仮説
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ニュートンのこのような考え方は、『自然哲学の数学的諸原理』(第2版、1713年)の「われ、仮説を作らず (Hypotheses non fingo)」の表現に典型的に現れている[注 5]

一方、ドイツのゴットフリート・ライプニッツは、確実だと証明できる法則は実際上ないと考え、証明できないという性質を持つ命題・仮説の利用は理論の構築に不可欠である、と見なした。[要出典]

その後、自然哲学者・科学者たちの間に広まっていったのは、仮説を肯定するライプニッツ流の考え方である。現在では、仮説は科学理論の構築のための一般的な方法として広く利用されている。[要出典]「仮説実験的認識論」も参照「仮説演繹法」も参照「科学的認識の成立条件」も参照
仮説の好戦性

時に仮説は攻撃的である。新しい仮説は往々にして古い仮説を否定する形で提出され、両者の間に強い対立を作る。当然にその両者の当否を判断することになるが、これは往々にして相手をいかに否定するかを競う形になる。[要出典]

極端な例の一つに、免疫の仕組みに関する理論がある。エドワード・ジェンナー種痘という形で発見した免疫は、ルイ・パスツールによって一般化され、弱毒化した病原体であるワクチン予防接種することによる感染予防という方法が開発された。その働きの本体がどこにあるかの追求から、それが血清にあることがわかり、これが血清療法を生んだ。ところが、イリヤ・メチニコフは食細胞を発見してこれが病気を予防する働きをしていると判断すると、それまでの血清の働きに関する知見いっさいを否定した。ここから両派による自己の正当性を証明し、相手方が間違っているとの証拠を示す競争がおこり、両派の対立は感情的なものにまでなったという。[要出典]

仮説はこのように極端な形を取る例が少なくない。これはその対立によってこそ議論や研究が進む面があるからで、時に学者はすべて事実に合致しなくても、必要と判断すれば仮説を提出する。グレゴール・ヨハン・メンデルは彼の遺伝法則に合わない実験結果があることを知っていた。「発生学の父」とも言われるカール・エルンスト・フォン・ベーアの言葉に次のようなものがある。[要出典]

「不正確でもきっぱりと断言された一般的な問題の結論は、その不正確な面を訂正しようとする意欲に駆り立てられるから、正確ではあるが控え目な主張よりは科学の発達にとって有益なものである[要出典]」

数学における仮説

自然現象ではなく抽象概念を扱う学問である数学においては、証明されたものは正しい命題であり、定理である。誤りであることが証明されたものも問題ない。しかし、「こういうことが成立する」と誰かが予想し、しかしまだ誰も証明していない、かといって反例も見あたらない場合、これは「いつか証明されることが期待される問題」ということになる。これを仮説(または予想)と言うことがある。代表的な例として、リーマン仮説(Riemann Hypothesis、日本ではリーマン予想という呼称が一般的)がある。[要出典]

別の用例として、たとえば連続体仮説がある。これは「証明も反証もできないことが知られている」という点で、上の仮説(予想)とは意味合いが異なる。[要出典]
統計学における仮説

統計学では、仮説とは、成立もしくは不成立が確定していない命題を指す。記号は H i {\displaystyle {\rm {H}}_{i}} もしくは θ i {\displaystyle {\rm {{\theta }_{i}}}} が用いられる。統計的仮説検定でこの手法が用いられる。[要出典]

帰無仮説のような仮説を、成立しうるものか、それともありそうにないものなのかを統計量によって判定する、仮説検定という手法が行われる。


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