交響曲第6番_(チャイコフスキー)
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いずれにしても、命名した時にはチャイコフスキー本人はあくまでもこの曲のイメージのみで発想したもので、死ぬ気や遺言などとして作曲したつもりもまったくなかった、とする研究もある[7]
編成

編成表木管金管
Fl.3(3番はピッコロ持ち替え)Hr.4Timp.Vn.1●
Ob.2Trp.2他バスドラム,シンバル,タムタム(任意)Vn.2●
Cl.2Trb.3Va.
Fg.2Tub.1Vc.
他他Cb.

ファゴットパートの一部をバスクラリネットに置き換える演奏上の慣例

第1楽章の一部(160小節の後半、譜例と試聴用サウンドファイル参照)で、ファゴットパートの4つの音をファゴットではなく編成外のバスクラリネットに演奏させることがしばしば行われる[8][9][10]。バスクラリネットに置き換える理由としては、この部分に pppppp (ピアニッシシシシシモ)という極端な強弱記号が付されており、そのように小さな音で演奏するのはファゴットよりもバスクラリネットの方が適していること[8][9][10]、またこの部分が同小節前半までのクラリネットの旋律を受け継ぐ形となっており、同族楽器のバスクラリネットで受け継ぐ方がファゴットで受け継ぐよりも音色的に旋律のつながりが良いこと[9][10]が挙げられる。

バスクラリネットが使用される部分

(第1楽章154小節アウフタクト-160小節)[11]
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青色で記した最後の4つの音は、しばしばファゴットに代えてバスクラリネットで演奏される。

しかしチャイコフスキーはオーケストレーションの手腕を高く評価された作曲家であり、前作の『くるみ割り人形』ではバスクラリネットを使用している[10]ことから、交響曲第6番のこの場面であえてバスクラリネットでなくファゴットを指定したのには、その極端な音量指定を含め、音楽的な理由があるとも考えられる[10]。この160小節目が提示部の終わりに相当することから、序奏の冒頭と提示部の終わりを同じファゴットに演奏させて音色的な統一感を持たせることを意図した楽器指定なのではないかとの見解[9]や、この曲においてクラリネットとファゴットはそれぞれ孤独と絶望を象徴しており、孤独が絶望に転じるという意味を持たせた旋律の受け継ぎなのではないかとの解釈[10]などが存在する。

なおチャイコフスキーは1886年発表のマンフレッド交響曲ではバスクラリネットを起用しているが、番号が付与された交響曲6作品では、バスクラリネットだけでなく、イングリッシュホルンやコントラファゴットも一貫して用いていない[12]。チャイコフスキー自身は作曲中の2月14日、甥のウラディミール・ダヴィドフへ宛てた手紙(ただし手紙にはユリウス暦8月3日という間違った日付が書かれている)において、「私はこの作品に満足しているが、まだ楽器の扱いについて不満な点が残っており思い通りにならない」と書いている[13]

ファゴットの4つの音のバスクラリネットへの置き換えを最初に行ったのは指揮者のハンス・リヒターだとされる[9][14]。バスクラリネット以外の楽器に置き換える場合もあり、例えば指揮者の上岡敏之コントラバスに演奏させている[15]
曲の構成

4つの楽章からなるが、その配列は原則とは異なっていて「急 - 舞 - 舞 - 緩」という独創的な構成による。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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