九龍
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以前九龍湾地区にあり、香港の玄関口として利用されていた旧香港国際空港(啓徳空港:Kai Tak Airport)は廃止され、1998年7月に新界のランタオ島北側にあった島、赤?角(チェク・ラプ・コック:Chek Lap Kok)周辺を埋め立てて建設された香港国際空港へ移転している。

九龍地区を通る鉄道ではMTRがある。香港国際空港と接続する機場快線(エアポート・エクスプレス)は九龍駅が利用できる。MTRの紅?駅広州仏山など中国本土の都市へ向かう越境列車の発着駅となっている。

バス便ではダブルデッカーバスに代表される九龍バス(九巴)などの大手バス会社路線、マイクロバス運用によるミニバス路線などがある。九龍地区におけるタクシーの営業エリア別の車体塗色は香港島などと同じく赤色である。

九龍地区から香港島へはヴィクトリア・ハーバーを渡る海底トンネルが通じている。3本の鉄道用トンネル(地下鉄路線用、機場快線及びMTR東涌線用、MTR?湾線用、MTR東鉄線用)、2本の自動車専用トンネル(海底隧道、西区海底隧道)、及び1本の地下鉄路線と自動車道併用トンネル(東区海底隧道はMTR将軍澳線との併用)の合計6本が開通している。

尖沙咀にある中港客運碼頭 (China Ferry Terminal) からは広東省深?珠海中山広州南沙マカオなどへのジェットフォイル便 (TurboJET) が発着する。
主な地域九龍市街の様子

九龍地区で最も繁華な場所は九龍半島を南北に貫通する彌敦道である。九龍はこの通りを都市軸として据え、その周囲をおおよそ碁盤状に区画している。最近では、1998年に啓徳空港が閉鎖されたことによる九龍市街の高さ制限の撤廃に伴い、超高層建築でのオフィスや住宅、商店、ホテルなどが建設されている。これらが複合的に収容された施設(コンプレックス)の計画や建設も多く見受けられる。

本来九龍の指す地域は、九龍半島先端の尖沙咀から、かつて香港が中国からイギリスに割譲された際境界線となった場所にある街路の界限街までを言ったが、市街の急速な拡大に伴い、現在では新界南部や東部を含めた広域を指す場合が多い(新九龍を参照)。本項でも、新九龍を含めて解説する。
尖沙咀・佐敦香港文化中心

尖沙咀及び佐敦は九龍半島の先端に位置する街区で、彌敦道の始点となる場所。新界方面からのバスがこの場所で集約される。香港島へヴィクトリア湾を超えて渡るスターフェリー乗り場も設置されており、交通の要衝となっている。かつてはここに香港最大の鉄道駅であった九龍駅があり、この駅からは九広鉄路が発着していたが、現在は尖沙咀鐘楼時計台)のみが史跡として残っている。現在九龍駅は九龍半島中部の紅?へ移転し、名称も紅?駅となっている。旧九龍駅の跡地には香港文化中心香港芸術館、香港太空館(中国語版)などの文化施設が建設されている。

尖沙咀は香港で最も繁華な地区のひとつでもある。世界的なブランドの高級衣料品店、宝石店、ホテルなどが軒を連ね、香港のホテルで最高級のひとつとされるザ・ペニンシュラ香港もこの場所にある。一方、ゲストハウスと呼ばれる安宿や両替商が多く集まっていることで知られる雑居ビルの重慶大厦や美麗都大厦があるなど、混沌とした感も持ち合わせている。尖沙咀と佐敦との境にある九龍公園にはモスクもあり、国際色豊かな地域である。

地区の西側にある中港客運碼頭に付随する施設としてホテルショッピングモールを持つ中港城(中国語版)や海港城(中国語版)などがある。
旺角・油麻地ランガムプレイス

彌敦道沿いの油麻地周辺は観光客などが多く集まり、高級衣料店や両替商、土産物店などが多い。昼間から夜間には油麻地から旺角の一帯に露天商が現れ活気が溢れる。この中でも、特に女人街(中国語版)(通菜街:Tung Choi Street)の露店は有名である。

この地域の彌敦道上にはネオン看板が無数にひしめき、いわゆる香港らしいとされる景色が広がる。香港の下町としての色合いも強く、地元色の濃い地域でもある。佐敦や旺角と言った地域と共に、古くから営業する茶餐廳麻雀店なども多い。

