交通事故
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報告を受けた警察官が必要と認めて発した場合に(通常は必ず発する)警察官が到着するまで現場に留まる命令に従う義務

また、民事上の責任を果たすために以下のことを行う必要がある。
相手の身元確認

任意保険会社への連絡(保険契約上の責任)

なお、一般的に約60%の運転者が交通事故への初期対応を把握していないとされている[6]
刑事上の責任

刑事上の責任は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)違反、道路交通法違反(行政処分ではなく特別刑法として罰則に定められているもの - 刑事罰)による責任である。

交通事故の定義とは関係なく、車両等の運転者が人を死傷させた場合は、行為の様態に応じて次の罪に問われる可能性がある。

危険運転致死傷

過失運転致死傷

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱

無免許運転による加重

保護責任者遺棄罪、保護責任者遺棄致死罪

反則行為の結果として交通事故を引き起こした場合には交通反則通告制度の適用はない(道路交通法125条2項)。

自動車等を利用して故意に人の死傷や物の損壊を起こした場合には自動車等を利用した故意犯となり刑法上の殺人罪傷害罪器物損壊罪等に問われる。人身事故および建造物損壊事故を除く、過失の物損事故の場合は、行為者に刑事罰が科されることはない。
民事上の責任

交通事故を含む事故において故意または過失により他人の権利(生命、身体または財産)を侵害した場合、それによって発生した損害賠償する責任を負う(民法不法行為責任)。人身事故、建造物損壊事故および物損事故の全てが該当する。

自動車または原動機付自転車の運行により人の生命または身体を侵害した場合には、加害者側で被害者の過失を反証しなければこれによって生じた損害(他人の生命、身体に対するものに限る)についてその責めを負い、重大な賠償責任を負担することが殆どである(詳しくは交通事故の過失割合を参照)。
行政処分

行政法上の責任として道路交通法上の運転免許に関する行政処分があり、事故や責任の重さに応じて運転免許証の取り消し、停止などがある。

人身事故における行政処分では、加害者の過失が少しでも認められた場合、安全運転義務違反(2点)および人身に係る交通事故の付加点数(最低2点、最大20点)で最低でも合計4点の付加点数が付くこととなる。

なお、人身事故および建造物損壊事故を除く、物損事故の場合は、運転者が行政処分を受けることはない。
交通事故の影響脳挫傷のCT緊急医療ではKED(英語版)[7]やバックボードで脊柱固定が行われる[8]
身体的影響

交通事故の心身への影響は最も軽い場合には無傷(外傷・骨折等がないだけでなく、むち打ち症などの後遺障害さえない)のこともあるが、最悪の場合走行中の車両との衝突は衝撃が大きく、はねられた場合、全身あるいは頭部を強打したり、頭の骨を折ったりして即死するケースが発生する。はねられず車両に轢かれた場合は、車輪に巻き込まれたり、踏みつけられたりするなどで体の至る所が切断、圧迫され、内臓破裂、または内臓血管が飛び出したり、人身事故現場に散乱するなど、原型をとどめない状態になることもあり、凄惨な状態での死に至ることもある。

事故直後に精神的に受ける負傷者の不安感など傷以外の精神的後遺症の問題も大きくなり、救命救急医の指導資格制度、ドクターヘリなど最近は充実してきたが、交通事故の多発が問題視された愛知県(後述の表にも記載)において春日井市が「ドクターカー」モデルとして全国初でテスト実施、負傷者のバイタルサインを電波で飛ばしながら基幹病院の待機医とのやり取りを推し進め、その場で除細動器(アンビュレーター)を使用できる消防士を中心にした救急救命士の国家資格を制定した。車はトヨタ自動車(株)と共同開発。医療関係の資格なしで行えるAED設置の発展に寄与した。負傷者の体だけでなく心、精神への配慮が推し進められているが、人的・機材的・予算的な壁も多い。一般的認知はNHKをはじめとする報道機関などマスコミとの啓発・協力体制が必要であった。
身体への影響

