仮眠
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ペンシルバニア大学医学部のDavid F. Dinges教授が指揮しているNASAの研究によれば、仮眠はある種の記憶機能を向上させる効果があり、短い仮眠よりも長い仮眠の方がより有効である事を見出した[4]。そのNASAの研究では、被験者は全て実験室環境の中で、18種類の異なる睡眠スケジュールのいずれかにより数日間過ごした。仮眠の有効性を測定するために、記憶、注意力、反応時間、その他の認知スキルを試すテストが行われた。

アメリカ国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health)は、ハーバード大学のAlan Hobson氏、Robert Stickgold氏らを中心とする研究チームを助成して、日中の仮眠が情報オーバーロードを緩和するという事を示した。また、「Nature Neuroscience」誌において、Sara Mendnick氏、Stickgold氏やその同僚たちは、ある種の場合、1時間の仮眠でさえも、その個人のトップレベルのパフォーマンスを引き出せる事を示したと報告した。NIMHチームは次のように述べている:「結論を言えば、我々はいわゆる『パワーナップ』を勤務中にとる事について罪の意識を感じるのはやめるべきである」[5]
難点

仮眠は(一日に数回とった場合でも)、眠りが十分に長くもなく深くもないのが典型的であり、連続的な6 - 8時間の睡眠と同程度の回復の効用をもたらすほどではない。したがって、日常的に仮眠によって睡眠不足を補おうとしても、睡眠不足の蓄積という結果につながる。不眠症うつ病の患者には仮眠は推奨されない。なぜなら、既に乱れている覚醒/睡眠パターンをさらに悪化させる可能性があるからである[6]
勤務中の睡眠

勤務中の睡眠についての考え方は雇用者により様々である。ある会社では、生産性を高めるために勤務中に仮眠休憩をとる事を認める制度を設けている[7]。その一方で、別の会社では従業員に対して勤務中の睡眠を厳しく禁じ、例えば監視カメラを用いて、勤務中に寝ている従業員がいないか監視する場合もある。規則に違反して勤務中に眠った従業員は懲戒処分を受ける場合もある。

従業員の中には、認められた休憩時間の間のみ、睡眠、仮眠、あるいはパワーナップをとる者もいる。この場合の仮眠も、会社の方針により許可されている場合と禁止されている場合がある。無給の休憩時間内であっても寝る事を禁ずる会社もある。その理由は様々だが、例えば、眠っている従業員はプロフェッショナルな仕事をしているようには見えないから、あるいは従業員が緊急事態に即座に対応できる事が必要だから、あるいは法令上の規制が理由という場合もある。勤務中に眠ると他人に危険を与えるような種類の職業の場合は、勤務中に眠ってしまうと法令上の制裁を受ける場合がある。例えば、航空機パイロットの場合、免許剥奪の処分を受ける場合もある。

戦時中のアメリカでは、哨兵が勤務中に眠ってしまった場合、それは軍法(Uniform Code of Military Justice)によれば死刑にもなりうる罪であった[8]朝鮮戦争中、米国のある兵士は、見張り所で眠ってしまった罪で重労働10年の刑を言い渡されたが、その後控訴審で原判決破棄により釈放された[9]帝国陸軍においても、陸軍刑法第48条において、哨兵が睡眠や酩酊により職務を怠った場合は、敵前の場合五年以下の禁固刑、その他の場合一年以下の禁固刑と定められていた。
脚注^ Anthony, Camile and William. The Art of Napping at Work, Larson Publication, 1999.
^ http://health.msn.com/health-topics/articlepage.aspx?cp-documentid=100233156&GT1=31036
^ “ ⇒NASA: Alertness Management: Strategic Naps in Operational Settings” (1995年). 2012年4月16日閲覧。
^ “NASA Nap” (2005年6月3日). 2008年2月14日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2007年8月24日閲覧。
^ “The National Institute of Mental Health Power Nap Study” (2002年7月1日). 2002年8月2日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2002年7月1日閲覧。
^http://www.medicinenet.com/script/main/art.asp?articlekey=50785
^Psychology Today: Sleeping on the Job Archived 2007年11月17日, at the Wayback Machine.
^ See “ ⇒10 U.S.C §913”. Cornell University Law School, Legal Information Institute. 2009年6月4日閲覧。
^ “Soldier Freed on Charge of Sleeping On Duty in Korea” (English). Rome News-Tribune (Fort Meade, MD): p. 2. (January 16, 193). https://news.google.com/newspapers?id=HJUFAAAAIBAJ&sjid=UDEDAAAAIBAJ&pg=2193,5787069&dq=sleeping+on+duty&hl=en 2011年4月17日閲覧。 

関連項目

睡眠

パワーナップ


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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