二進法
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以下にパプアニューギニアの南キワイ語[1] (Southern Kiwai) およびシッサノ語[2] (Sissano) の数詞を示す[3]

十進二進南キワイ語シッサノ語
11neispuntanen
210netewaeltin
311netewa naoeltin puntanen
4100netewa netewaeltin eltin
5101netewa netewa naoeltin eltin puntanen

現代日本における万進、あるいは十二進法体系であるダース・グロスなどのように、2倍ごとに新しい単位が命名される体系は、自然言語では、パプアニューギニアのメルパ語[4] (Melpa) でのみ知られている[3]

十進二進メルパ語
11tenta
210ralg
311raltika
4100timbakaka
5101timbakaka pamb ti
6110timbakaka pamb ralg
7111timbakakagul raltika
81000engaka
91001engaka pamb ti
101010engaka pamb ralg pip

歴史ライプニッツによる八卦と二進法の比較[5]

中国には古くから八卦六十四卦があり、それぞれ 3 ビットと 6 ビットに相当している。易経の六十四卦の配列は対応する整数の順になっていて、それらを 1→2→4→8→16→32→64 と進展させる「加一倍の法」を11世紀の儒学者邵雍が考案した。ただし、彼らがそれを整数(ないし、数)に対応するとして理解していたという証拠はない。その配列はそれぞれが二種類の値をとる要素の 6 タプル辞書式順序に並べたものと見ることもできる。

インドの学者ピンガラ (Pingala, 紀元前200年頃) は韻律を数学的に表現する方法を考案し、それが現在知られている最古の二進法の記述の一つとされている[6][7]

同様の二進法的組合せの使用は、アフリカのヨルバ人が行っていた占い Ifa にもあり、中世ヨーロッパやアフリカのジオマンシーにも見られる。2 を底とする体系はサハラ以南のアフリカでジオマンシーに長く使われていた。

1605年、フランシス・ベーコンはアルファベットの文字を2種の記号の列で表す体系を論じ、任意の無作為なテキストで微かに判別可能なフォントの変化に符号化できるとした。一般理論として彼が指摘した重要な点は、同じ方法をあらゆる物に適用できるという点であり、「2種類の異なる状態をそれらの物で表現できればよく、トランペット松明マスケット銃など同様の性質があればどんなものでもよい」とした[8]。これをベーコンの暗号(英語版)と呼ぶ。

数学的に二進法を確立したのは17世紀ゴットフリート・ライプニッツで、"Explication de l'Arithmetique Binaire" という論文も発表している。ライプニッツは現代の二進法と同じく、1 と 0 を使って二進法を表した。ライプニッツは中国愛好家でもあり、後に「易経」を知って、その八卦に 000 から 111 を対応させ、彼の賞賛してきた中国の哲学的数学の偉大な成果の証拠だとした[5]

1800年代中頃、イギリスの数学者ジョージ・ブールブール代数ブール論理)により、二進的な数(ここで言う「数」は、数学的な広義の意味であり、普通の二進法の対象である、数値という意味ではない)の代数による命題論理の形式化を示した。

1936-1937年の中嶋章と榛沢正男による「継電器回路に於ける単部分路の等価変換の理論」、1937年のクロード・シャノンによる "A Symbolic Analysis of Relay and Switching Circuits"(英語版)[9]により相次いで、リレーのようなスイッチング素子による回路(ディジタル回路)の設計がブール代数によって行えることが示され、1940年代に始まり今日まで続くコンピュータの理論の基礎のひとつとなっている。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 量子化とも言うが、量子物理におけるいわゆる量子のような意味(重ね合わせ状態など)ではない。

出典^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), ⇒“Kiwai, Southern”, Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), ⇒http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=kjd 2008年3月12日閲覧。 
^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), ⇒“Sissano”, Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), ⇒http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=sso 2008年3月12日閲覧。 
^ a b Lean, Glendon Angove (1992). “TALLIES AND 2-CYCLE SYSTEMS”. Counting Systems of Papua New Guinea and Oceania. Ph.D. thesis, Papua New Guinea University of Technology. ⇒オリジナルの2007年9月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160304132322/http://www.uog.ac.pg/glec/thesis/ch2web/ch2.htm 
^ Gordon, Raymond G., Jr., ed. (2005), ⇒“Melpa”, Ethnologue: Languages of the World (15 ed.), ⇒http://www.ethnologue.com/show_language.asp?code=med 2008年3月12日閲覧。 
^ a b ライプニッツ『ライプニッツ著作集 10 中国学・地質学・普遍学』下村寅太郎ほか 監修、工作舎、1991年、p12。


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