井筒和幸
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2010年『ヒーローショー』では、第25回高崎映画祭最優秀監督賞を受賞(『ゲゲゲの女房鈴木卓爾監督と同時受賞)[7]

2012年『黄金を抱いて翔べ』を監督。原作は高村薫のデビュー作であるサスペンス小説。舞台となった大阪の各所でロケを行った[8]

2012年『黄金を抱いて翔べ』では、第27回高崎映画祭最優秀監督賞を受賞(『夢売るふたり』西川美和監督と同時受賞)
映画撮影中の死亡事故

1991年9月22日、井筒が監督を務める映画『東方見聞録』の撮影中に、エキストラとして出演していた当時21歳の俳優・林健太郎[9]がロケ現場である静岡県駿東郡小山町上野で溺死する事故が発生した。この現場には滝つぼに落ちるシーンの撮影のため、川の流れを利用した水深2メートルの大がかりなセットが組まれていた。林は総重量約8kgの鎧を着用し「若武者が殺され死体となって滝つぼに浮く」というシーンのリハーサル中、増水していた流れにのまれ水中に沈み意識不明の重体となり病院へ運ばれたが翌日死亡した。滝つぼにはダイバーが1人待機していたが水の濁りがひどく気付くのが遅れ、助け上げるまでに3分から5分ほどかかったという[10]。同年11月、遺族が業務上過失致死罪告訴。演技上の安全を確保する義務を怠ったとして井筒と助監督が書類送検された[11]

事故後も撮影は続行されたが、事故が報じられて社会問題となり1992年5月18日に予定されていた公開は中止された[12]。この影響が大きく製作会社であるディレクターズ・カンパニーは1992年に倒産。事故死したエキストラの遺族が起こした裁判で井筒側は敗訴、遺族への補償金3000万円以上は井筒が支払うこととした[12][13]

井筒は1993年に仙頭武則の依頼により『突然炎のごとく』で監督業に復帰[12]。『東方見聞録』は1993年8月1日にビデオ発売された。
映画評論家として

1990年代半ばから映画評論家およびタレントとしての活動も増え、テレビラジオバラエティ番組や情報番組への出演、執筆活動のほか映画評論や政治論評、自身の歴史観の主張等を行うようになった。
人物
敬愛する映画人や作品

アメリカ

大脱走』や『荒野の七人』『パピヨン』『栄光のル・マン』などの名作で知られるスティーブ・マックイーンの大ファンであり、少年時代から敬愛している。著書で『砲艦サンパブロ』(初めて映画館で見たマックイーン映画)の評を書いた際に「『スティーブ・マックイーン』という名は「女王の息子」という意味があるらしいが、マックには「女王の息子」というスノッブな役柄は似合いそうにない。だが、そんなところが大好きだ。」と書き[14]、「マック」という独自の愛称でスティーブ・マックイーンの事を呼んでおり、ネット連載で『ブリット』と『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』を取り上げた際も「マック」と呼んでいる[15][16]。マックイーンと同じくクリント・イーストウッドを敬愛している[17][18]

俳優アイドル評論家映画評論家としても活躍しているラッパー宇多丸ラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』にゲスト出演した時には、高村薫原作の自身の監督作『黄金を抱いて翔べ』に影響を与えた犯罪映画フィルムノワール)の名作5作品として、前述のペキンパー&マックイーンの『ゲッタウェイ[19]ドン・シーゲル突破口!』、ウォルター・ヒルザ・ドライバー』とダリル・デューク『サイレント・パートナー』の5作の中で4作品のアメリカ映画を選び、(サイレント?は正確にはカナダ映画)語り、とりわけ井筒はシーゲル『突破口!』と共にペキンパー『ゲッタウェイ』を「今でも年に2、3回は見ますね」と発言[20]。シーゲル『突破口!』と自身の監督作品『黄金を抱いて翔べ』はネット連載コラム『映画は喧嘩じゃ!』でもコラムを書いている[21][22]。また同連載でアル・パチーノ主演の社会派娯楽映画の巨匠シドニー・ルメット監督による実在の銀行強盗事件が題材の社会派サスペンス『狼たちの午後』も取り上げている[23]コーエン兄弟の『ノーカントリー』を絶賛[24]

前述のとおりアメリカン・ニューシネマに傾倒している井筒だが、その中でも『雨のなかの女』や『ゴッドファーザー』『アウトサイダー』などで知られるフランシス・フォード・コッポラに最大の賛辞を捧げることが多く[25]、とりわけ『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザー PART II』の二部作を大絶賛している[26][27][28]。コッポラ作でないが、ゴードン・ウィリスカメラの『夕陽の群盗』をニュー西部劇と絶賛し、同時期に見た、アメリカ南部の田舎で、いがみあっていた二つの家族が結果として殺しあう『ロリ・マドンナ戦争』という実録ニューシネマを「名優ロッド・スタイガーロバート・ライアンの存在感は味があった」と評している。[29]

ヨーロッパ

前述の宇多丸トークでジャン・ギャバン主演のジャック・ベッケルフランス映画の名作『現金に手を出すな』のも選び、ジョゼ・ジョヴァンニ原作&脚色のベッケル遺作やジョバンニ監督掘った奪った逃げたもこう評価している[30]

ヨーロッパ戦争映画ではイタリア映画の『アルジェの戦い[31] や、アラン・ドロン主演『冒険者たち』や『若草の萌える頃』『ラムの大通り』などで知られるロベール・アンリコ監督によるフランス映画の名作反戦映画『追想[32]パリは燃えているか』をドイツ軍を降伏に追い込んで、パリを解放させたレジスタンスたちの激しい戦いの名作[33] と絶賛している。


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