京都議定書
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しかし2008年度から2012年度の国内の排出量の平均は逆に基準年に対して1.4%上回った[17]。これに森林等吸収量(基準年比3.9%相当)と京都メカニズムクレジット(基準年比5.9%相当)を考慮すると、基準年比-8.4%となり、目標を達成した[18]
各国の取組状況

削減義務を負う国・地域(附属書I国)の、1990年から第一約束期間にかけての温室効果ガス排出量の増減割合を下表に示す[19]。緑色は目標達成、赤色は目標不達成を表している。

国・地域2008年から2011年の温室効果ガス排出量平均値の

京都議定書基準年からの変化率 (吸収源活動を除く)2012年までの
EU域内の目標値議定書の削減義務
2008-2012年
EU-11.4%--8%
 ドイツ-24.0%-21%↑
 フランス-9.6%±0%↑
 イギリス-24.1%-12.5%↑
 アイルランド+11.7%+13%↑
 スペイン+26.0%+15%↑
 ポルトガル+22.6%+27%↑
 ギリシャ+13.6%+25%↑
 スウェーデン-13.5%+4%↑
 デンマーク-12.5%-21%↑
 ノルウェー+7.7%-+1%
 ロシア-33.1%-±0%
 ウクライナ-57.3%-±0%
 日本+0.2%--6%
 オーストラリア+0.4%-+8%
 ニュージーランド+17.2%-±0%

京都議定書に関する議論

地球温暖化対策や京都議定書の在り方については、多種多様な議論がある。中でも、温室効果ガスの削減の具体的手法、数値目標については、各国の意見が対立する例が多く、個人レベルでも議論がある。また、京都議定書の必要性や効果については、懐疑論(疑問視する意見)が展開されることも少なくないが、その中には信頼性に乏しいものも多く含まれている。
メカニズムに関する議論
日本国内での議論

京都議定書の削減義務に対しては、日本国内で下記のような議論も見られる。

京都会議の議長国であった日本には、会議を成功させるという、国内外の世論によるプレッシャーがかかっていた。会議をまとめやすくするという
外務省の思惑と、国内の温暖化対策を加速させるという環境省の思惑とがあった[20]


日本の数値目標が-6%になった経緯は日米欧の非公式会合での政治的合意によるものであり、アメリカと日本が足並みをそろえたのは、途上国の参加を促すためであったが、米上院はバード・ヘーゲル決議(英語版)を採択していたので、途上国が参加しない場合など、3項に当てはまる場合は、上院が議定書を批准しないことが決まっていた。また、欧州ロシア、米国は、それぞれの国のエネルギー事情から、数値目標が達成可能かどうかや、経済に与える影響をあらかじめシミュレーションしていたが、日本は6%に対して、裏づけがないまま合意に至っている。[21]


@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}日本の達成が難しいと囁かれ始めた 2007年頃になって、京都議定書自体が欧米諸国による政治的な圧力であるという陰謀論が、一部評論筋や個人の論評などで、にわかに唱えられはじめるようになった[要出典]。


ポスト京都議定書の協議が始まるようになると、温室効果ガス排出量削減の必要性は認めながらも、「GDP比のCO?排出量は、日本を1とすると、EU(25カ国)は1.7、アメリカは2.1、中国は10.8である」「日本のエネルギー効率は高いことから削減余地が少ない」「エネルギー効率が反映されかつ技術的に合理性のある衡平な枠組を求めるべき」といった主張が、日本経済団体連合会より出された[22]

効果に関する議論

京都議定書の効果に対しては、下記のような議論も見られる。

現段階から米国が参加しても、温度上昇を 2100年までに0.15改善したり、2.5cm の海面上昇を抑えたりする程度の効果であり「地球温暖化を 6年程度遅らせるほどの効果である」[23]「京都議定書が保守的に守られた仮定でも効果は限定的」との指摘もあるものの、一定の成果であるといった評価がされている。
地球温暖化問題に対する懐疑論

地球温暖化に対してはその信頼性や影響について様々な懐疑論が見られる。「地球温暖化に対する懐疑論」を参照
京都議定書後の世界「ポスト京都議定書」を参照

京都議定書の定める2012年以降の枠組みについては、「ポスト京都議定書」という通称で国際的な話し合いがもたれ、「カンクン合意」として結実した。
第二約束期間の設定

2012年12月にカタールドーハで開催された京都議定書第8回締約国会合(CMP8)において、京都議定書の改正案が採択された[24]。2013年から2020年までの7年間を第二約束期間とすること、排出量を1990年の水準から少なくとも18%削減すること、新たに三フッ化窒素(NF3)が削減対象のガスに追加されること、約束期間の途中で数値目標の上乗せができることなどが盛り込まれた。

日本は第二約束期間の数値目標がない。

この改正が発効するには締約国(192か国)の4分の3(144か国)以上が受諾手続きを済ませる必要がある。2020年10月28日に147か国が受諾し[25]、同年12月31日発効。

第二約束期間の数値約束は以下の通り。

76% (-24%) -  ウクライナ

78% (-22%) -  モナコ

80% (-20%) -  オーストリア、 ベルギー、 ブルガリア、 キプロス、 チェコ、 デンマーク、 エストニア、 フィンランド、 フランス、 ドイツ、 ギリシャ、 ハンガリー、 イタリア、 ラトビア、 リトアニア、 ルクセンブルク、 マルタ、 オランダ、 ポーランド、 ポルトガル、 ルーマニア、 スロバキア、 スロベニア、 スペイン、 スウェーデン、 イギリス、(以上、 欧州連合27か国)、 クロアチア、 アイスランド

84% (16%) -  リヒテンシュタイン、 ノルウェー

84.2% (-15.8%) -  スイス

88% (-12%) -  ベラルーシ

95% (-5%) -  カザフスタン

99.5% (-0.5%) -  オーストラリア

数値目標なし -  カナダ(2012年12月に京都議定書離脱)、 日本、 ニュージーランド、 ロシア

欧州連合27か国とクロアチア、アイスランドの計29か国は京都議定書第4条の下で共同で削減を行うこと(バブル)が認められている。
脚注
注釈^ スウェーデンの数値はEU域内で割り当てた目標値である。なお、同国ではそうしたEU諸国の理解に甘んじることなく、たとえば南部のベクショーでは 2010年までに 1993年比50%削減といった目標を、コミューンが独自に掲げて取り組むといった努力が続けられている。[要出典]


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