交響曲第6番_(チャイコフスキー)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

アンダンテ・ラメントーゾの終楽章での世界初録音をしたウラジミール・フェドセーエフは、フレージングからしてアンダンテで演奏すべきであると指摘し「チャイコフスキーは深い「感傷」より、あっさりとした「感情」を表現したかったのでは」と述べている[注 1]。また、ピアニスト兼指揮者のミハイル・プレトニョフは、「音楽の流れからすると、アンダンテの方が自然である」と述べている。

アンダンテ終楽章の「悲愴」のロシア初演は1990年4月4日プレトニョフが、海外初演は同年10月にフェドセーエフミュンヘンフランクフルトで行っている。アンダンテ終楽章での日本初演は、チャイコフスキー没後100年の1993年6月20日ザ・シンフォニーホールで、同じくフェドセーエフが行っている。日本初演のコンサートは、『悲愴』初演時のプログラムを限りなく再現したコンサート(『悲愴』、ピアノ協奏曲第1番(ピアノ:タチアナ・ニコラーエワ)、モーツァルト:オペラ『イドメネオ』のバレエ音楽など)であった。

アンダンテ終楽章の録音はフェドセーエフが数回おこなっているが、いずれも10分から11分の間である。フェドセーエフの「アンダンテ」は、実際のところはムラヴィンスキーマルティノンカラヤンショルティアバドらの「アダージョ」に比べて1分から2分ほど遅い。SPレコード時代のもの(例えばメンゲルベルクの2種の録音など)のものに関しても演奏時間が少し速い傾向にあるが、SP盤に収めるためにスピードを速めて演奏している場合があるので、一概に同列には論じがたい。
記号について

テンポ以外でも、記号に関しても差異がみられる。ただし、テンポの場合同様にチャイコフスキー自身が記号の改訂にも承知していた可能性がある。

第4楽章における、出版譜と自筆譜の記号の差異(冒頭のテンポ表示は省略)小節出版譜自筆譜
楽章冒頭
=54なし
12rallentandoなし
16Andante. =69なし
20?22Adagio poco meno che prima =60なし
37Andante =76なし
43poco animandoincalzando(ヴァイオリンi,ii)[20]
46ritenutoなし
47Tempo Iなし
51poco animandopoco animando(ヴァイオリンiにのみ)
54ritenutorit.(ヴァイオリンiにのみ)
55Tempo Iなし
59poco animandopoco animando(ヴァイオリンiにのみ)
61ritenutorit.(ヴァイオリンiにのみ)
62Tempo Iなし
67Animandoなし
73Piu mosso =96[21]Un poco stringendo[20]
77stringendoUn poco stringendo[20]
79Vivaceなし
82Andante =76Tempo I
90Andante non tanto =60なし
109stringendo moltostringendo
110なしincalzando[20]
112なしincalzando[20]
115なしPoco piu mosso[20]
116Moderato assai =88なし
121incalzandoなし

脚注
注釈^ これは、題名を決める際に「悲劇的」ではなく「悲愴」を採用したことも伏線となっている

出典^ 神崎正英音楽雑記帖 - チャイコフスキー《悲愴》のタイトル
^ https://en.tchaikovsky-research.net/pages/Letter_5062
^ チャイコフスキイ 文学遺産と同時代人の回想, O・サハロワ編, 群像社, 1991年, 162頁
^ https://en.tchaikovsky-research.net/pages/Letter_5038
^ チャイコフスキイ 文学遺産と同時代人の回想, O・サハロワ編, 群像社, 1991年
^ 当時のロシアの知識人にとって、フランス語は教養の一環として当然学ぶものであり、チャイコフスキーも例外ではない。
^ 『新チャイコフスキー考』NHK出版 1993年刊。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:60 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef