五大湖
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2015年現在使用されているウェランド運河は、1932年に建設された4代目のものである[17]。1848年には五大湖の南端にあたるシカゴからミシシッピ川の支流であるイリノイ川を通ってセントルイスにいたるイリノイ・ミシガン運河が完成し、五大湖水系とミシシッピ川水系が結びついたことによって北アメリカ大陸を東から南へ抜ける大水路が完成し、沿岸地域の発展はこれによってさらに弾みがついた。両水系の結節点となったシカゴは農産物の集散地や交通の要所として発展し、急速に大都市へと成長していった。1855年にはスーセントメリー運河が完成し、五大湖水路はさらにスペリオル湖にまで延長された。こうした輸送の改善を受け、19世紀後半より特にエリー湖・オンタリオ湖・ミシガン湖畔の工業化が急速に進んだ。

セントローレンス川の水路は船舶は通航できたものの大型船舶が通行できるようなものではなく、外洋船が通行できるように改修することが長年叫ばれていたが、実際に一部の外洋船がここを通って五大湖に通行できるようになったのは、現在使用されているセントローレンス海路が建設された1959年になってからだった。このセントローレンス海路の開通により、エリー運河は重要性を減じた。
環境汚染

古くはこの地のネイティブ・アメリカンが五大湖で釣りをし、食料となる魚を得ていた。しかし、漁業が発達するにつれて鮭や各種白身魚などの漁業資源の枯渇に直面するようになった。アメリカ合衆国カナダとの連携もうまくいかず、1950年代までには、ヒューロン湖・ミシガン湖のマスは約99%減少した。原因は運河の完成によって流入したヤツメウナギであるとされていた[18]

1960年代に入ると、水質汚染などの環境問題がそこに追い討ちをかけた。原因としては、周辺の都市化による生活雑排水や工業排水の増加、さらには廃油や有害化学物質の流入などが挙げられる。特に有名なのは、エリー湖に注ぐカヤホガ川の汚染である。川から出火するほど廃油汚染が酷く、ヒルの類さえも棲まなかったほどであった。スペリオル湖やセントクレア川などでは、toxic blobsと呼ばれる、コールタール重金属を含むヘドロも発見された。

The Great Lakes: An Environmental Atlas and Resource Bookによると、「かつては大きな漁場であったが、今はいくつかの牙城が残るのみ」と言われている。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 厳密には“湖峡”であるが、: straits にあたる日本訳語が“海峡”以外にない。
^ 現在発見されている隕石孔としては南アフリカフレデフォード隕石孔に次ぐ世界第2位の大きさがある。衝突により五大湖に匹敵する大きさのクレーター湖が出現したと考えられるが、痕跡はいまでは地下構造のみが残る。このときの隕石を起源とするニッケル鉱床が形成された。

出典^National Geophysical Data Center, 1999. Bathymetry of Lake Erie and Lake Saint Clair. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5KS6PHK [access date: 2015-03-23].
^National Geophysical Data Center, 1999. Bathymetry of Lake Huron. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5G15XS5 [access date: 2015-03-23].
^National Geophysical Data Center, 1996. Bathymetry of Lake Michigan. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5B85627 [access date: 2015-03-23].
^National Geophysical Data Center, 1999. Bathymetry of Lake Ontario. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V56H4FBH [access date: 2015-03-23].
^National Geophysical Data Center, 1999. Bathymetry of Lake Superior. National Geophysical Data Center, NOAA. [access date: 2015-03-23]
^ National Geophysical Data Center, 1999. Global Land One-kilometer Base Elevation (GLOBE) v.1. Hastings, D. and P.K. Dunbar. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V52R3PMS [access date: 2015-03-16].
^ 「ベラン世界地理体系18 カナダ」p143 田辺裕・竹内信夫監訳 朝倉書店 2009年7月15日初版第1刷
^ 「ベラン世界地理体系17 アメリカ」p108 田辺裕・竹内信夫監訳 朝倉書店 2008年6月30日初版第1刷
^ 「世界地誌シリーズ4 アメリカ」p17 矢ヶ崎典隆編 2011年4月25日初版第1刷 朝倉書店
^ 「舟運都市 水辺からの都市再生」p31 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行
^ 「舟運都市 水辺からの都市再生」p27 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行


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