16]、同2015年7月8日[17]、同2016年7月12日[18]、同2017年7月14日[19]、同2018年7月10日[20]、同2019年7月10日[21]の記事より抜粋。
車両
現在の車両200系電車
200系
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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