人生劇場
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飛車角が7年の刑期を終えて出所してくると、出迎えたのは吉良常だった。この7年の間に、小金の一家がすっかり落ちぶれて、デカ虎が残党を集め、勢力を盛り返し、寺兼と白鉄も袋叩きにされ、一家はわずか3、4人にまでになったこと。宮川がおとよを連れて出奔してしまったことなど聞かされる。動揺する飛車角に、吉良常は実は宮川に会ってほしいと、待たせてあるんだと自分の住まいに連れて行く。宮川が、おとよとのことで飛車角に謝ったあと3人で飲もうということになり、宮川が酒を買いに行く。しかし、彼は酒屋には行かず、そのまま砂町の太陽シネマに行き、デカ虎を斬りつける。宮川は現場から逃走するが、警察に捕まり、20日間の勾留ののち、本庁に回されるというところで、警察から逃げ出し、吉良常のもとにやってくる。飛車角と吉良常は宮川をなんとか救ってやる算段をする。海北ホテルの一室、瓢吉のもとに夏村が名古屋の選挙区から、代議士の選挙に打って出るので、応援の依頼にやってくる。夏村の選挙の応援演説のため名古屋に向かう列車の中で、瓢吉は石上乱月と再会する。彼も応援演説に向かうところだった。占拠には旧友の吹岡も駆けつけていた。選挙運動を終えて、宿屋に戻った瓢吉のもとに、飛車角が吉良常の容態が急を告げているとの知らせを持ってやってくる。瓢吉は急遽、飛車角と横須賀村に向かう。吉良常は観月ホテルにいる。夏村が選挙で当選したとの知らせに気分も高揚する中、瓢吉とお袖に見守られて吉良常は息を引き取る。通夜の準備が進む中、おとよが飛車角を探して会いに来る。飛車角はおとよへの思いが、断ち切れず、探しに行くと入れ違いに出発したところだった。
風雲編
離愁編
夢幻編
望郷篇
モデルとの相関関係

登場人物の一人である飛車角は、「ぶったぐりの彦」もしくは「ぼったくりの彦」と呼ばれた戦前ヤクザ・石黒彦市がモデルとされる。しかし、石黒は昭和17年(1942年)9月2日に右翼団体大化会村岡建次(後の暴力団北星会会長・岡村吾一)の舎弟・水原新太郎(本名は菊池貞雄)に、東京市麹町区(現在の東京都千代田区)の政友会本部近くで銃撃され、翌日死亡している。石黒彦市が自分の恋人を売り飛ばした女衒を殺したのは事実だが、小説映画の勇ましい侠客ぶりとは異なり、恐喝を繰り返し、身内の高橋一家(生井一家灘竹三代目の高橋林太郎の舎弟分)の人間から意見されると殺して、親分の女房まで傷つける凶悪な人物とされ、戦後になっても、映画監督の石井輝男安藤昇から「飛車角ってのは本当は悪いやつでね」と教えられたとしている[5]

その他、南喜一(車嘉七)、茂木久平(高見剛平)、高木徳(新海一八)、宇野千代(小岸照代)などが登場人物のモデルとして著名。
文学碑

愛知県西尾市吉良町宮崎・吉良温泉三河湾を望む高台に、「人生劇場の碑」がある。石は根府川石で、文字は尾崎士郎本人のもの。昭和40年(1965年)に尾崎士郎顕彰会によって建てられた。
映画

ポータル 映画
プロジェクト 映画

これまでに14回映画化されている。戦後の作品では1968年版と1972年版が有名。
日活・内田吐夢監督版

詳細は「人生劇場 (1936年の映画)」を参照

人生劇場
監督内田吐夢
脚本亀屋原徳
原作尾崎士郎
出演者小杉勇
飛田喜美雄
吉田一子
山本礼三郎
撮影横田達之
製作会社日活
公開1936年2月13日
上映時間118分
製作国 日本
言語日本語
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『人生劇場』の題名で、1936年(昭和11年)2月13日に公開。日活多摩川撮影所製作、日活配給。モノクロスタンダード、117分(現存49分[6])。第13回キネマ旬報ベスト・テン第2位。
スタッフ

監督:
内田吐夢

脚本:亀屋原徳、八木保太郎

撮影:横田達之

キャスト

青成瓢太郎、瓢吉:
小杉勇

母おみね:吉田一子

吉良常:山本礼三郎

半助:吉谷久雄

三平:村田宏寿

甚:横山運平

おりん:黒田記代

おりんの母:紅沢葉子

瓢吉の少年時代:飛田喜美雄

戸田先生:小杉凡作

夏村:菊地良一

夏村の父:佐藤円治

お袖:村田知栄子

吹岡:見明凡太朗

横井:潮万太郎

岡部代議士:高木永二

和尚:中村吉次

杉原:上代勇吉

教授:長尾敏之助

とん蝶:星ひかる

日活・千葉泰樹監督版

人生劇場 残侠篇
監督
千葉泰樹
脚本吉田二三夫
原作尾崎士郎
出演者片岡千恵蔵
小杉勇
山本礼三郎
高木永二
撮影長井信一
製作会社日活


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