久米田康治
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その後、『ポカポカ』で「あるテーマを取り上げ、そこからネタを広げる」という形式が模索され、『改蔵』中盤で「毎回1つのテーマに沿って、皮肉や社会風刺などを交えながら考察を行う」という『さよなら絶望先生』に続く形式が確立した。インタビューでは「嫌なことから連想してネタを作っていく、嫌なことはいくらでもあるから」とも語っている。逆に『改蔵』中盤からは下ネタの頻度が減少し、『絶望先生』ではほとんど下ネタは見られなくなる(『絶望先生』で下ネタをする際には、その度ごとにキャラクターが「下品です!」などと言っている)。その代わりアニメ・漫画・映画などマニアックなネタの割合が増え(ただし漫画家になる前は特にこの方面の知識は詳しくはなかったとも語っている)、作中キャラによる猟奇オチが増えた。また、同雑誌に連載している漫画家をネタにする漫画家いじりも数多くやっていた。

『週刊少年マガジン』に移った『さよなら絶望先生』以降は、編集部から身内いじりはやめてくれと懇願されたこともあり、身内いじりがなくなったが、古巣である『週刊少年サンデー』のネタを多く取り上げている。声優オタクで恩知らずな元アシ(後述の畑健二郎)ネタ、原画紛失訴訟ネタ、『サンデー』と『マガジン』のタイアップによる暴露ネタなど。ただし、雷句問題の際にこれらのネタが雷句支持派に文脈を無視して使われた事に関しては遺憾だったようである[13]。なお、移籍後も小学館と関係を解消したわけではなく、旧作の復刻を機に『週刊少年サンデー』連載陣による「まんが家バックステージ」の久米田のコーナーが復活しているほか、2011年には『改蔵』のOVA化を記念して『絶望先生』が少年サンデーに掲載されて以降断続的に読切を発表している。2021年には『サンデー』では17年ぶりとなる連載『シブヤニアファミリー』を開始した。

『南国』『改蔵』『絶望先生』など、長期連載となった作品の終盤では、それまでの世界観を覆すどんでん返しを用意していることが多い。これについては2019年のインタビューで「作品に対する供養である」と述べている。[14]
特徴

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各話で主要人物が登場する(またはそれに準じる)際に、ページ4段ブチ抜き画法で人物を描く。これはデビュー当時からの特徴であり、ヤスが作画を担当している『じょしらく』でも同様の描写が踏襲されている。弟子の畑健二郎も初期に使っていたものの徐々に使用頻度は減っていった。

『改蔵』から『絶望先生』まで続く画風に関しては、キャラクターや衣装、構図などのデザインにおいて、漫画業界内、さらには『改蔵』公式ファンブック『かってに研究しやがれBOOK』(以下『ファンブック』)で雑誌「ファッションニュース」編集長の向千鶴からも高評価を得ている。編集部内で話題になった現実世界のファッションを何週か後に『改蔵』内で名取羽美が着ていたこともあったという。

「どよんど」「にょんたか」など、独特の擬音を作中で織り込むことでも知られ、特にメールを打つ際の擬音「めるめる」は『かってに改蔵』内で「著作権フリーなのでどんどん使ってください」と宣言して以来、漫画家の間でも広まっている。

特に『絶望先生』ではやや政治的なネタも見られるが、それは思想の押し付けではなく、久米田は「(喜劇としての)漫画が説教臭くなったらおしまいだ」と『改蔵』作中で登場人物に述べさせ、インタビューでも「その時々の報道内容をネタにしているため、思想が一定しない」旨の発言もしている。
執筆方法

『行け!!南国アイスホッケー部』後期にスクリーントーン処理に関してMacを導入して以降、次第にパソコンに頼る部分が多くなり、『かってに改蔵』以降は全工程においてパソコンを使い執筆している。なおパソコン本格導入の背景には『ポカポカ』から『改蔵』に至る間にそれまでのアシスタントが独立することになったこともあると『改蔵』コミックス等で述べている。

『かってに改蔵』(1998年)よりデジタル作成を導入した。使用しているパソコンは一貫してApple製のものである。
執筆の環境

1995年8月時点[15]2000年8月時点[16]2007年3月時点[17]
PCPower Macintosh 8100 (ApplePower Macintosh G3 (アップル)Power Mac G5 (アップル)
OSMac OS X (アップル)
MO80 MB (会社不明)230 MB (会社不明)
HDD500 MB (会社不明)
プリンタMICROLINE 902PSII (OKI
スキャナScanTouch (ニコン)ES-8000 (エプソン
使用ソフトPhotoshop CS (アドビ
タブレット機種不明 (ワコム)Intuos3 (ワコム)

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現在[いつ?]はMac Pro 3.0 GHz 8コアモデルを使用している。ソフトはPhotoshop CS3。メモリは8 GB積んでいる。

2020年4月14日BS日テレの番組「あの子は漫画を読まない。」にゲスト出演した際には、iPadを使用して執筆している様子が紹介された[18]
人物

『南国』や『改蔵』初期では烏帽子のようなもの(通称:下ネタ帽)を装着した根が明るいキャラの自画像を描き、『南国』の単行本に自身のヌード写真を掲載したり、サンデーの読者イベントでも同様の行動を行うなど、作品内容と同調した破天荒なキャラクターであった。

『改蔵』中期からは売れない漫画家と自虐的・ネガティブな発言を行うようになった。このキャラクターは太宰治を意識して作り上げた面があり、『かってに改蔵』ファンブックには太宰治に扮して玉川上水縁に佇んだ写真が掲載されている(太宰の自殺について「周囲からかわいそうがられるための狂言」説に基づいた見解を述べている[4])。文芸にも深識があり、後期の作品は、漫画的な流行りやおちょくりはあっても、基本内容はプロレタリア文学に近い。

メディアへの露出は少ないが、島本和彦のラジオに一度電話出演している。同ラジオのアシスタントは終始テンションの高い島本しか漫画家を知らず、漫画家=テンションが高いものと考えていたらしく、終始テンションが低かった久米田に対し、何度も大丈夫ですかと気遣っていた。このアシスタントは久米田との電話が終わった後のトークでは「本当に危ない人なのではないか」と思ったと発言している。TVアニメ『さよなら絶望先生』の第4話から第9話で放映されたOPでは、白黒映像で出演している。なお、この写真は後述の生前葬の時の遺影である。絶望先生のアニメでは「前田君」を初めとするアシスタント陣が声優出演を果たしているが、久米田本人の出演はなく、久米田とおぼしき無精髭の漫画家の声は神谷浩史が担当した。

その一方で、『南国』時代には費用全額を自分で負担してアシスタントをセブ島へ旅行に連れて行ったり、『改蔵』時代はミコノス島へ旅行に連れて行ったり[19]、アニメ『さよなら絶望先生』のアフレコの度に声優に洋菓子を差し入れするなど、ネガティブなキャラクターとは裏腹な気前の良さを感じさせるエピソードもある。


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