重傷度の高い順に挙げれば、頸髄損傷、胸部外傷、気道閉塞(顔面損傷や頚部外傷など)、腹腔内・骨盤損傷などである。これらに比べれば、四肢の損傷のみによって死に至ることは少ない。

とくに頸髄損傷は、仮に生き残ったとしてもクオリティ・オブ・ライフを著しく低下させる。受傷直後は損傷が無くても、傷病者が不用意に首を動かすことによって発症する場合もある。「交通事故に遭ったら、不用意に頭・首・肩を動かさない」事を徹底することが必要である(JPTECJATECの項も参照のこと)。

衝突状況やそのときの被害者の持ち物・状態・心身の状態、天候などによって、類似した状況下の事故でも大きく異なる。歩行者自転車に乗った人などと、ごく低速の自動車・オートバイなどがぶつかった時、歩行者が大きなかばんを持っていてそのかばんにぶつかった場合などは、人的被害が皆無かまたそれに近い場合もある。

労働災害や自然災害といった他の要因による事故と比較して、被害者が頭部や腰部に激しい衝撃を受ける蓋然性が高いことから、被害者に遷延性意識障害を始めとする重度後遺障害が残る例が少なからず見られる。また、脳に強い衝撃を受けた場合には、頭部に外傷がなくとも高次脳機能障害に至る場合がある(頭部外傷外傷性脳損傷の項も参照のこと)。
歩行者

歩行者は自転車との衝突、あるいは歩行者同士が衝突したケースでも、路面に頭部を打ち付けて死亡事故になることがある。

近年、自動車メーカーは歩行者に対する安全性も考慮し以下のような対策がなされている。

バンパーの位置を、成人の大腿・骨盤の位置から下腿の位置に下げる(後者の部位に骨折・裂傷を負っても致命的とはなりにくい)

上記部位を支点として乗用車の前面に上半身が衝突しても、頭部がフロントガラスでなくボンネットに当たるようにする(ボンネットの部材を衝撃吸収型にすることで、胸部・頭部への致命傷を起きにくくする)

自動車搭乗者

シートベルト未装着や携帯電話使用への取り締まり、エアバッグの装備、合わせガラスの採用、クラッシャブルゾーンの採用、モノコックボディの高剛性化、ABSの普及など、安全装備を採用した自動車が増え、搭乗者の死亡減少に役立っている。しかし、いかなる安全装備を以てしても致命傷を予防することは不可能である。例えば胸郭内で心臓大動脈が動揺することによる大動脈解離や、頭部への衝撃による脳挫傷・外傷性クモ膜下出血は、エアバッグの効果にも限度があり、速度の超過や薬物の使用、飲酒運転は大きな事故を招く。
オートバイ・自転車搭乗者

オートバイの交通事故は、自動車と違い運転手がボディに覆われていない事から大きな事故になる場合がある。詳細はオートバイの事故を参照のこと。

身体が保護されていないという部分では自転車もオートバイ同様の危険があり、専用ヘルメットなど安全装備の装着が奨励されている。
精神医学的影響

松岡ら[9]によれば、交通事故を経験した人間の多くが、気分障害不安障害強迫性障害など何らかの精神医学的後遺症を来たすとしている。
社会的影響

芸能人スポーツ選手が事故を引き起こすことは、イメージダウンにつながりCMやドラマを降板しなければならなくなったりと芸能活動において大きく支障が生じる。もちろん、芸能人らが事故の被害者となるケースもある(桜塚やっくん萩原流行が交通事故死している)。

かつては女優などは事務所が用意したハイヤー、または、運転手付きの車に送迎させていたのが多かったが、近年では経費削減のため少なくなり、仕事場へ向かうのもプライベートでも自ら運転したり[10]、ドラマ、映画、CMでの役作りのため運転免許を取得する[11]というケースが増えている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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