九州地方は、日本の地域の中では小笠原諸島に次いで温暖な地域である。鹿児島県の奄美地方以南の地域と、種子島・屋久島地方以北の地域では平均気温が大きく違う。
九州島や種子島・屋久島以北
九州島や種子島・屋久島以北の島嶼部は、夏は暑く降水量が多い。冬は寒さを感じるほどに気温が下がり、雪が降る。域内の南北で大きな気温の差は1?2℃ほどしかない。
九州山地周辺(熊本県阿蘇地方・大分県の西部・宮崎県の北部山間部)では積雪は珍しくなく、年に数日は真冬日となるため希に根雪になることもある。しかし暖かい日もあるため中国地方以東とは異なり豪雪地帯は存在せず、積雪は比較的少ない方である。また大分県の西部は内陸性気候で昼と夜の気温差が大きく、寒暖の年較差も大きい。特に大分県の日田市では夏は猛暑の日が多く、冬は厳寒の日が多い。
南部の太平洋沿岸に当たる大分県の南部・宮崎県・鹿児島県の大隅地方、種子島・屋久島地方は太平洋側気候の南海型で、夏に降水量が多いが、冬は温暖で降雪することもほとんどなく、晴天の日が多い。夏から秋にかけては台風の影響を受けることが多いため「台風銀座」と呼ばれていて、鹿児島県は1951年(昭和26年)以降の台風上陸数が日本一である。その中でも日本列島に大きな被害をもたらした台風として「枕崎台風」「ルース台風」「洞爺丸台風」「台風13号(1993年)」「台風16号(2004年)」などがある。
福岡県の北九州地方の瀬戸内側と大分県の北部・中部は瀬戸内海式気候の特徴を持ち、降水量が多い梅雨時を除けば九州の中では降水量が少ない地域(大分市の年間降水量:約1,680 mm)であるが、それでも関東以北の東日本太平洋側と比べると多い。特に、北九州地方では九州型の影響との遷移地域で梅雨時の降水量が非常に多い。なお、冬季は曇天が多く降雪することも珍しくない。大分県中部では太平洋側気候の南海型ほど影響がないものの、梅雨時の降水量と秋雨や台風の接近による降水量もやや多いなど山口県の東部以東の瀬戸内海式気候の地域と比べると、夏季の降水量が少ないという特徴は薄くなっている。冬季の大分県北部、中部では、雲が九州山地に遮られるために晴天の日が多い。積雪はどの地域でも少ないが、九州山地にあたる地域ではやや多くなる。
福岡県の北九州地方の大部分を除く地域・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県の西部・鹿児島県の薩摩地方は太平洋側気候(九州型)で、夏は降水量がかなり多く、特に華南、南西諸島からの熱帯モンスーン気団による湿舌などの影響を直接受けやすい初夏から梅雨時に降水量が非常に多くなり、しばしば大きな被害をもたらす。なお、秋雨時の降水量は少ない。冬は降水量が比較的多いが、1 mm以上の降水が観測される降水日数の最多月は日本海側気候のように冬季(1・2・12月のいずれか)ではなく、他太平洋側気候各地と同様に春季 - 秋季(3 - 11月のいずれか)で、年間降水量が少なく、冬は北西からの季節風の影響を受けるため曇天が多いなど島根県の石見地方や山口県の北部と似た気候が現れる。一方で、朝鮮半島のある関係で降雪日数は福岡市で約17日と東京・大阪よりは多いが、積雪は少なく首都圏・京阪神などと同じように5 cm程度の積雪でも大雪とみなされるために交通機関が麻痺してしまう。台風の影響は東シナ海側から朝鮮半島、日本海側を進んだ場合に降水量が多くなる傾向がある。
奄美以南
奄美地方以南の地域は南日本気候(南西諸島気候)で、大東諸島を除きどの島でも年間降水量は2,000 mm以上と多く、一年中降雨がある。台風の接近が多く、時々強い台風が襲来して被害をもたらす。年間の気温の差が小さく1年を通して気温が高い。また昼と夜の気温差も小さい。降雪の記録は過去に数回しかない。盛夏時は晴天の日が多く日照時間も非常に多いが、にわか雨が多い。なお、冬季は北西からの季節風で曇天と雨天が多く日照時間も少ない。