世界初の人工衛星スプートニク1号は地球周回軌道に打ち上げられた。現在、この種類の軌道が最も一般的なので、軌道名に地球を省略することが多い。地球周回軌道はさらに、高度、軌道傾斜角、軌道離心率によって分類される。
中心による分類
銀河周回軌道:銀河の中心を周回する軌道。地球の太陽は銀河系の銀河核を周回しているので、この軌道に分類される。
太陽周回軌道:太陽の周りを周回する軌道。太陽系では全ての惑星、準惑星、彗星、小惑星はこの軌道に属する。人工衛星がこの軌道に入ると人工惑星とも呼ばれる。
地球周回軌道:月のように地球の周りを周回する軌道。2006年時点で、およそ2465機の人工衛星がこの軌道に存在する。
月周回軌道:地球の自然衛星である月を周回する軌道。月探査機を参照。月(平均高度384,403 km、楕円-傾斜軌道)を回りながら地球も回る。
火星周回軌道:火星の衛星のように火星の回りを周回する軌道。
高度による分類
低軌道(LEO):高度2,000km以下の地球周回軌道。国際宇宙ステーションなどはこの軌道に存在する。
中軌道(MEO):高度2,000kmから地球同期軌道(35,786km)までの地球周回軌道。
高軌道(HEO):地球同期軌道より外の地球周回軌道。
軌道傾斜角による分類
傾斜軌道:衛星の軌道傾斜角が惑星の赤道に対して傾いている軌道。
極軌道:惑星の極、または極近傍の上空を通過する軌道。よって軌道傾斜角は90°近くなる。
極太陽同期軌道:極軌道に近く、赤道を常に同じ現地時間で通過する軌道。影が常に同じ場所にできるので画像の撮影に便利である。
順行軌道:軌道傾斜角が90°以下の軌道。惑星の自転と同方向に周回する。
逆行軌道:軌道傾斜角が90°以上の軌道。惑星の自転方向とは逆向きに周回する。太陽同期軌道は別にして、燃料の問題で逆行軌道に投入される衛星はほとんど無い。なぜなら、地球からロケットを打ち上げる際、飛翔体は既に射場の緯度と同じ自転速度分を得ているからである。
離心率による分類静止トランスファ軌道と静止軌道
円軌道:軌道離心率が0で、円の形をした軌道。
楕円軌道:軌道離心率が0より大きく1より小さい軌道。楕円を描く。
静止トランスファ軌道:近地点が低軌道上で、遠地点が静止軌道上にある楕円軌道。
モルニア軌道:軌道傾斜角が63.4°で、公転周期が恒星時の半分である楕円軌道。
ツンドラ軌道:軌道傾斜角が63.4°で、公転周期が恒星時と同じである楕円軌道。
双曲線軌道:1以上の離心率を持つ軌道。宇宙速度以上の速度を持ち、天体の引力を振り切る。
放物線軌道:離心率が1である軌道。宇宙速度と同じ速度を持ち、地球の引力を振り切る。速度が増加すれば双曲線軌道になる。
脱出軌道(英語版)(EO):物体が宇宙速度で地球から離れていく放物線軌道。
捕捉軌道(英語版):物体が宇宙速度で地球に近づいていく放物線軌道。
周期性による分類静止軌道
回帰軌道:1日のうちに惑星を何度か周回し、1日後の同じ時刻に元の地表面上空に戻る軌道。惑星の自転周期が衛星の公転周期の整数倍になっている。
同期軌道(SO):惑星の自転周期と衛星の公転周期が等しい軌道。地上観測者から見ると衛星はアナレンマ上を動く。
地球同期軌道(GEO):地球を周回する同期軌道。高度約 35,786 km。
静止軌道(GSO):軌道傾斜角が0°の対地同期軌道。地上の観測者からは衛星が空に固定されているように見える[18]。アーサー・C・クラークに因んでクラーク軌道とも呼ばれる。