1955年7月29日、ホワイトハウスは1958年の春までに人工衛星を打ち上げると発表した。これはヴァンガード計画として知られるようになる。同年7月31日、ソ連は1957年の秋までに人工衛星を打ち上げると発表した。
ソ連のセルゲイ・コロリョフと助手のケリム・ケリモフ(英語版)が率いるスプートニク計画が始まり、1957年10月4日初の人工衛星「スプートニク1号」が打ち上げられた[8]。スプートニク1号はその軌道変化を分析することによって地球の大気上層の密度の確認に役立ち、電離層の無線信号外乱のデータを提供した。衛星の機体は加圧された窒素で満たされており、地球に送信された温度データから隕石が機体表面を貫通し、内圧が低下したことがわかった。これは初の流星物質の探知であった。
この突然の成功がアメリカにスプートニク・ショックを引き起こし、その後のアメリカとソ連の熾烈な宇宙開発競争に繋がっていった。
スプートニク1号から3年半が経過した1961年6月、アメリカ空軍は米国宇宙監視ネットワーク(英語版)のリソースを利用し、115の人工衛星の目録を作成した[9]。 米国宇宙監視ネットワーク (SNN) は1957年より地球周辺の人工物を追跡しており、2008年時点で8,000以上が対象となっている。軌道上に存在する人工物は数トンの人工衛星から5キログラムのロケットの部品まで様々で、SNNが監視している人工物は直径10センチメートル以上である。これらの7パーセントは運用中の人工衛星であり、それ以外は全てスペースデブリである[10]。 アメリカ戦略軍は主に活動中の衛星に関心を持つが、弾道ミサイルの接近と誤認しないように、再突入するであろうスペースデブリも追跡している。「北アメリカ航空宇宙防衛司令部」(NORAD)も参照。 非軍事的な人工衛星の業務は基本的に3種類存在する[11]。 固定サービス衛星 モバイル衛星システムは辺境にある自動車や船舶、飛行機、人々にナビゲーションシステムとして利用されることだけでなく、世界の違う場所にいる、もしくは他のモバイル・固定通信装置と通信することに使用される。 科学観測衛星は気象情報や地上情報、といった地球科学的、海洋学的、大気学的調査に利用される。
宇宙監視網
非軍事衛星業務
固定衛星サービス
モバイル衛星システム
科学観測衛星(営利・非営利)詳細は「地球観測衛星」を参照
分類ミルスター:通信衛星
目的による分類
軍事衛星:軍事目的の衛星。今までに最も多く打ち上げられた衛星。
衛星攻撃兵器/キラー衛星:敵の衛星を攻撃するための兵器。粒子ビーム兵器、エネルギー兵器、運動エネルギー兵器、核ミサイルまたは通常弾道ミサイルなどを用いて破壊する。
偵察衛星/スパイ衛星:軍事目的のリモートセンシング衛星や通信衛星。運営者である政府が情報を秘匿するため、これらの完全な性能が知られることはほとんど無い。早期警戒衛星はここに分類される。
通信衛星:電気通信を目的とする衛星。21世紀初頭の通信衛星は一般的に対地同期軌道、モルニア軌道、低軌道を利用する。
放送衛星:地上の放送局から発信された電波を各家庭のアンテナまで中継する衛星。
科学衛星:地球、惑星、太陽などの天体や宇宙線、電離層といった宇宙空間の科学観測を目的とする衛星。
宇宙望遠鏡/天文衛星:地球以外の惑星や銀河など外宇宙の天体を観測目的とする衛星。
'惑星周回探査機: 火星や木星などを周回する衛星。人工衛星と呼ばれることは稀である。
地球観測衛星:環境モニタリングや気象学、地図学といった非軍事的な地球上の観測を目的とした人工衛星。気象衛星や、海洋観測衛星
生物衛星:宇宙生物学的目的で生物をのせた衛星。科学衛星には分類されない。
航行衛星:地上の携帯型受信機が現在の正確な場所を判明できるように無線報時信号を送信する衛星。リアルタイムで誤差数メートルの衛星ナビゲーションシステムを可能とした。米国のGPS衛星のほか、欧州のガリレオ、ロシア連邦のGLONASS、中国の北斗衛星導航系統などがある。
それ以外の分類
小型衛星:小型・軽量の人工衛星[12]。アマチュア衛星、ピギーバック衛星、CubeSatなどはほとんどがここに分類される。新しい分類法ではミニ衛星(500-100kg)、マイクロ衛星(100-10kg)、ナノ衛星(10kg以下)とさらに分けられる[13]。
宇宙ステーション:宇宙空間に人間が生存できるよう設計された構造物。推進・着陸装置が無いという点で他の有人宇宙船とは区別される。
原子力衛星
テザー衛星:テザーと呼ばれる細いケーブルで他の衛星と繋がれた衛星。
衛星コンステレーション:数十から時には数千を超える多数の衛星を組み合わせた衛星システム。
構想
太陽光発電衛星:軌道上で太陽光発電を行い電力をマイクロ波などで地上に送る衛星。「宇宙太陽光発電」を参照。
掃除衛星:デブリを除去する目的の衛星。2020年度を目途に日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発に乗り出した[14]。デブリに導電性のテザー(紐)を取り付けて軌道を下げ大気圏に突入させるというアイディアが提唱されている(テザー推進も参照)[15][16]。テザーの開発は漁網メーカーの日東製網が協力している[17]。名称は暫定的なものである。
軌道の種類「人工衛星の軌道」および「人工衛星の軌道要素」を参照.mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{} 低軌道 中軌道 国際宇宙ステーションの軌道 GPS衛星 対地同期軌道