伊東静雄
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京大在学中には、文学部教授に旧制大村中学の先輩である朝永三十郎(1965年ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎の父親)が、旧制住吉中学当時の教え子には、第三の新人の一人である小説家庄野潤三や芥川賞候補作家の清水幸義、2008年ノーベル化学賞を受賞した下村脩がいた[1]。旧制大村中学の先輩に文芸評論家福田清人、同学年に早稲田大学文学部教授で国文学者(近代文学専攻)の川副国基國學院大學文学部教授となった古典中国文学者の蒲池歓一(かまち かんいち)がいる。

詩作は大学卒業の頃より始めた。1932年(昭和7年)、同人誌『呂』を創刊。のち『呂』を離れて、同人誌『コギト』に専念する。1935年(昭和10年)10月5日、処女詩集であり代表作『わがひとに与ふる哀歌』を発行し、萩原朔太郎から「日本にまだ一人、詩人が残っていた」と賞賛を受け一気に名声を高めた[2]。当時日本浪曼派の代表的な詩人としてその機関紙の同人でもあり、評論での保田與重郎と並び同時代に多大な影響を与えた。また日本古典文学やリルケの造詣の深さに由来した、浪漫的で日本的な叙事詩に耽美性を加えたその作風は、少年期の三島由紀夫にも多大な影響を与えた[3]。1940年(昭和15年)には第二詩集「夏花」を刊行。1941年(昭和16年)には三好達治中原中也立原道造らとともに、詩同人誌「四季」に参加・交流。蓮田善明とも交流があり、蓮田が最後に出征する際、蓮田の乗った列車を大阪駅で見送っている。

1943年(昭和18年)9月5日に第三詩集「春のいそぎ」を刊行。1947年(昭和22年)に第四詩集「反響」を刊行。1953年(昭和28年)3月12日、肺結核のため大阪府河内長野市の国立病院長野分院(現:国立病院機構大阪南医療センター)で死去[4]。死後まもなく「反響以後」が刊行された。戒名は文林院静光詩仙居士。

忌日に近い3月末の日曜日には、菜の花忌として顕彰。諫早市の伊東静雄顕彰委員会によって、現代詩を賞する伊東静雄賞が設けられている。
作品
詩集


『わがひとに与ふる哀歌』(杉田屋印刷所、コギト発行所、1935年)

復刻版、
日本図書センター 2000年2月、竹林館 2003年、学研プラス 2019年。


『夏花』(1940年・北村透谷賞受賞)

『春のいそぎ』(1943年)

『反響』(1947年)、復刻 竹林館 2005年

関連文献
著作


『伊東静雄全集』(全1巻)、
桑原武夫富士正晴小高根二郎編、人文書院 1961年、増補改訂版1966年『定本版 伊東静雄全集』人文書院(全1巻)、1971年、新版1989年[5]

『伊東静雄詩集』岩波文庫 杉本秀太郎編、初版1988年

『伊東静雄詩集』思潮社 現代詩文庫、初版1980年

『伊東静雄詩集』桑原武夫・富士正晴編、新潮文庫 復刊1994年

『伊東静雄詩集』林富士馬編、旺文社文庫 / 新装版〈小沢クラシックス・日本詩人選18〉小沢書店、1997年


『作家の自伝69 伊東静雄 詩集わがひとに与ふる哀歌/京都』久米依子編、<シリーズ・人間図書館>日本図書センター、1998年

『近代浪漫派文庫35 蓮田善明/伊東静雄』新学社[6]、2005年

『伊東静雄 青春書簡 詩人への序奏』[7]大塚梓・田中俊廣 編、本多企画、1997年

『伊東静雄日記 詩へのかどで』思潮社、2010年[8]

伝記

『伊東静雄研究』 富士正晴編、
思潮社、1971年

『現代詩読本 伊東静雄』思潮社、1979年、新装版1983年

小高根二郎『詩人 伊東静雄』新潮選書、1971年

小高根二郎『詩人、その生涯と運命 書簡と作品から見た伊東静雄』新潮社 1965年 / 国文社 1976年、復刻:日本図書センター「近代作家研究叢書」、1990年

林富士馬・富士正晴『苛烈な夢 伊東静雄の詩の世界と生涯』社会思想社現代教養文庫」、1972年

小川和佑『伊東静雄 孤高の抒情詩人』講談社現代新書、1980年

杉本秀太郎『伊東静雄』<近代日本詩人選18>筑摩書房、1985年 / 講談社文芸文庫、2009年『杉本秀太郎文粋5 幻城』筑摩書房、1996年 に収録。

研究評伝

小川和佑『伊東静雄論』五月書房 1973年

小川和佑『伊東静雄論考』叢文社 1983年

田中俊廣『痛き夢の行方 伊東静雄論』日本図書センター 2003年

山本皓造『伊東静雄と大阪・京都』「ソフィア叢書5」竹林館 2002年

永藤武『伊東静雄論・中原中也論』おうふう 2002年

米倉巌『伊東静雄 憂情の美学』 審美社 1985年

三宅武治『伊東静雄 その人生と詩』花神社 1982年

野村聡『伊東静雄』審美社 1996年

城戸朱理『詩人の夏 西脇順三郎と伊東静雄』矢立出版 1994年


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