今敏
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1987年に大学を卒業すると[14]、1990年に『週刊ヤングマガジン』(講談社)で発表された『海帰線』で初の連載となる[12][15]。1991年には大友が初監督した実写映画コミカライズ作品である『ワールドアパートメントホラー』などを発表[11][16]
アニメ業界へ

1991年、大友が原作・脚本を手掛けたアニメ『老人Z』(監督は北久保弘之)で初めてアニメ製作に携わる[17]。作品では美術設定・レイアウト原画を担当した[11][18][19]

1992年ごろから大友監修のオムニバスアニメ映画MEMORIES』(1995年公開)の中の「彼女の想いで」(森本晃司監督)に脚本・美術設定・レイアウトとして参加するが[11]、その役職以上に作品全体で今の果たした役割が大きかったとされている[18][20]。当初はキャラクターデザインも担当する予定だったが、ラフスケッチだけにとどまった[20]。また、この作品で今は初めて「イマジネーションと現実の融合」を作品のテーマとして取り入れた[20][21]

1993年、押井守監督の『機動警察パトレイバー 2 the Movie』にレイアウト担当の一人として参加する。押井は前作『機動警察パトレイバー the Movie』の時に、レイアウトを精度高く描くことで空間感を表現し、演出家の意図を徹底するという演出法に挑戦した。これはレイアウト担当として信用できるアニメーターを揃えられなければ成立しない手法でもあるため、前作では2人だった人員を6人に増やし、その一人として今も選ばれた[17]

1993年から1994年に制作されたOVAジョジョの奇妙な冒険』(北久保弘之監督)の第5話「花京院 結界の死闘」では脚本・絵コンテ・演出・構成も手掛け、演出家デビューを果たす[18][22]。全体的に評価の高かったこのOVAシリーズの中でも傑出したエピソードとして「今 敏」の名前を強烈に印象づけた[18]

1994年から押井守が原作を担当し、今が作画を担当する漫画『セラフィム 2億6661万3336の翼』が月刊アニメ誌「アニメージュ」で連載される。しかし、連載が進むにつれて2人の間に意見の齟齬が生まれて休載、そのまま未完に終わった[17][23]。押井との対立により、連載開始から1年以上経過したころには、押井の表記は原作ではなく原案に変更されていた[24]。しかし押井は2019年に今について「最高のパートナー」であったと言及している[25]。1996年に今は漫画家としての活動を終え、アニメ制作に専念することになる[26]
監督デビュー

1997年、劇場用アニメ『PERFECT BLUE』で監督デビューを果たす[27][28]。きっかけは、映画の制作会社マッドハウス丸山正雄からさそわれたこと[20]。漫画家時代からそれまでの今の仕事をチェックしていた丸山は、「ジョジョの奇妙な冒険」で今が担当した回を気に入っていた[20][29]。企画段階での「『アイドル』『ホラー』『ストーカー』の3要素を織り交ぜる」という竹内義和の原作に基づいたシナリオに今が満足せず、竹内の同意を得てから村井さだゆきの協力によりシナリオが全面的に書き換えられた[30][31]。猟奇的なモチーフも盛り込んだ当時のアニメ映画としてはかなりの異色作だったが、高い評価を獲得。特に海外での成功は、後のグローバルでの今の評価につながった[18]

『PERFECT BLUE』の後、以前からファンであった筒井康隆の小説『パプリカ』(1993年発表)の映画化を考えていたが、『PERFECT BLUE』の配給会社の倒産によって計画が頓挫[32]。新たなオリジナル作品の制作に取り掛かる[30]

2002年、『千年女優』が劇場公開される[33]。『PERFECT BLUE』と同程度の低予算で製作されたが(概算で1億2,000万円)[34]、前作以上の成功を収め、多くの賞に輝いた。北米公開の配給会社はドリームワークス系のゴー・フィッシュ・ピクチャーズが担当、日本アニメには珍しく大手映画会社が関わった[35]。本作は今が長年のファンであった音楽家平沢進との初タッグを組んだ作品で[36]、以降の作品でも音楽を担当している。

2003年、『東京ゴッドファーザーズ』が劇場公開。北米公開はソニー・ピクチャーズ系のデスティネーション・フィルムズが担った[35]。またこの作品からセルアニメではなく、デジタルアニメとなった[37]

2004年、初にして唯一のTVシリーズとなる『妄想代理人』を製作[38]。数々の社会的なテーマも取り入れられ[39]、映画では吸い上げることが出来なかった今が日頃から温めていたアイデアが再表現されている[40]

2006年、最後の長編作品となる『パプリカ』が劇場公開される。かねてから計画を温めていた作品であり、今による映像化は原作者の筒井たっての希望でもあったとされる[8]。数年来の構想が実現した本作はそれまで今が培ってきた演出テクニックがまとめて投入された「総決算」といった趣きのエンターテインメント作品で、主人公パプリカの造形をはじめ、今作品の中では最もキャラクター性が前面に出た「アニメらしい」作品でもある[41]。今は本作でも物語の要約だけではなく独自の解釈を加え、「基本的なストーリー以外は全て変えた」とコメントしている[42]。この作品も成功を収め、様々な映画祭で賞に輝いた。

2007年にNHKで放送された『アニ*クリ15』に参加。押井守や新海誠らの作品とともに、寝起きの女性の様子をスケッチした1分間の短編『オハヨウ』が放送された[41]。同年、日本アニメーター・演出協会(JAniCA)の設立に参与する[43]。2008年から死去するまでの2年半の間、母校の武蔵野美術大学映像学科アニメーション分野の客員教授を務める[12]
晩年?死去

その後、今は次回作として「3台のロボットの冒険を描く子ども向け映画」という長編『夢みる機械』の制作に着手[41]。今が初めて企画する子どもも楽しめるアニメ映画ということで、その内容は「地球上に住んでいるのはロボットのみとなった未来を舞台に、津波によって楽園から追い出される格好となったリリコとロビンの2体のロボットが「電気の国」を目指して旅をする姿を描く」というものだった[44]


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