なおチャイコフスキーは1886年発表のマンフレッド交響曲ではバスクラリネットを起用しているが、番号が付与された交響曲6作品では、バスクラリネットだけでなく、イングリッシュホルンやコントラファゴットも一貫して用いていない[12]。チャイコフスキー自身は作曲中の2月14日、甥のウラディミール・ダヴィドフへ宛てた手紙(ただし手紙にはユリウス暦8月3日という間違った日付が書かれている)において、「私はこの作品に満足しているが、まだ楽器の扱いについて不満な点が残っており思い通りにならない」と書いている[13]。
ファゴットの4つの音のバスクラリネットへの置き換えを最初に行ったのは指揮者のハンス・リヒターだとされる[9][14]。バスクラリネット以外の楽器に置き換える場合もあり、例えば指揮者の上岡敏之はコントラバスに演奏させている[15]。 4つの楽章からなるが、その配列は原則とは異なっていて「急 - 舞 - 舞 - 緩」という独創的な構成による。 第1楽章の序奏における上行する3音(E - Fis - G)が、作品全体に循環動機として使われている。これは、そのままの形で登場するだけでなく、第1楽章の第2主題や、終楽章の第1主題・第2主題において逆行形で登場し、旋律主題を導き出すのに使われている。 演奏時間は約46分。(名曲解説全集:音楽之友社による) 音楽・音声外部リンク
曲の構成
第1楽章.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}第1楽章Musopenよりこの音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。
第1楽章を試聴する
ポーランド国立放送響
CYSO's-SO - Allen Tinkham指揮。Chicago Youth Symphony Orchestras (CYSO)公式YouTube。
Adagio - Allegro non troppo - Andante - Moderato mosso - Andante - Moderato assai - Allegro vivo - Andante come prima - Andante mosso 序奏付きソナタ形式、ロ短調
本人が語ったようなレクイエム的な暗さで序奏部が始まる。序奏部は主部の第1主題に基づいたものである。やがて第1主題が弦(ヴィオラとチェロの合奏だが、両パートの奏者の半分のみでどこか弱弱しい)によって現れる。この部分は彼のリズムに関する天才性がうかがえる。木管と弦の間で第1主題が行き来しながら発展した後、休止を挟んで第2主題部へ入る。提示部の第2主題部はそれだけで3部形式の構造を取っており、その第1句は五音音階による民族的なものであるが、甘美で切ない印象を与える。3連符を巧みに使ったやはり淋しい主題の第2句をはさみ、再び第1句が戻り、pppppp という極端な弱音指定で、静かに提示部が終わる。
打って変わってffの全合奏でいきなり始まる展開部はアレグロ・ヴィーヴォで強烈で劇的な展開を示す。第1主題を中心に扱い、その上に第2主題第1句の音階を重ねていきクライマックスを形成していく。一端静まると、弦に第1主題の断片が現れ再現部を導入し、第1主題がトゥッティで厳しく再現される。再現部に入っても展開部の劇的な楽想は維持されたままで、木管と弦が第1主題の変奏を競り合いながら、そのままクライマックスの頂点に達する。ここで苦悩を強めた絶望的な経過部が押しとどめる様に寄せてきて、第1主題に基づいた全曲のクライマックスとも言うべき部分となり、ティンパニ・ロールが轟く中、トロンボーンにより強烈な嘆きが示される。やがてロ長調で第2主題が現れるが再現は第1句のみで、そのまま儚いコーダが現れるがもはや気分を壊さず、全てを諦観したような雰囲気の中で曲は結ばれる。
演奏時間は16分から17分(ムラヴィンスキー、マゼール、ネーメ・ヤルヴィ等)のものから25分以上(チェリビダッケ)のものまであるが、ほとんどの演奏が18分から20分である。 第2楽章Musopenよりこの音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。 音楽・音声外部リンク
第2楽章
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ポーランド国立放送響
CYSO's-SO - Allen Tinkham指揮。Chicago Youth Symphony Orchestras (CYSO)公式YouTube。
4分の5拍子という混合拍子によるワルツ。スラブの音楽によく見られる拍子で、優雅でありながらも不安定な暗さと慰めのようなメロディーが交差する。中間部はロ短調に転調し、一層暗さに支配され、終楽章のフィナーレと同様の主題が現れる。
演奏時間は8分から9分程度。 第3楽章Musopenよりこの音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。
第3楽章