乳癌
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大豆イソフラボンは乳癌発生率減少と関連している[46]

野菜・総果物摂取量全体では、乳癌発生との関連は観察されなかったが、閉経前の女性では、「アブラナ科野菜」の摂取量が高いほど、乳癌になりにくいとの報告がある[47]

閉経前女性では、マメ科植物、家禽類、ナッツ、魚類の摂取合計が、獣肉(レッド・ミート)摂取に対して多いと、乳癌の相対リスク低下が見られた[48]

疫学 2004年における10万人毎の乳癌による死亡者数(年齢標準化済み)[49] .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  データなし   2人以下   2人から4人   4人から6人   6人から8人   8人から10人   10人から12人   12人から14人   14人から16人   16人から18人   18人から20人   20人から22人   22人以上

世界中でよく見られる癌で、西側諸国では女性のおよそ10%が一生涯の間に乳癌罹患する機会を有する。それゆえ、早期発見と効果的な治療法を達成すべく膨大な労力が費やされている。

日本でも女性の全癌において罹患数第1位であり、増加傾向にある。生涯で乳癌に罹患する確率は、日本人女性で11人に1人、欧米では8?10人に1人である。一方、死亡数は2021年の女性の全癌死亡の第4位である[50]

また大阪府癌登録による成績では、1975 - 2001年に診断された乳癌全罹患数(39,879例)のうち、男性乳癌は0.57%(226例)であった。また、Tajimaらは、男性乳癌の最頻値が60歳代であることを示した。[51][52]

乳癌に罹患するリスクは年齢と共に増加する。

総患者数、性・年齢階級別(千人)年齢総患者数男性女性
0歳000
1-400-
5-9---
10-1400-
15-190-0
20-24000
25-29101
30-342-2
35-39505
40-4411011
45-4924024
50-5426026
55-5923023
60-6426026
65-6933033
70-7426026
75-7924123
80-8416016
85-891009
90歳以上505
不詳0-0
合計2323229

(厚生労働省平成29年患者調査による[53]
転移

乳癌は肺、骨、脳、副腎、肝臓への転移が多い[54]。乳癌の骨転移の頻度は57?73%である[54]
歴史

乳癌は古代からあった病気で、古代エジプトにおいてはイムフォテプと言う医師による乳癌治療の記録がパピルス文書に残されている(紀元前3000年 - 紀元前5000年のこと)。

古代における乳癌の主な治療方法は、乳房の一部を切開することで悪性腫瘍を排膿し、残りの腫瘍は原始的に焼却したり腐敗させたりした。古代においては麻酔防腐もない時代であるので、乳癌の手術には大変な苦痛が伴い、手に負えないものであれば軟膏を塗るといった姑息的な手法によるしかできなかった。

それから長い時代において、乳癌治療の歴史[55] は停滞したままであったが、16世紀にアンブロワーズ・パレという外科医が、糸による結紮(けっさつ)で細胞を壊死させ、それによって癌を取り除くという手法を試みた。乳癌の手術技法を確立したのは、フランスの外科医、ジャン=ルイ・プティ(1674年 - 1750年)である。その方法は、癌に周囲組織を大きく付けて一塊にして切り取り、さらに転移を防ぐために腋窩リンパ節を取るものであり、これは現代の外科の考えと一致するものである。彼の死後24年後にはその業績は出版され、1800年代に入ってからは多くの外科医が乳癌治療の腕を競うようになった。

1804年には、華岡青洲(花岡青州)全身麻酔下において、乳癌摘出手術に成功した。

今日の乳癌手術の術式を確立したのはW・S・ハルステッドであり、1970年代まで彼の確立した術式は世界中で認められ、用いられるようになった。ハルステッドは1882年、最初の根治的乳房切断手術を行った。これまでの手術と違う所は、癌腫瘤から大きく離して正常皮膚乳腺組織を大きく癌の癌腫瘤の側に付けて切除し、さらに大胸筋と腋窩リンパ節を摘除していることである。

メイヤー[要曖昧さ回避]は1894年、6例の根治的乳房切断術を行ったことを報告している。彼は大胸筋のみでなく、より安全を確保するために小胸筋も切除した。こうして乳癌根治術方が確立されることとなった。乳癌は乳房を切除しても皮膚は腋窩に癌が再発することが多かったが、ハルステッドの療法によって、それまでの再発率60%から70%が6%に劇的に抑えられるようになった。
乳癌にかかった著名人

(アイウエオ順)

アップルゲイト,クリスティナ

ウィルソン,リタ

太田裕美 - トリプルネガティブ乳癌

川村カオリ - ロック歌手

かん - 華岡青洲による世界初の全身麻酔手術を受けた。

久野綾希子 - 元劇団四季所属のミュージカル女優。

小林麻央 - 元フリーアナウンサー、キャスター。十一代目市川海老蔵(現・十三代目市川團十郎白猿)の

さくらももこ - 漫画『ちびまる子ちゃん』の原作者。

塩沢とき

式子内親王 - 平安時代末の歌人。

ジョリー,アンジェリーナ - 母親を含め3人の近親者が遺伝性の乳癌・卵巣癌で若くして亡くなっている家族歴を考慮し、乳癌予防のため両乳腺を切除。

鈴木美穂

武原英子 - 女優。錦野旦の前妻。

田中好子 - キャンディーズの元メンバー。再発を含め19年間の闘病生活を送り、死後に「田中好子最後の180日」というドキュメンタリー番組が公開された。

千葉敦子 - ノンフィクションライター。著書『乳ガンなんかに敗けられない』 (文春文庫)

中城ふみ子 - 乳癌罹患後に『乳房喪失』と題した歌集を発表した歌人

ヒトラー,クララ - 息子のアドルフ・ヒトラーは母が苦しむ姿を見て自らも癌で死ぬという強迫観念を持つようになったという。

フォンダ,ジェーン

ブラザー・コーン - 男性。

水谷優子 - 声優。テレビアニメ『ちびまる子ちゃん』のお姉ちゃん(さくらさきこ)役などを務めた。

ベイツ,キャシー

矢方美紀


Category:乳癌で亡くなった人物」も参照
脚注[脚注の使い方]
出典^ “乳腺外科|クリニックフラウ栄|名古屋市中区栄-乳腺外科・婦人科”. クリニックフラウ栄. 2022年8月31日閲覧。
^ “ホルモン療法を受けるトランス女性の乳がんリスクはシス男性の50倍”. メディカルオンライン. 2023年9月30日閲覧。
^ a b 男性にもある乳がん 支援団体が交流会/少ない情報 特有の悩み『埼玉新聞』2018年2月7日(15面)。
^ a b c d e生理・生殖要因と乳がん罹患の関連について - 独立行政法人 国立がん研究センター(がん予防・検診研究センター 予防研究部)
^飲酒と乳がん罹患との関係について - 独立行政法人 国立がん研究センター(がん予防・検診研究センター 予防研究部)
^ a b喫煙・受動喫煙と乳がん発生率との関係について - 独立行政法人 国立がん研究センター(がん予防・検診研究センター 予防研究部)
^20歳時体重、成人後の体重の変化と乳がん - 独立行政法人 国立がん研究センター(がん予防・検診研究センター 予防研究部)


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