その他の二十四節気の名称は、前漢の『淮南子』において出揃っており、それまでの間に名称が固定化したと考えられる。八節をさらに3分割したのは、月と対応させるためである。戦国時代には19太陽年が235朔望月にほぼ等しいとするメトン周期を導入した四分暦が使われており、1太陽年を12分割した中気は19太陽年235朔望月に228存在し、7回ほど閏月を設ければ月と中気が対応してゆくことを導き出した。これにより中気をもとに月名を決定することが可能になり、漢の太初暦以降、中気を含まない月を閏月とする歳中置閏法が取られた。なお当時の天球分割法の一つに十二次があったが、節気は太陽の視位置が各次の境界である初点にある時、中気は各次の中間の中点にある時とされた(『漢書』律暦志)。 二十四節気は1太陽年を24分割し、節気(清明・立夏など)と中気(春分・穀雨など)を配置するが、その方法には平気法と定気法の2種類がある。 地球の軌道は円ではなく楕円であることから、太陽の黄道上での運行速度は一定ではない。このため、平気法に基づいた場合の二十四節気の日と、定気法に基づいた場合とでは最大で2日内の差が生じる。当初は平気法により二十四節気を定めていたが、中国では清朝の時憲暦から、日本では天保暦から定気法により定めるようになった。 平気法は冬至は暦と観測で一致するが、夏至・春分・秋分は定気法を採用している現行の暦と一致しない。なお暦の上での春分・秋分は昼夜の長さが同じになるとの説が流布しているが、日の出・日の入りの時刻は地球の大きさの影響があり、春分・秋分で昼夜は均等にならない。 太陰太陽暦や節切りにおいては月名を決定し、季節とのずれを調整するための指標として使われる。12の節気と12の中気が交互に配された二十四節気に対し、各月の朔日(1日)前後に対応する節気が来るよう、以下のように月名を定めている。周代等の王朝では、冬至のある子月を1月とし、子月後半の最初である冬至を1年の始まりとし、冬至前日を大晦日としていた(子後半で始まり、子前半で終わる)。天文[要曖昧さ回避]・平気法・周正などの節切りでは冬至が暦法上として第1となり、夏正などでは立春が第1となる。 月名子月丑月寅月卯月辰月巳月午月未月申月酉月戌月亥月 実際には中気を暦の基準とし、月の内に含まれる中気が何かによって月名を決めるので、例えば雨水を含む月が「正月」(一月)となる。しかし月の満ち欠けによる12か月の日数(太陰暦の一年)は、二十四節気が一巡する日数(太陽暦の一年)よりも約11日短いので、そのまま暦を使えば日付にずれを生じ続ける。このずれが重なると中気を含まない月が現れ、その月を閏月とする事になる。ただし定気法においてはこのルールだけでは足りず、更に閏月の入れ方にルールの追加が必要となる(太陰太陽暦#定気法の採用の項参照)。 太陰太陽暦における1か月は、月の運行に基づき朔日から晦日までとしており、この区切り方を月切り、暦月という。暦注における月の区切り方でもある。各暦月の名称は二十四節気を基準に定められる。暦月では正月(一月)・二月・三月を春、四月・五月・六月を夏、七月・八月・九月を秋、十月・十一月・十二月を冬とする。 これに対し、節気から次の節気の前日までの間を1か月とする月の区切り方を節切り、節月という。日本において占いや年中行事を記す暦注の中で節切りによるものがよく使われ、また季語の分類も主として節切りで行われている。節月では、正月節(立春)から二月節(啓蟄)までが正月、二月節(啓蟄)から三月節(清明)までが二月、三月節(清明)から四月節(立夏)までが三月というように定められ、立春から立夏までが春、立夏から立秋までが夏、立秋から立冬までが秋、立冬から立春までが冬とされる。 太陰太陽暦では、暦月よりも節月のほうが先に進むことがある。たとえば雨水が正月(一月)15日より前の日付にくることがあるが、このとき立春は雨水の約15日前なので、前の年の十二月のうちに入る。これを「年内立春」という。『古今和歌集』のとしのうちに はるはきにけり ひととせを こぞとやいはむ ことしとやいはむ(『古今和歌集』春歌上・在原元方) とは、この年内立春のことを詠んだものである。 赤道を境に正反対になる(例:北半球が大暑のとき南半球は大寒である)。 季節月名節月太陽黄経日本語中国語グレゴリオ暦日付(2024年)備考
二十四節気の置き方
平気法
恒気法、時間分割法ともいう。1太陽年を24等分した約15日ごとに設けられ、冬至を起点として約15日ごとに節気と中気を交互に配置する。
定気法
空間分割法ともいう。黄道を春分点を起点とする15度ずつの24分点に分け、太陽がこの点を通過する時を二十四節気とし、太陽黄経が30の倍数であるものを中気、それに15度を足したものを節気とする。
暦の指標
節気大雪小寒立春啓蟄清明立夏芒種小暑立秋白露寒露立冬
中気冬至大寒雨水春分穀雨小満夏至大暑処暑秋分霜降小雪
暦月と節月
一覧
日本
[注釈 1]中国
[注釈 2]
春寅月一月節315°立春立春
一月中330°雨水雨水
卯月二月節345°啓蟄??
二月中0°春分春分
辰月三月節15°清明清明4月4 - 5日4月4日4月4日立夏の18日前から春の土用
三月中30°穀雨谷雨4月19 - 21日4月19日4月19日
夏巳月四月節45°立夏立夏5月5 - 6日5月5日5月5日
四月中60°小満小?5月20 - 22日5月20日5月20日
午月五月節75°芒種芒?6月5 - 6日6月5日6月5日
五月中90°夏至夏至6月21 - 22日6月21日6月21日
未月六月節105°小暑小暑7月6 - 8日7月6日7月6日立秋の18日前から夏の土用
六月中120°大暑大暑7月22 - 23日7月22日7月22日
秋申月七月節135°立秋立秋8月7 - 8日8月7日8月7日
七月中150°処暑?暑8月22 - 24日8月22日8月22日
酉月八月節165°白露白露9月7 - 8日9月7日9月7日
八月中180°秋分秋分9月22 - 24日9月22日9月22日前後3日は秋の彼岸
戌月九月節195°寒露寒露10月8 - 9日10月8日10月8日立冬の18日前から秋の土用
九月中210°霜降霜降10月23 - 24日10月23日10月23日
冬亥月十月節225°立冬立冬11月7 - 8日11月7日11月7日
十月中240°小雪小雪11月22 - 23日11月22日11月22日
子月十一月節255°大雪大雪12月6 - 8日12月7日12月6日
十一月中270°冬至冬至12月21 - 22日12月21日12月21日
丑月十二月節285°小寒小寒1月5 - 6日1月6日1月6日立春の18日前から冬の土用
十二月中300°大寒大寒1月20 - 21日1月20日1月20日
注釈[脚注の使い方]^ 日本標準時(UTC+9)で節気の瞬間を含む日(定気法)
^ 中国標準時(UTC+8)で節気の瞬間を含む日(定気法)
出典^ ⇒The Twenty-Four Solar Terms, knowledge of time and practices developed in China through observation of the sun’s annual motion アーカイブ 2016年12月3日 - ウェイバックマシン Intangible Heritage UNESCO
^ “暦便覧の意味や由来、読み方は?”. 日本文化と季節ラボ. 2023年4月14日閲覧。