乱獲
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1975年から2015年までの水産資源の状態を比べてみると、健全な資源状態の水産資源が占める比率が確実に下がり、一方で、枯渇の危機にあるものが増えてきている。すでに水産物の3分の1は乱獲状態であり、漁獲枠に余裕があるのはわずか1割にとどまっている。
IUU漁業

IUU(アイ・ユー・ユー)漁業とは、違法(Illegal)・無報告(Unreported)・無規制(Unregulated)な漁業のことを言う。IUU漁業は、毎年、1,100?2,600万トンの水産資源を水揚げしていると推定され、その金銭的価値(損失額)は、毎年100?235億USドルと推計されている。この推計金銭的価値は、日本の年間生産額とほぼ同等の規模にある。

IUU漁業は、資源への圧力を増しており、さらに適切な漁獲を行っている漁業者にとっての脅威ともなっている。

IUU漁業は、実際の漁獲が行われる現場海域だけではなく、漁船が帰属する国、寄港(帰港)先の国や最終消費地である市場国の管理システムの不備によっても起こる。遠い海外からの輸入水産物での問題と思われがちだが、日本でもIUU漁業は起こっている。

絶滅危惧種であるニホンウナギは、ほぼすべてが養殖で生産されているが、稚魚の人工ふ化技術は確立しておらず、河口で採取した稚魚(シラスウナギ)もしくは海外から輸入した稚魚を養殖池に放流して育てる。しかし報告されたシラスウナギの漁獲量と養殖池に放流された量には、輸入量を差し引いても大きな開きがあり、IUU漁業によるものだと考えられている。

さらに輸入されたシラスウナギの大半は、実際の漁獲が行われていないはずの香港からであり、台湾などから不透明なルートで輸入されていると考えられている。
混獲「混獲」も参照

漁業による生態系への影響としては、「混獲(こんかく)」の問題がある。

これは、漁をする際に、目的以外の生物を網や針などの漁具にからめて、誤って獲ってしまうことである。アホウドリなどの海鳥、イルカやクジラなどの鯨類、そしてウミガメ類など、中には絶滅の危機にある海の野生生物も、数多くこの混獲の犠牲になっている。

また何らかの理由により放置された網や糸などの漁具に野生生物が絡まるゴーストフィッシング(幽霊漁業)も深刻な問題となっている。

漁具の多くはプラスチック製である。海中に放置された漁具は長い間ゴーストフィッシングの温床となるだけでなく、やがてはマイクロプラスチックとなり、世界的な海洋汚染の原因となる。

また、本来獲る必要がなく、商業的にも価値の無い魚なども、混獲されたものはただ捨てられてしまうケースが数多くある。また、サメのように、漁獲した後、高く売れるヒレの部分(フカヒレ)のみを切り取って、身を海に捨ててしまう例もある。

毎年、混獲の犠牲になっている海の生きものは、膨大な数になると見られており、海の環境を悪化させる大きな要因としても、問題視されている。

この節の加筆が望まれています。

脚注^キャビア消費自粛キャンペーンロシア語

関連項目

責任ある漁業海のエコラベル持続可能性漁獲可能量(TAC制度)

人工繁殖

コモンズの悲劇

混獲

チキンゲーム

絶滅:人為的な乱獲により絶滅した種としてオオウミガラスゾウガメ











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