乗車券
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日本の鉄道類では北九州モノレール沖縄都市モノレール(ゆいレール)などで採用例がある。また、航空券では広く使われている。

2022年11月、JR東日本はQRコードでの乗車を発表した[10][11][12]。2024年から予定されている。また、東武鉄道も2024年5月に発表した中期経営計画において、既存の磁気乗車券を全廃した上でQRコードの乗車券を導入する予定であることを明らかにしている[13]。それ以外の首都圏の鉄道会社6社[注 2]も2026年度末以降にQRコードの乗車券を導入することを2024年5月に発表した[14]
その他の素材

アメリカ合衆国台湾など日本国外の地下鉄路面電車等の公共交通機関においては、紙製の乗車券ではなく、回収して何度も使われるプラスチック金属製の乗車券や、トークン(token)と呼ばれる専用のコインを用いるところがある。

いわゆる電子チケットや、スマートフォンのアプリを乗車券として利用する例もある。日本では、ジョルダン乗換案内』のモバイルチケット、ハイウェイバスドットコム高速バスネットのWEB乗車券などがバス会社を中心に普及している。
日本の乗車券
鉄道国鉄時代の普通乗車券(1966年

日本の鉄道の場合、「乗車券」は普通列車普通車自由席を利用する運送(普通運賃)のためのものであり、急行列車や特別車両などを利用するための特別急行券、急行券、グリーン券、寝台券などの「特別車室券」等(いわゆる「料金券」)と区別される。JRでは旅客営業制度上、正式には乗車券類と呼んでおり(入場券は含まれない)、一般には「切符」(JRでの営業案内上はひらがな書きで「きっぷ」)と呼ばれている[15]

日本の旧・官設鉄道/鉄道省/日本国有鉄道(国鉄)では、創業の1872年明治5年)から1969年(昭和44年)までは、後述の長距離フェリーや国際線航空券同様に等級制1960年〈昭和35年〉まで三等級制、1969年〈昭和44年〉まで二等級制)が取られており、運賃や特急・急行料金自体に格差がつけられていた。

合理化の影響で、鉄道においても昭和後期からワンマン列車が増えており、下車時に運賃箱へ運賃分の現金を直接投入させることにより、駅での乗車券の発行を省くケースがある。1971年(昭和46年)に日立電鉄線(2005年に路線廃止)で始まったもので、現在ではJRや多くの鉄道事業者で導入されている。

乗車券の大きさは各社局ほぼ同一であり、おおよそ以下の5種類になる。「A型券」(3cm×5.75cm)「B型券」(2.5cm×5.75cm)「D型券」(3cm×8.75cm)指定席券だが大きさは同じ連絡往復乗車券 120mm マルス券

3 cm×5.75 cmイギリスのT・エドモンソン硬券を考案した際に採用したサイズ(1 3/16 インチ × 2 1/4 インチ)[16] の乗車券で、「A型券」または「エドモンソン券」とも呼ばれる。乗車券の大きさとしては最もポピュラーなもので、現在でも自動券売機用として広く使われている。

2.5 cm×5.75 cm戦前に用紙節約のために考案された。「B型券」とも呼ばれ、現在は多くの私鉄で乗車券や入場券(共に硬券の場合)などに使われている。

6 cm×8.75 cm「C型券」とも呼ばれている。かつては特急券と寝台券を合体した切符などに用いられたが、現在は極一部の私鉄で使用されているのみとなっている。

3 cm×8.75 cm「D型券」とも呼ばれており、現在では一部の私鉄での往復乗車券や記念乗車券・入場券などに使われている。昭和40年代 - 50年代頃には座席指定券や寝台券などにも使用されていた。

5.75 cm×8.5 cm定期乗車券として一般的な大きさで、JRでは「特殊指定共通券第六種」として規定されている。また、MARS(マルス)端末で発券される乗車券類(いわゆる「マルス券」)のうち短いほうのものも同じ大きさ(こちらは「特殊指定共通券第四種」)である。

5.75 cm×12 cm「マルス券」のうち長いほうのもので、「特殊指定共通券第五種」として規定されている。「青春18きっぷ」などの企画乗車券や、寝台券、一部の私鉄連絡乗車券などに用いられている。

上記の他にも国鉄・JRには用途に応じて様々な大きさのものが規定されているが、切符の廃止やマルス端末での発券に統合されたことなどによって特殊指定共通券(第四?六種)に集約され、現在では、ほとんど見られない。なお、各社局が発売する記念乗車券類には多種多様な大きさ・形状のものがある。

2026年度以降、JR東日本では、QRコードを用いた「QR乗車券」を計画している[17]
路線バスJR北海道バスの乗車券(硬券)JR東海バス東名高速線の乗車券(車内発券)。いわゆるロール紙だが、東海旅客鉄道(JR東海)の鉄道乗車券と同様に "JR" "C" の地紋が入る。

一般路線バスの場合、乗車する際に乗車券を発券する場合が少ない(多くの場合、乗車時、あるいは降車時に運賃を直接現金や回数券、バスカードなどで支払う)ため乗車券はあまり一般的ではないが、西鉄バス北海道中央バス豊鉄バス等では、主要バスターミナルの窓口または券売機にて、初乗りから乗車券を発売している。これは事前購入をすることによるスムーズな降車と車内での両替を少なくする効果がある。また、観光地を抱える東海バスグループ、箱根登山バスアルピコ交通では、対キロ運賃制のバス乗車に不慣れな乗客のために、案内を兼ねて乗車券を購入の上での乗車を呼びかけている。その他、観光地のバス利用には、旅行代理店で発行するクーポン類も存在する。また走行距離の長い高速バスなどでは、乗車券を発券する場合が多い。

なお、予約制の一部高速バスでは、インターネット予約後、ウェブ決済で表示される乗車票ページをパソコンに接続したプリンターで印刷したものや、コンビニエンスストア多機能端末ローソンファミリーマート)や代行収納サービス(セブン-イレブン)を利用して運賃を支払い、レジで打ち出される控え証を乗車券とする場合もある。

基本的には利用する区間の運送のために発行されるが、高速バスなど座席が指定されているものなどは座席指定券と同等の機能を持つ場合もある。また、一部の路線バスで、鉄道の場合における急行列車に相当するバスが運行される場合があり、乗車時に急行料金を徴する場合もある。
乗車券の法令と規則

以下では主として鉄道の乗車券を扱う。
法的性質

旅客運送契約に基づき運送を請求する債権を証明又は表章する証券である。通常、無記名の普通乗車券は有価証券で、権利の移転と行使に当該証券が必要となる。ただし、使用開始(入鋏)後の乗車券は、譲渡ができないため、証拠証券に過ぎないものと解されている。

鉄道営業法は、別段の定めのある場合のほかは、乗車券を所持しない旅客の乗車を禁じている(ただし、兵庫県北条鉄道などは乗車券を発行していないため、下車駅で支払う形式をとっている)。

また、鉄道運輸規程によると、乗車券は通用区間中いずれの部分に付いても効力を有するものとされ、原則として途中下車が可能である。ただし、鉄道事業者が別段の定めをすれば例外が認められる。詳しくは途中下車の項を参照のこと。

旅客運送契約の内容は、JR各社では運送約款である旅客営業規則で定められる。


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