人工衛星
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1945年、アメリカ合衆国(米国)のSF作家アーサー・C・クラークは雑誌ワイヤレス・ワールド(英語版)上で、通信衛星を用いたマスコミュニケーションの可能性を詳細に記述した[5]。また、クラークは人工衛星打ち上げの計画、可能な衛星軌道などについても調査し、3機の静止軌道衛星で地球全体をカバーすることを提案した。
人工衛星の誕生詳細は「宇宙開発競争」を参照スプートニク1号:世界初の人工衛星

第二次世界大戦中にナチス・ドイツが開発したV2ロケットの技術とその技術者を取り込んだアメリカソ連のロケット技術は急速な進歩を成し遂げ、人工衛星が現実のものとなりつつあった。

アメリカは1945年より海軍航空局(英語版)の下、人工衛星の打ち上げを検討してきた。1946年5月にアメリカ空軍ランド研究所が提出した報告書『実験周回宇宙船の予備設計』(Preliminary Design of a Experimental World-Circling Spaceship) には「適当な装置を搭載した人工衛星は20世紀の最も強力な科学ツールの一つになりうる」と述べられており[6]、人工衛星が軍事的重要性を持つとは思っておらず、むしろ科学的、政治的、プロパガンダ的なものと当時見なしていた。アメリカ国防長官チャールズ・E・ウィルソンは1954年に「私は国内の人工衛星計画を知らない」(I know of no American satellite program) と述べた[7]

1955年7月29日、ホワイトハウス1958年の春までに人工衛星を打ち上げると発表した。これはヴァンガード計画として知られるようになる。同年7月31日、ソ連は1957年の秋までに人工衛星を打ち上げると発表した。

ソ連のセルゲイ・コロリョフと助手のケリム・ケリモフ(英語版)が率いるスプートニク計画が始まり、1957年10月4日初の人工衛星「スプートニク1号」が打ち上げられた[8]。スプートニク1号はその軌道変化を分析することによって地球の大気上層の密度の確認に役立ち、電離層無線信号外乱のデータを提供した。衛星の機体は加圧された窒素で満たされており、地球に送信された温度データから隕石が機体表面を貫通し、内圧が低下したことがわかった。これは初の流星物質の探知であった。

この突然の成功がアメリカにスプートニク・ショックを引き起こし、その後のアメリカとソ連の熾烈な宇宙開発競争に繋がっていった。

スプートニク1号から3年半が経過した1961年6月、アメリカ空軍は米国宇宙監視ネットワーク(英語版)のリソースを利用し、115の人工衛星の目録を作成した[9]
宇宙監視網

米国宇宙監視ネットワーク (SNN) は1957年より地球周辺の人工物を追跡しており、2008年時点で8,000以上が対象となっている。軌道上に存在する人工物は数トンの人工衛星から5キログラムのロケットの部品まで様々で、SNNが監視している人工物は直径10センチメートル以上である。これらの7パーセントは運用中の人工衛星であり、それ以外は全てスペースデブリである[10]

アメリカ戦略軍は主に活動中の衛星に関心を持つが、弾道ミサイルの接近と誤認しないように、再突入するであろうスペースデブリも追跡している。「北アメリカ航空宇宙防衛司令部」(NORAD)も参照。
非軍事衛星業務

非軍事的な人工衛星の業務は基本的に3種類存在する[11]
固定衛星サービス

固定サービス衛星(英語版)は国や大陸をはさんで、特定の地点間の何千億もの音声、動画、データ通信タスクを処理している。
モバイル衛星システム

モバイル衛星システムは辺境にある自動車や船舶、飛行機、人々にナビゲーションシステムとして利用されることだけでなく、世界の違う場所にいる、もしくは他のモバイル・固定通信装置と通信することに使用される。
科学観測衛星(営利・非営利)詳細は「地球観測衛星」を参照

科学観測衛星は気象情報や地上情報、といった地球科学的、海洋学的、大気学的調査に利用される。
分類ミルスター:通信衛星
目的による分類

軍事衛星:軍事目的の衛星。今までに最も多く打ち上げられた衛星。

衛星攻撃兵器/キラー衛星:敵の衛星を攻撃するための兵器。粒子ビーム兵器、エネルギー兵器、運動エネルギー兵器核ミサイルまたは通常弾道ミサイルなどを用いて破壊する。

偵察衛星/スパイ衛星:軍事目的のリモートセンシング衛星通信衛星。運営者である政府が情報を秘匿するため、これらの完全な性能が知られることはほとんど無い。早期警戒衛星はここに分類される。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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