2017年改正の民法500条(改正前の499条2項)は「第四百六十七条の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用する。」としている。債務者のために弁済をした者が債権者に代位するためには、原則として債権譲渡の対抗要件が必要であるが、弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合には不要である。
2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で、正当な利益を有する者による弁済の場合の代位については、467条の規定を準用しない旨を明示する形に改められた[1]。 債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる(501条
弁済による代位の効果
代位の範囲
2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で501条は整理されている[1]。 第三取得者・物上保証人・保証人間は次に掲げるところによる(501条
第三取得者・物上保証人・保証人間
第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。
保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
なお、旧501条1号では先取特権付債権、不動産質権付債権、抵当権付債権について保証人が代位弁済するときは、先取特権、不動産質権、抵当権の目的である不動産の第三取得者に対抗するためには、あらかじめ先取特権移転登記、不動産質権移転登記、抵当権移転登記を付記登記しておく必要があるとされていた。しかし、付記登記がないときに債権が消滅したという第三取得者の信頼が生じるか疑問とされ、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で付記登記に関する規定は削除された[1]。 債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、債権者の同意を得て、その弁済をした価額に応じて、債権者(原債権者)とともにその権利を行使することができる(502条
一部弁済による代位
なお、債権の一部について代位弁済があったときでも、債権者(原債権者)は、単独でその権利を行使することができる(502条2項、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で明文化[1])。
前二項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の目的となっている財産の売却代金その他の当該権利の行使によって得られる金銭について、代位者が行使する権利に優先する(502条3項)。
第一項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない(502条4項、旧502条3項)。 代位弁済によって全部の弁済を受けた債権者は、債権に関する証書及び自己の占有する担保物を代位者に交付しなければならない(503条 弁済をするについて正当な利益を有する者(以下この項において「代位権者」という。)がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位権者は、代位をするに当たって担保の喪失又は減少によって償還を受けることができなくなる限度において、その責任を免れる。その代位権者が物上保証人である場合において、その代位権者から担保の目的となっている財産を譲り受けた第三者及びその特定承継人についても、同様とする(504条
債権者による債権証書の交付等
債権者による担保の喪失等
前項の規定は、債権者が担保を喪失し、又は減少させたことについて取引上の社会通念に照らして合理的な理由があると認められるときは、適用しない(504条2項)。2項の規定は2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で追加された。
脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f g h i “民法(債権関係)改正がリース契約等に及ぼす影響” (PDF). 公益社団法人リース事業協会. 2020年3月17日閲覧。
^ “ ⇒改正債権法の要点解説(8)” (PDF). LM法律事務所. 2020年3月17日閲覧。
外部リンク
『代位弁済』 - コトバンク