人称
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19世紀ヨーロッパの小説の多くは主人公第三人称で叙述されている[6]。例えば「近代小説の祖」といわれるセルバンテスの『ドン・キホーテ』、「現代小説の祖」といわれるフローベールの『ボヴァリー夫人』、他にカフカの『変身』、ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』などがそうである。

第三人称小説には、いわゆる「の視点」と「一元視点」がある。「一元視点」とはある特定の登場人物の視点から描写したものである。日本の近代文学作品には第一人称とこの第三人称一元描写の作品が多い。「神の視点」とは、物語世界外の語り手の視点から「全知」の存在として叙述するものである。
第二人称小説

第一人称第三人称のほかに、第二人称小説も存在する。具体的には、地の文で「君は」「あなたは」と語りかけるものになる。例えばミシェル・ビュトール『心変わり』やジェイ・マキナニー『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』、都筑道夫『やぶにらみの時計』、倉橋由美子『暗い旅』、多和田葉子容疑者の夜行列車』などは全編が第二人称で叙述されている。
その他の人称形式小説

アゴタ・クリストフのLe grand cahier(『大きなノート』、邦訳『悪童日記』、堀茂樹訳)は、第一人称複数形式(「ぼくら」)で成功した有名な小説である。また、村上春樹の『アフターダーク』は小説内世界に肉体を持たない第一人称複数視点(私たち)を主語にしている実験的小説である。
脚注^ Siewierska 2004.
^ Siewierska 2011a.
^ a b c d Siewierska 2011b. ⇒地図
^ Osumi, Midori. Tinrin Grammar. Honolulu: University of Hawaii Press. 1995: 215, 177, 182.
^ Siewierska 2011c.
^ シュタンツェル。

参考文献

庵功雄『新しい日本語学入門: ことばのしくみを考える』スリーエーネットワーク、2001年。

仁田義雄『日本語のモダリティと人称』ひつじ書房、1991年。

西田直敏『敬語』東京堂出版、1987年。

Siewierska, Anna.(2004) Person. Cambridge University Press.

Siewierska, Anna. (2011a) “Alignment of Verbal Person Marking”. Dryer & Haspelmath(eds.) ⇒chapter 100.

Siewierska, Anna. (2011b) “Verbal Person Marking”. Dryer & Haspelmath(eds.) ⇒chapter 102.

Siewierska, Anna. (2011c) “Order of Person Markers on the Verb”. Dryer & Haspelmath(eds.) ⇒chapter 104.

Dryer, Matthew S. & Haspelmath, Martin eds.(2011) ⇒The World Atlas of Language Structures Online. Munich: Max Planck Digital Library.

F. シュタンツェル『物語の構造:〈語り〉の理論とテクスト分析』岩波書店、前田彰一訳、1989年。

ジェラール・ジュネット『物語のディスクール:方法論の試み』水声社、花輪光・和泉涼一訳、1985年。

関連項目

人称変化

所有接辞

逆行態

エゴフォリシティ

アロキュティビティ

典拠管理データベース: 国立図書館

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ドイツ

イスラエル

アメリカ

チェコ


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