互酬
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古代ギリシアにおいてはアリストテレスが唱えた相互依存の原理(アンティペポントス(: ?ντιπεπονθ?το?、: antipeponthos))[10]も互酬に含まれる。ヘシオドスの『仕事と日』は、部族社会の変化で互酬関係が衰えた時代を描いたという解釈もされている[11]
寄付

寄付の制度としては、イスラームザカートや、土地信託も含むワクフが存在する。ワクフは慈善として不動産や公共施設にも用いられるため、再配分としての機能も持っている[12]
互酬と交易

共同体の外部に対する互酬は交易の形をとることがある。トロブリアンド諸島クラのような贈与交易や、共同体同士が接触を避けながら交易を行う沈黙交易が含まれる。集団間の交易が不安定であったり、交渉が不成立となったり、支配者と被支配者の関係にあると、互酬的な交易ではなく略奪や貢納となる場合があった。

交易で取引相手のもとに滞在する時は、客人として迎えられた。中世アイスランドの貿易は夏にかぎられているため、外国商人は冬になると農場に滞在し、地元の指導者であるゴジや主人の保護を受けるかわりに農作業や戦闘を手伝う関係をもった[13]。交易における客人関係は、トロブリアンド諸島のクラや、中世イスラーム旅行者のイブン・バットゥータが記したマラッカシャーバンダルの制度にも見られる[14]
出典・脚注[脚注の使い方]
注釈^ 社会規範によって行っている、とするのは、ひとつのオーソドックスな学説。社会規範から、とするオーソドックスな説の他に、近年では、個人の"合理的判断"(もっと率直に分かりやすく言うと 損得勘定)からでも、互酬は成立しうる、と主張する論者もいる[1]。
^ 日本語ではなぜか慣習的に「返 "礼" 」や「返 "礼" 品」と言ってしまうが、文化人類学的なreciprocityという概念は、中国・東洋的な「礼」という概念とは、直接の関係は無く、観念体系がかなり異なっている。
^ 用いられる分野により、若干異なった定義や意味で使われることがある。
^ 互酬(性)は英語ではレシプロシティと言うが、まるでレシプロエンジンピストンピストン運動のように、モノやサービスが往復運動を2者の間で繰り返す[2]。

出典^ 精選版 日本国語大辞典、互酬性
^ [3]
^ a b ポランニー 2005, p. 93.
^ サーリンズ 1984.
^ モース 2014, 第2章.
^ 熊野 2003.
^Banaro<Oceania<World Culture Encyclopedia
^ マリノフスキ 2010, p. 203.
^ オストロム, ウォーカー編 2003.
^Theoxarakis.pdf - ニコラス・テオカラキス(ギリシア語版、英語版)の履歴書の研究概要
^ ポランニー 2005, p. 275.
^ 加藤 1995, p. 197.
^ 松本 2010.
^ イブン・バットゥータ 2001, 第3巻, 第6巻.

参考文献

網野徹哉『インカとスペイン 帝国の交錯』講談社〈講談社学術文庫〉、2018年。 

イブン・バットゥータ 著、家島彦一 訳『大旅行記(6)』平凡社〈平凡社東洋文庫〉、2001年。 (原書 ??? ??? ???? ???? ?? ??? ???? ??????? ?????? ?? ?????,, ???? ?????? ?? ????? ??????? ?????? ??????? )

エリノア・オストロム; ジェイムズ・ウォーカー, eds. (2003), Trust and Reciprocity: Interdisciplinary Lessons from Experimental Research, Russell Sage Foundation )

加藤博『文明としてのイスラーム』東京大学出版会、1995年。 

熊野聰『ヴァイキングの経済学―略奪・贈与・交易』山川出版社、2003年。 

マーシャル・サーリンズ 著、山内昶 訳『石器時代の経済学』法政大学出版局〈叢書ウニベルシタス〉、1984年。 (原書  )

カール・ポランニー 著、栗本慎一郎端信行 訳『経済と文明 - ダホメの経済人類学的分析』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2004年。 (原書 Polanyi, karoly (1966), Dahomey and the Slave Trade )

カール・ポランニー 著、玉野井芳郎、栗本慎一郎、中野忠 訳『人間の経済』岩波書店〈岩波モダンクラシックス〉、2005年。 (原書 Polanyi, karoly (1977), The Livelihood of Man, Academic Press )

松本涼 著「中世アイスランドと北大西洋の流通」、山田雅彦 編『伝統ヨーロッパとその周辺の市場の歴史』講談社〈清文堂〉、2010年。 

ブロニスワフ・マリノフスキ 著、増田義郎 訳『西太平洋の遠洋航海者』講談社〈講談社学術文庫〉、2010年。 (原書 Malinowski, Bronis?aw (1922), Argonauts of the Western Pacific: An account of native enterprise and adventure in the Archipelagoes of Melanesian New Guinea )

マルセル・モース 著、森山工 訳『贈与論 他二篇』岩波書店〈岩波文庫〉、2014年。 (原書 Mauss, Marcel (1925), Essai sur le don: forme et raison de l'echange dans les societes archaiques )

関連項目

共有経済

経済人類学

互恵的利他主義

コハ(英語版) - マオリの関連概念

再配分

社会的交換理論

セピック沿岸交換(英語版)- パプアニューギニアセピック川周辺における関連概念

相互扶助

相互主義

Gift economy(英語版)- 贈与経済

非市場経済

モカ(英語版) - パプアニューギニア、マウントハーゲン周辺における関連概念

外部リンク

互酬(ごしゅう)とは
- コトバンク

互酬性(ごしゅうせい)とは - コトバンク
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