人道に対する罪
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史上初めて元首経験者に対し逮捕状を執行したケースである[22][23]2010年コートジボワール危機における人権侵害行為があったとされた。罪状の証明や証拠不十分により2021年3月にバグボの無罪が確定した[24]
その他の事例

その他、ICCが正式に適用したわけではないが、「人道に対する罪」を適用すべきと提唱された事例を挙げる。

東京裁判[19]。1983年5月28・29日の池袋のシンポジウムでソウル大学教授白忠鉉は、東京裁判の欠陥として、日本統治下による人民虐待に対して戦勝国が人道に対する罪に注意を払わなかったことと指摘した[25][19]。他に幼方直吉[26]や、白?大学教授清水正義[19][27]、日本民主法律家協会理事で在日朝鮮人・人権セミナー事務局長の前田朗[28]らが旧日本軍の戦争犯罪について「人道に対する罪」違反と主張している。

また日本軍の慰安婦制度についても日本・韓国・アメリカの市民団体や研究者らが「人道に対する罪」違反と主張し、2013年1月19日にはニューヨーク州上院議会で日本軍慰安婦制度は、人道に対する罪にあたるとする決議を採択した。


ベトナム戦争時のカンボジア侵攻、チリ・クーデター工作、インドネシアによる東ティモール侵攻へのアメリカの協力を指揮した元国務長官国家安全保障問題担当大統領補佐官ヘンリー・キッシンジャーに対して、クリストファー・ヒッチンスシーモア・ハーシュらは「人道に対する罪」「戦争犯罪人」として糾弾した[29]

2009年5月5日、中国によるチベット民族弾圧 - スペイン最高裁判所(スペイン語版、英語版)サンチャゴ・ペドラズ(スペイン語版)(Santiago Pedraz)判事が中国政府高官8人を「人道に対する罪」を犯した容疑で裁判に召還することを発表、翌日には中国に通知された。容疑者にはチベット自治区党委員会書記張慶黎(中国語版、英語版、フランス語版)やウイグル自治区党委員会書記王楽泉が含まれている[30]。中国政府は「虚偽訴訟」として訴訟に応じないと発表した。

2010年 - 市民団体欧州放射線リスク委員会(ECRR)は勧告『低線量の電離放射線被曝のもたらす健康への影響』において、軍用の核兵器開発や核実験による放射能汚染を人道に対する罪とみなすべきとした[31]

2011年 - シリア騒乱 - 同年11月28日、国連独立調査委員会はシリアにおける反政府デモへの弾圧について「人道に対する罪」を犯していると指摘した[32]アサド政権に対し、人権侵害をやめ、海外メディアや人権監視団体などを受け入れるよう要請した。

2014年2月17日 - 国連の北朝鮮における人権状況に関する国連調査委員会は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)による日本人韓国人の拉致問題強制収容所における政治犯への拷問や虐待などの北朝鮮人権問題に関して、「人道に対する罪」に当たるとの初判断を下した[33]

2016年2月15日までに、北朝鮮における人権状況に関する国連調査委員会の特別報告者であるマルズキ・ダルスマンが北朝鮮で「人道に対する罪」に相当する人権侵害が行われているとした。ダルスマンは金正恩第1書記を含む指導部の刑事責任追及の方法を検討するように促す報告書をまとめ、国連人権理事会に提出した[34]

脚注[脚注の使い方]
注釈^ crimes de droit des gens

出典^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,22頁
^ 「戦争犯罪と法」多谷千賀子著 岩波書店
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,23頁
^ a b 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,20頁
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,21頁
^ BC級戦犯参照)
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,27頁
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,26頁
^ 外務省「外交白書」第13号1969年版,「わが外交の近況 昭和43年度」第二部第四章「国連の社会・人権問題」
^ 国際連合総会2758号決議
^ ドイツ連邦共和国(西ドイツ)、ドイツ民主共和国(東ドイツ)の国際連合への同時加盟は1973年9月18日
^「国際刑事裁判所をめぐる各国の対応―支持国と反対国それぞれの議論― 」国立国会図書館『調査と情報-ISSUE BRIEF』No.589、p.8
^ “国際刑事裁判所ローマ規程 - [第2部 管轄権、受理許容性及び適用される法] 第7条 人道に対する罪”. 2007年8月20日閲覧。
^ 第11条 時間についての管轄権 ―Article 11 Jurisdiction ratione temporis, 第2部 管轄権、受理許容性及び適用される法 ― PART 2. JURISDICTION, ADMISSIBILITY AND APPLICABLE LAW, 国際刑事裁判所ローマ規程
^ 第24条 人に関する不遡及 ―Article 24 Non-retroactivity ratione personae, 第3部 刑法の一般原則 ― PART 3. GENERAL PRINCIPLES OF CRIMINAL LAW, 国際刑事裁判所ローマ規程
^ 第29条 出訴期限の不適用 ―Article 29 Non-applicability of statute of limitations, 第3部 刑法の一般原則 ― PART 3. GENERAL PRINCIPLES OF CRIMINAL LAW, 国際刑事裁判所ローマ規程
^ “ ⇒Parliament recognises Ukrainian famine of 1930s as crime against humanity”. 欧州議会 (23-10-2008). 2011年5月閲覧。
^ “Joint Statement on Holodomor”. 国際連合. ウィキメディア財団 (2003年11月10日). 2011年5月閲覧。
^ a b c d 清水正義「国際軍事裁判所憲章第6条c項「人道に対する罪」に関する覚書」『東京女学館短期大学紀要』14号(1991年)


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