井上真樹夫
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「声優である以前に俳優である」という姿勢とポリシーを抱いており、「声優」という呼ばれ方はあまり好ましく思っていなかった[45]。また、そのようにありたいという思想から、1990年代には舞台を敬遠する若手声優に「憤りの感情を抱いている」という主旨の発言をしていた[45]。ただし、晩年の2017年には「確かに昔はそういうことをずいぶん言っていましたけど、今はもうそういうことを言っても仕方がない」とも語っている[46]

近年の若手声優に対しては「最近は即席の声優がたくさん出てきているが、演技の勉強が根本的に足りていない。もちろん、素晴らしい演技をしている声優はたくさんいる。でも、『これはまだだな』という演技の子も平気で活躍しているのは、あまり良いことではない」と語り、「どこかで聞いたことのあるような、口先の演技が横行していることはどうしても許せない。プロである以上は、オリジナリティを出してほしい。真似はダメだ」という思いを述べている[46]

役作りについて「アニメだろうが、洋画だろうが、そのキャラクターの内面を想像して、その中に自分を入れ込む作業だから、何かを持ってきて参考にして、というのはやらない。もし、それをやってしまったらどこか物まね的になってしまう。とことん自分が考え、思い詰めていく中で何かが出てくる、それが役者の仕事なんだよ」と発言している[47]

役作りの一環として、アフレコの際は演じる役と同じ、またはそれに近い衣装を着て行なっている[48]。『ルパン三世』の石川五ェ門を演じる際は、作務衣を着ていたという[37][49]
エピソード

洋画の吹き替えで思い出深い作品に、これまで『冬のライオン』『ロンリーマン』『誓いの休暇』『陽のあたる場所[50]』を挙げている[16]
花形満

巨人の星』の花形満について、演じた際には「キャラクターとの関係と役者との関係も同じようにする」というスタンスでライバル関係である星飛雄馬役の古谷徹とは意図的に親しく接することはなく、収録が終わってからそれは演技に集中するためだったと古谷に明かして謝ったという。ただし後年、この話題に「それはちょっと誤解が入ってる。俺の言い方が悪かったのかもしれないけど、実際は別にそんな避けていたわけじゃない。単に、あっちが中学生で話題がなかったんだよ。当時俺はもう29歳だったけど、アイツはスタジオで宿題とかやってるんだから(笑)」とも語っている[51]
石川五ェ門

ルパン三世』シリーズでは、1977年昭和52年)放送の『ルパン三世』(TV第2シリーズ)から2010年平成22年)放送の『ルパン三世 the Last Job』まで、二代目として長年にわたり石川五ェ門を演じていた。

ルパン三世』(TV第1シリーズ)での大塚周夫から引き継ぐ形であったが、起用に際して「ハードな殺気をまとう男から若く甘いイケメンの剣豪へとキャラクターが代わり、声優交代が必要だ」と説明を受けたという[52]。そのため、視聴者から大塚と比較されることへの苦悩もありつつ[53]、演じる際は自身のカラーを出すことに留意したという[54]

井上は五ェ門について、自身の代表作の一つであり大事なキャラクターで、「人生に有形無形の関りがあった」と発言している[54]。また「(五ェ門は)当初は二枚目だったが、途中からストーリーの都合で性格が一番変化させられることが多いキャラクターとなり、それも作品の深まりと捉え楽しくやることができた」と語っている[54]ほか、少ない台詞の中で存在感を出すことがいつも苦労する[55]と共に、五ェ門を演じる醍醐味でもあったという[56]

これまで演じた中で思い出深いルパン作品には、『TV第2シリーズ』第112話「五右ヱ門危機一髪」や『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』を挙げている[54][57]

ルパン三世 風魔一族の陰謀』でレギュラー声優陣が一新された際は五ェ門役も一時的に塩沢兼人に交代したが、この件については2019年に「(Wikipediaの本項を通読した限りで感じたこととして)声優陣の交替は制作者の反乱である」と評し「残念なのは原作者の厳命を裏切り、声優に極秘だった点だ。セコさが悲しい」と語っている[58]

原作者のモンキー・パンチが死去した際は「漫画・アニメ界の『巨星墜つ』の感一入です。「ルパン三世」ラストジョブまで33年間大変お世話になりました」とコメントし、報道のあった日はSNSを控え喪に服した[59]。その後、井上が死去した際には長年同シリーズで共演した小林清志が「五ェ門おまえもか!残されたのは不二子ちゃんとオレ次元と二人だけ[注 4]になっちまった。斬鉄剣も泣いている。」と追悼コメントを出している[41]
ハーロック

『宇宙海賊キャプテンハーロック』の主人公・ハーロックという役はどういう経緯で話が来たのかは分からないが、当時は2004年時点ほどのアニメブームではなく、軽い気持ちで引き受けたという[28]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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