京都議定書
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会議をまとめやすくするという外務省の思惑と、国内の温暖化対策を加速させるという環境省の思惑とがあった[20]


日本の数値目標が-6%になった経緯は日米欧の非公式会合での政治的合意によるものであり、アメリカと日本が足並みをそろえたのは、途上国の参加を促すためであったが、米上院はバード・ヘーゲル決議(英語版)を採択していたので、途上国が参加しない場合など、3項に当てはまる場合は、上院が議定書を批准しないことが決まっていた。また、欧州ロシア、米国は、それぞれの国のエネルギー事情から、数値目標が達成可能かどうかや、経済に与える影響をあらかじめシミュレーションしていたが、日本は6%に対して、裏づけがないまま合意に至っている。[21]


@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}日本の達成が難しいと囁かれ始めた 2007年頃になって、京都議定書自体が欧米諸国による政治的な圧力であるという陰謀論が、一部評論筋や個人の論評などで、にわかに唱えられはじめるようになった[要出典]。


ポスト京都議定書の協議が始まるようになると、温室効果ガス排出量削減の必要性は認めながらも、「GDP比のCO?排出量は、日本を1とすると、EU(25カ国)は1.7、アメリカは2.1、中国は10.8である」「日本のエネルギー効率は高いことから削減余地が少ない」「エネルギー効率が反映されかつ技術的に合理性のある衡平な枠組を求めるべき」といった主張が、日本経済団体連合会より出された[22]

効果に関する議論

京都議定書の効果に対しては、下記のような議論も見られる。

現段階から米国が参加しても、温度上昇を 2100年までに0.15改善したり、2.5cm の海面上昇を抑えたりする程度の効果であり「地球温暖化を 6年程度遅らせるほどの効果である」[23]「京都議定書が保守的に守られた仮定でも効果は限定的」との指摘もあるものの、一定の成果であるといった評価がされている。
地球温暖化問題に対する懐疑論

地球温暖化に対してはその信頼性や影響について様々な懐疑論が見られる。「地球温暖化に対する懐疑論」を参照
京都議定書後の世界「ポスト京都議定書」を参照

京都議定書の定める2012年以降の枠組みについては、「ポスト京都議定書」という通称で国際的な話し合いがもたれ、「カンクン合意」として結実した。
第二約束期間の設定

2012年12月にカタールドーハで開催された京都議定書第8回締約国会合(CMP8)において、京都議定書の改正案が採択された[24]。2013年から2020年までの7年間を第二約束期間とすること、排出量を1990年の水準から少なくとも18%削減すること、新たに三フッ化窒素(NF3)が削減対象のガスに追加されること、約束期間の途中で数値目標の上乗せができることなどが盛り込まれた。

日本は第二約束期間の数値目標がない。

この改正が発効するには締約国(192か国)の4分の3(144か国)以上が受諾手続きを済ませる必要がある。2020年10月28日に147か国が受諾し[25]、同年12月31日発効。

第二約束期間の数値約束は以下の通り。

76% (-24%) -  ウクライナ

78% (-22%) -  モナコ

80% (-20%) -  オーストリア、 ベルギー、 ブルガリア、 キプロス、 チェコ、 デンマーク、 エストニア、 フィンランド、 フランス、 ドイツ、 ギリシャ、 ハンガリー、 イタリア、 ラトビア、 リトアニア、 ルクセンブルク、 マルタ、 オランダ、 ポーランド、 ポルトガル、 ルーマニア、 スロバキア、 スロベニア、 スペイン、 スウェーデン、 イギリス、(以上、 欧州連合27か国)、 クロアチア、 アイスランド

84% (16%) -  リヒテンシュタイン、 ノルウェー

84.2% (-15.8%) -  スイス

88% (-12%) -  ベラルーシ

95% (-5%) -  カザフスタン

99.5% (-0.5%) -  オーストラリア

数値目標なし -  カナダ(2012年12月に京都議定書離脱)、 日本、 ニュージーランド、 ロシア

欧州連合27か国とクロアチア、アイスランドの計29か国は京都議定書第4条の下で共同で削減を行うこと(バブル)が認められている。
脚注
注釈^ スウェーデンの数値はEU域内で割り当てた目標値である。なお、同国ではそうしたEU諸国の理解に甘んじることなく、たとえば南部のベクショーでは 2010年までに 1993年比50%削減といった目標を、コミューンが独自に掲げて取り組むといった努力が続けられている。[要出典]
^ アル・ゴア副大統領は批准を推進するも、自動車電力(米国での発電には未だに石炭も多く使われている)など産業界からの反対を受けクリントン大統領が批准を断念、次いで大統領選挙に臨んだブッシュは削減義務受け容れを訴えて当選するが、後にこれを覆し、京都議定書を拒絶した(後述の米WGBH報道番組で詳説)。特に世界最大の排出国である米国のブッシュ政権は強硬に反対していたため、国内世論およびEUなど削減に努める向きから批判されていたが、最近ようやくその政策が変化はじめたと指摘する向き(次の参考記事など)もある。[要出典]

出典^ 飯田 (2000) [要ページ番号]
^ ノルゴーら (2002) [要ページ番号]
^ [グリーンタイムズ 6巻5号]、NEDO
^ 飯田 (2000), p. 84.
^ 気候変動枠組条約第7回締約国会議(環境省)
^CGER ココが知りたい温暖化 排出削減目標を達成できない場合(国立環境研究所 地球環境研究センター 久保田泉)
^ 馬場未希 (2007年4月17日). “ ⇒政府が初めて温暖化ガス排出権を122億円で購入 京都議定書を守る費用は今後数兆円に上る可能性も”. 日経ビジネスオンライン. 日経BP社. 2009年1月18日閲覧。
^ 気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)について 京都議定書発効の要件(環境省)
^ホッキョクグマ、米が絶滅危惧種に提案 温暖化政策変化(朝日新聞、2006年12月28日)
^BS世界のドキュメンタリー『アメリカ 石油依存の構図 ?遅れる温暖化対策?』(原題 "Hot Politics"、米WGBH制作)


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