日本人の氏名を含む身分関係(家族関係)は、戸籍に登録される。例外として、天皇及び皇族の身分関係は、戸籍ではなく皇統譜に登録される(皇室典範26条)。また、天皇及び皇族は、「氏」を持たない。これは歴史的に氏や姓が身分が上の者から与えられるものだったためである。 氏の種類は、30万種を超えるとされている[44]。氏の多くは2文字の漢字から成っており、人数の多い上位10氏はすべて漢字2文字から成る[45]。 また氏の多くは地名に由来するため、地名に関する漢字を含むものが多い。 海外からの移民を除き、基本的に日本人の氏は漢字である。 氏の大半は地名に基づいている(この理由を17世紀のイエズス会士ロドリゲスは「日本語小文典」のなかで、「名字(苗字のこと)は個々の家が本来の所有者として、所有している土地に因んでつける」と記述している[46]。)。このため、地名に多い田・山・川・村・谷・森・木・林・瀬・沢・岡・崎など、地形や地勢を表す漢字、植物や道に関するものなど及び方位を含む氏が多数を占める。色彩の一字のみで表される氏(白・黒・赤・青・黄など)はあまり存在しないが「緑」氏や「金」氏(ただし読みは「こん」)の例はあるほか在日コリアンに「白」氏がいる(緑健児、金易二郎、白仁天)。 この節のほとんどまたは全てが唯一の出典にのみ基づいています。他の出典の追加も行い、記事の正確性・中立性・信頼性の向上にご協力ください。
氏詳細は「氏」を参照
氏の種類
1文字:林、森、原、関、東、辻、堀、岡、南、西など
2文字:佐藤、鈴木、齋藤、高橋、田中、渡辺、伊藤、中村、小林、山本、加藤など
3文字:佐々木、長谷川、五十嵐、久保田、大久保、小野寺、佐久間、小笠原、宇佐見、大和田など
4文字:勅使河原(てしがわら)、小比類巻(こひるいまき)、長宗我部(ちょうそかべ)など
5文字:勘解由小路(かでのこうじ)、左衛門三郎(さえもんさぶろう)など
※1文字から3文字の氏は、人数の多い順[45]。読み方は代表的なものを記載。
氏の取得と変動「夫婦別姓」も参照
出典検索?: "人名"
現在、日本では氏の取得と変動は民法の規定によって定まる。夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する(民法750条)。嫡出である子は父母の氏を称し、嫡出でない子は母の氏を称する(民法790条)。また、養子は養親の氏を称する(民法810条)。
この法では、夫婦の「氏」は夫婦が互いの氏から自由に選べる。しかし慣習的に多くの夫婦は、夫の氏を選択している(2005年度(平成17年度)の1年間に婚姻した夫婦を対象とする調査によれば、全体の96.3%の夫婦が夫の氏を選択した[47])。これは1948年(昭和23年)の改正前民法(家族法)に見られるように、婚姻を妻が夫の「家」に入ると考える(家制度)と、全ての「家」の構成員が、夫を筆頭とする「家の氏」にまとめられるという、男系家制度の慣習を反映している。婚姻又は養子縁組によって氏が変更があると、もとの氏を「旧姓」という[注釈 8]。
なお、夫婦同氏制(夫婦同姓)については、1996年(平成8年)に法制審議会が出した「民法改正案要綱」[48]で、選択的夫婦別氏制度(夫婦別姓)が定められたことをきっかけに、その賛否が論じられている。東アジアにおける中国、朝鮮半島、インドでは、伝統的に夫婦別姓であった。タイは名字を用い始めたのは20世紀以降であり、その際には妻は夫の姓を称することが義務付けられていた[49]。ドイツやタイでは夫婦同氏を義務としていたが、憲法違反であるとして改正されている[49]。現在では、日本以外の国家はすべて夫婦別姓を取ることが可能であり、夫婦同姓のみを義務とする国家は日本のみとなっている。日本では、職業やその他の理由によって、夫婦の片方が旧姓を通称として名乗り続けることがある。2011年に最高裁判所は夫婦同姓義務は憲法違反ではないという判決を下しているが、別の姓を称することをまったく認めないことに合理性はないという少数意見も出された[50]。