人工知能
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人工知能(じんこうちのう、: artificial intelligence)、AI(エーアイ)とは、「『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computer science)の一分野」を指す語[1]。「言語理解推論問題解決などの知的行動人間に代わってコンピュータに行わせる技術[2]、または、「計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システム設計や実現に関する研究分野」ともされる[3]。大学でAI教育研究は、情報工学科[4][5][6]情報理工学科コンピュータ科学専攻などの組織で行われている[4][7]工学〔エンジニアリング〕とは、数学化学物理学などの基礎科学を工業生産に応用する学問[8][注釈 1])。

日本大百科全書(ニッポニカ)』の解説で、情報工学者・通信工学者の佐藤理史は次のように述べている[1]

「誤解を恐れず平易にいいかえるならば、「これまで人間にしかできなかった知的な行為(認識、推論、言語運用、創造など)を、どのような手順(アルゴリズム)とどのようなデータ(事前情報や知識)を準備すれば、それを機械的に実行できるか」を研究する分野である[1]。」

1200の大学で使用された事例がある計算機科学の教科書『エージェントアプローチ人工知能』[10]は、最終章最終節「結論」で、未来はどちらへ向かうのだろうか?と述べて次のように続ける[11]SF作家らは、筋書きを面白くするためにディストピア的未来を好む傾向がある[11]。しかし今までのAIや他の革命的な科学技術(出版・配管・航空旅行・電話システム)について言えば、これらの科学技術は全て好影響を与えてきた[11]。同時にこれらは不利な階級へ悪影響を与えており、われわれは悪影響を最小限に抑えるために投資するのがよいだろう[11]。論理的限界まで改良されたAIが、従来の革命的技術と違って人間の至高性を脅かす可能性もある[11]。前掲書の「結論」は、次の文で締めくくられている[11]

「結論として、AIはその短い歴史の中で大いに発達したが、アラン・チューリングの「計算機械と知能」(1950年)という小論の最後の文は今も有効である。つまり
「われわれは少し先までしか分からないが、多くのやるべきことが残っているのは分かる」[11][注釈 2]。」

概要
「人工知能」の定義・解説

出典定義・解説
日本語辞典『
広辞苑』推論・判断などの知的な機能を備えたコンピュータ・システム[12]
百科事典『ブリタニカ百科事典』科学技術 > コンピュータ … 人工知能(AI)。一般的に知的存在に関連している課題をデジタルコンピュータやコンピュータ制御のロボットが実行する能力〔アビリティ〕[13]
人工知能学会記事「教養知識としてのAI」『人工知能とは何か』という問いに対する答えは,単純ではない.人工知能の専門家の間でも,大きな議論があり,それだけで1 冊の本となってしまうほど,見解の異なるものである.そのような中で,共通する部分を引き出して,一言でまとめると,『人間と同じ知的作業をする機械を工学的に実現する技術』といえるだろう[14]
学術論文「深層学習と人工知能」人工知能は,人間の知能の仕組みを構成論的に解き明かそうとする学問分野である[15]
学術論文「人工知能社会のあるべき姿を求めて」人工知能をはじめとする情報技術はあくまでツール[16]

人間の知的能力をコンピュータ上で実現する、様々な技術・ソフトウェア群・コンピュータシステムアルゴリズムとも言われる[17]。主力な特化型AIとしては、

自然言語処理機械翻訳かな漢字変換構文解析形態素解析RNN等)[18][19]


専門家の論理、知識や条件による判断を模倣するエキスパートシステムナレッジグラフ、因果推論

データから特定のパターンを検出・抽出、予測、分類する統計的機械学習及び深層学習(画像認識音声認識・数値予測・故障診断)

データの特徴量を圧縮し、別の情報を作り出す深層学習(VAE拡散モデル)

優秀な個体を自然淘汰で選別する遺伝的アルゴリズム

最善手の探索(モンテカルロ木探索ダイクストラ法)

等がある[17]
概史

人工知能という分野では、コンピュータの黎明期である1950年代から研究開発が行われ続けており、第1次の「探索と推論」,第2次の「知識表現」というパラダイムで2回のブームが起きたが、社会が期待する水準に到達しなかったことから各々のブームの後に冬の時代を経験した[20]

しかし2012年以降、Alexnetの登場で画像処理におけるディープラーニングの有用性が競技会で世界的に認知され、急速に研究が活発となり、第3次人工知能ブームが到来[21]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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