井戸
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これは大部分の下町地域は太田道灌により海を埋め立てて造成された地域であり、井戸を掘っても海水ばかりがでて使い物にならなかったため[12]、埋設管路により下町に水を供給し、これを井戸(形状としては掘井戸の形)に接続させ、給水を行っていた[12][13]。そのため水が桶に溜まるまで多少の時間がかかり、それを待つ間に近所の者で世間話をする「井戸端会議」という言葉が生まれた。
井戸の設備

自家水道用汲み上げポンプテコの原理で水を汲み上げる「跳ねつるべ」の井戸。(北海道開拓の村

井戸の構造
井戸側(井筒)
垂直に掘る竪井戸の場合、地盤が堅固であれば素掘りでもよいが、崩れやすい場合には井戸側が必要となる。井戸側には板や石組みのもののほかコンクリート製のものなどがある。なお、かつて井戸底部には底を抜いた状態の桶が埋められていた。
井戸管
ボーリング工法(掘削工法としての上総掘りも含む)により掘削した孔に入れる管のことを言う。「井戸ケーシング」とも言う。
スクリーン
井戸管のうち、地下水を取水するために孔またはスリット(縦ないし横に幅0.5 - 2ミリメートル程度の切れ目が入っている)が設置されている管のことを言う。日本では「ストレーナー」と言うことが多い。
充填砂利
スクリーンが設置されている区間には、スクリーンの外周(掘削孔との間)に砂利を入れる。この砂利のことを言う。「グラベルパッキング」とも言う。設置する目的は、主として地下水を取水する帯水層を構成する地層を井戸孔内に入れない(層状水の場合の細かい砂など)ようにし、井戸が詰まらないようにするためである。
取水設備
柄杓
初期の井戸の揚水方法は柄杓であった。
釣瓶
掘井戸(上記参照)では一般につるべと桶によって水を汲む。
ポンプ
掘り抜き井戸では一般にポンプ(手押し式、電動式)で水を汲み上げる。手押しポンプが昭和初期から昭和20年代頃までよく利用された。

なお、横井戸(上記参照)の場合には、自然流下により取水する場合が多い。
井戸の掘削井戸の掘削(英語版)に使用されるトリコンロックビット.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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地表から地下の帯水層まで掘っていき井戸をつくることをさく井(さくせい)と呼ぶ[10]。漢字では「鑿井」であるが「鑿」の字が常用漢字外であるため、鑿井業者は「さく井」と書くことが多い。なお、鑿(のみ)は大工道具のノミを意味する。

機械掘りは打込式・衝撃式・回転式などに分類される[6]。衝撃式の一種として上総国で発達した竹の弾性を利用して鉄のノミを打ち付けて掘削する「上総掘り」がある[6][14]
井戸の利用
井戸水の特質

井戸水の水温は気温ではなく地温の影響を受けるが、その水温は年間を通してほぼ一定である[5]

井戸水は一般的には地下をゆっくりと流れる際にミネラル分を溶かし込み、また、病原細菌や汚染物質についても地中微生物が分解したり土壌の吸着作用によって浄化される[11]。ただし、特に浅井戸は地面の汚染に影響されやすく病原物質や原虫などが増え飲用に適さなくなる場合もある[11]
厚生労働省による飲用を目的とする井戸の衛生対策

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出典検索?: "井戸" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2020年8月)

厚生労働省は昭和62年に「飲用井戸等衛生対策要領」を生活衛生局長名で通知(最終改正は平成16年)。飲用を目的とする井戸設置者等に対して、以下の3項目を求めている。

周辺にみだりに人畜が立ち入らないように適切な措置を講ずること

構造(ポンプ、吸込管、弁類、管類、井戸のふた等)並びに井戸周辺の清潔保持等につき定期的に点検を行い、汚染に対する防護措置を講ずるとともに、これら施設の清潔保持に努めること

定期及び臨時の水質検査を行うこと(2012年時点の水道法では水質検査の義務はないが、厚生労働省は国民の健康を守る立場からの推奨であり、不特定多数に提供する場合は保健所から水質検査を行うよう指導が行われる[15]。)

飲用目的井戸の水質検査の受検率は6%強程度にとどまっていると推定されている(平成16年度厚生労働省調べ)。また、受検された井戸のうち26%は一般細菌大腸菌硝酸窒素等の一般項目が水道法の水質基準(飲用に適する基準)に適合しておらず、さらに7%(受検井戸数は一般項目の1/3程度)はヒ素等の重金属が水道法の水質基準に適合していない状況である(同)。
地盤沈下の問題

工業用水等に利用するための深井戸からの大量の取水は地盤沈下の問題を引き起こしたため現在日本では厳しい規制が設けられている[5]
非常災害用井戸荒川区の公園内に設置された災害用井戸

近年、日本では災害時の水源として浅井戸が見直されている[5]

東京都埼玉県をはじめとした地方自治体では、大地震発生の際にライフラインが絶たれることを想定し、機能する既存の井戸を非常災害用井戸として指定し、非常時の飲料水など生活用水の確保を行っている。これらの井戸では定期的に水質検査を行っており、使用上の問題はないが、無指定の井戸については大腸菌等の細菌や、重金属により汚染されている場合も考えられることから注意が必要である。

兵庫県加古川市にある加古川グリーンシティ防災会[16]では独自の非常災害用井戸(防災井戸・深さ30メートル)を2箇所設け、定期的に水質検査も行う住民独自の備えを持つようなところもある。

災害時に使える井戸の登録制度は阪神大震災の後、全国に広がった[17]
井戸と生物

井戸は人工物な閉鎖水域であり外部の水界からは孤立しているため、井戸自体に固有の生物はいない。しかし、井戸の水源となる地下水中には地下水に適応した生物が生息しており、それが帯水層に開けられた穴である井戸から確認されることがある。井戸を冠する生物として、イドミミズハゼイドウズムシなどが存在する。
井戸と文化

井戸には個人所有の場合と共同所有の場合がある[4]。一般には井戸の掘削費用が高額で地形的な観点からも水を得ることが困難な場所も多いことから共同所有の井戸が多かった[18]。生活の一部である井戸端は格好の会話の場所でもあり、その名残として近所に住む主婦同士で世間話をすることを「井戸端会議」と呼ばれている。

井戸は、往々にして垂直に細長く掘られた縦穴である。水は深いかも知れないが、水面は狭く、その底からは、真上を中心とする、わずかな角度しか見えない。そのため、見識が狭いことを井戸に言及して「井の中の蛙」などと言うこともある。逆に、これを利用して、地球の大きさを求めたのが、エラトステネスである。
井戸の神聖化水木しげるロードに設置されている「井戸の神」のブロンズ像


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