仮名_(文字)
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^ 藤原宮平城宮をはじめとする平安時代以前の各地の遺跡より「なにはづ」や「あさかやま」の歌を記した木簡が出土している。また法隆寺五重塔の部材からも「なにはづ」の歌の墨書が見つかっているが、これらは当然ながらいずれも借字で記されている。『紫香楽宮出土の歌木簡について』(『奈良女子大学21世紀COEプログラム 古代日本形成の特質解明の研究教育拠点』、2008年)参照。
^ ただし「こひ」(恋)については、以下の例外が存在する。関白前左大臣家に人々、経年恋(年を経る恋)といふ心をよみ侍りける 左大臣(源俊房)われが身は とがへるたかと なりにけり としはふれども こゐはわすれず(『後拾遺和歌集』巻第十一・恋一)『後拾遺和歌集』(『新日本古典文学大系』8 岩波書店、1994年)より。「こゐ」というのは、鷹を飼うのに止まらせる止まり木のことをいう(「木居」という漢字がふつう当てられている)。飼われている鷹が飼い主のところから逃げ出して年を経ても、その羽を休めた止まり木は忘れることができず、最後には戻ってきてしまう。それと同じように、自分も以前共に暮らしたが別れた人を忘れられず、結局また恋しく思っている…という趣意である。このなかで「こゐ」(木居)を「こひ」(恋)の掛詞としているが、恋を「こゐ」とすることは当時慣習的に行われていた仮名遣いとも相違する。しかしこの和歌は恋の部に入れられており、詞書にも「経年恋」とあることから、「こゐ」が恋であるとする引き当てが可能であった。「こひ」という表記が圧倒的に優勢な当時の状況で、その文脈から取り出してなんの断りもなしに「こゐ」とだけ書かれたのでは、恋という意味には理解されなかったのであり、「こゐ」を恋とするのはごく特殊な例だったとみてよい。
^ 以上のことは平仮名における事情であって、当時の片仮名の場合には平仮名と比べて仮名遣いにかなりの変則が見られる。しかしこれは片仮名がその当初より、仏典に記された漢字の意味や読み方を備忘として記すために生れ、使われていたことによる。たとえば「恋」という漢字の読みが「コイ」などと書かれていたとしても、「恋」という漢字の意味をあらかじめ知っていれば、その「コイ」がどういう意味なのか理解できる。漢字の意味や読み方を示すためという目的から、その仮名遣いのありかたは平仮名と比べてゆるやかであった。
^ なお、同一の音素ではあってもその環境によってさまざまな異音を生じるのは当然のことであるが、文字論の範疇を外れるのでここではふれない。各行の項目(あ行か行さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行)などを随意参照されたい。
^ この名称は日本統治時代に客家が「広東人」と称されたことによるものであり、現代一般に広東語と称される粤語系の広州語および香港語とは無関係。

出典^ これに対し、漢字を真名と呼び、元来の字義および音を持ち、区別される。
^ ただし和字は和製漢字を意味することもある。
^ 国語のため 第二 上田萬年 1903年 P.28
^ 増訂教育辞典 篠原助市 1935年 P.157
^ 『古今和歌集』(『日本古典文学大系』8 岩波書店、1962年)より。ただし「古注」と呼ばれる部分は略した。
^ 『源氏物語 一』(『新日本古典文学大系』19 ま、1993年)より。
^ 橋本治 橋爪大三郎 『だめだし日本語論』 太田出版 2017年 ISBN 978-4-7783-1578-8 pp.79 - 80.

参考文献

築島裕 『仮名』〈『日本語の世界』5〉 中央公論社、1981年

小松英雄 『日本語の音韻』〈『日本語の世界』7〉 中央公論社、1981年

秋山虔ほか編 『日本古典文学大辞典』(第1巻) 岩波書店、1988年 ※「仮名」の項

小松英雄 『日本語書記史原論』 笠間書院、1998年

関連項目

日本語の表記体系

万葉仮名 - 平仮名 - 変体仮名 - 片仮名

仮名遣い - 歴史的仮名遣 - 定家仮名遣 - 現代仮名遣い

仮名交じり文

振り仮名

言語学 - 文字 - 表音文字 - 音節文字

合略仮名

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