旺角は、香港島にある銅鑼湾と並び、香港で最も繁華な場所のひとつである。花園街や西洋菜街、旺角中心などには最新の衣料品店やスポーツ用品店が多く軒を連ね、香港の若年層文化の中心地のひとつとなっている。

専門の商品の販売に特化した雑居ビルなどもあり、この中では携帯電話機器やそれらのパーツ、コンピュータ関連機器、主に日本製のアニメやゲーム、漫画の関連商品(直輸入品の他に台湾のライセンス商品が多い)などを販売している店舗が集まっている信和中心や先達広場(中国語版)、皆旺商場、旺角電脳中心と言った雑居ビルなどが知られている。

2004年には、旺角の西側一帯を再開発し建設された複合施設であるランガムプレイスが完成した。高さ255.1メートルで地上59階建ての超高層オフィス棟を中心に、ショッピングモールや映画館、ランガムプレイスホテルを有し付近の新しいランドマークとなっている。

旺角はこれらの雰囲気から、香港を更に凝縮したような独特の情景を作り出している。

旺角には整備されたバスターミナルなどはないが、大手バス会社の路線が集約されているほか、多くのミニバスの発着点になっているなど、交通の要衝である。2007年12月1日まではMTR九広東鉄に同じ名前の旺角駅があった。両駅は多少離れており、この駅での乗り換えには多少の時間を要する。このため2007年12月2日に九広東鉄がMTR東鉄線となったのを機に東鉄線の旺角駅が旺角東駅へと改称された(九龍塘駅が正式な乗り換え駅となっている)。
紅?香港體育館

紅?ハチソン・ワンポア(和記黄埔)などの企業が開発した広大な住宅群と、九広鉄路のターミナル駅である紅?駅がある場所である。

九広鉄路の紅?駅は、以前尖沙咀にあった九龍駅の代替として建設され九龍駅と名乗っていたが、機場快線東涌線の九龍駅との混同を避けるため1998年に紅?駅と改称された。2004年までは九広東鉄(現:東鉄線)の起点駅であったが、尖東駅の開業により中途駅となった。しかし2009年西鉄線と接続したことで紅??尖東が西鉄線に移管され、再び起点駅に戻っている。広州や仏山など、中国本土の都市への直通越境列車(城際直通車)は、九広東鉄延伸後も紅?駅を発着駅としている。

東側は住宅地があり高層アパートが立ち並んでいる。紅?駅の駅舎の前には香港体育館があり、各種スポーツ競技やイベントが行われている。
九龍城・九龍塘九龍城

九龍城は、閉鎖された啓徳空港が隣接していた場所として知られる。九龍半島の東部分が香港の行政区分としての九龍城区に含まれるが、狭義には九龍寨城に近接する地域を指す。

この地にはかつて清朝の軍事施設であった九龍寨城(俗称「九龍城砦」)があったことでも知られる。違法に建て増しされた建造物が集まり、スラム化していた九龍寨城跡地は1994年に取り壊され、九龍寨城公園(中国語版)として再開発された。

九龍城は飲食店が多く集まる地域としても知られている。中華料理の他、特にタイ料理の店舗が多くを占め、加えて甜品を供する店が多数出店している。

一方、九龍城の西部に隣接する九龍塘は高級住宅地として知られ、アパートメントや学校が整然と立ち並ぶなど落ち着いた様相を呈しており、雑然とした下町という感のある九龍城とは対照的である。かつてはブルース・リーの邸宅も九龍塘にあった。
九龍湾・観塘観塘

九龍湾から観塘にかけては、古くから開発されてきた住宅地である。超高層アパートが地下鉄路線沿いに軒を連ね、周囲に広がる山の中腹にまで及んでいる。

海岸地域には閉鎖された啓徳空港が近かった事もあり、巨大な倉庫街やかつて小規模工場として使われたビル群が広がる。付近には香港コンベンション・アンド・エキシビション・センターができるまで香港でも最大級の展示施設であった香港国際展貿中心(中国語版)がある。

啓徳空港跡地は、閉鎖後暫くは空港ターミナルビルを有効利用し、ゴーカートボウリング場といったアミューズメント施設や自動車展示場、香港政府の合同庁舎などで使用されていた。ターミナルビルは現在既に取り壊されている。他に旧滑走路跡にセメント工場が建設されるのみで、ながらく目立った工事は行われていなかったが、最近になって旧空港用地は観塘地区とともに香港島のセントラルを上回る規模のオフィス街に変貌させる開発計画案も出されるなど、再開発が始まっている。


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