主人公
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対戦型格闘ゲームなど、ゲームの種類(ジャンルなど)によってはプレイヤーが操作可能なキャラクターが複数用意されている場合もあり、そのような作品ではプレイヤーが選択した人物が主人公となる[31]

二人対戦、もしくはそれ以上のプレイヤーが参加する多人数ゲームでは、複数のプレイヤーキャラクターがそれぞれのプレイヤーにとっての主人公であるという状況が発生する。このようなゲーム作品のメディアミックス展開によって誕生した派生作品や、その影響を受けた作品では、作中に主人公と呼べる人物が複数登場することになる場合もある[31](「#主人公が大量に存在する、または存在しない」も参照)。
越境する者

ユーリ・ロトマンは物語世界の空間を内(我々)と外(彼ら)に分け、内・外の境界を越える人物を主人公とした[32]
感情移入の対象

受け手に自分とは異なる人生を擬似体験をさせることを主眼とした物語作品では、主人公が感情移入や共感の対象となることが求められる[33][34]。物語の作者は受け手を主人公に共感させることにより、受け手を感動させることができる[33][35]。また、主人公は物語の作者が物語を動かしやすくするため、作者の思想や願望が投影されることもある[36]。ただし、感情移入が困難な主人公でも物語が成立する場合もある[34]

少年漫画では男が主人公、少女漫画では女が主人公である場合が多いが、そうではない場合もある。なお、MMORPGプレイヤーの半数は、自分自身の性別とプレイヤーキャラクターの性別を一致させることにこだわらないという調査結果もある[37]
主人公補正

主人公にとって都合よく周囲の環境が操作されることを、「主人公補正」と呼ぶ。近現代の比較的軽度な物語(漫画やアニメ)に多く見られる[38]
資質
人間あるいは擬人化された存在である

主人公は人間である[39]。作品によっては人類ではなく動物などのキャラクターや、物品や個人に限らない組織といった事物が主人公となる場合もあるが、その場合においても物語の作者と受け手が共に人間である限り、主人公は必ず擬人化された存在であり、広い意味では人間を描いたものと言える[40]

高度な人工知能や進化して知性を獲得した動物、宇宙人のような存在によって書かれ、そのような存在によって読まれる物語であるならば、人間(地球人)を投影したりされたりする主人公が存在しないかもしれない[40]
特異な才能の持ち主

往々にして活劇の主人公は並外れた人物であり、他の登場キャラクターに比べてずば抜けて高い能力(高い知力、腕っ節の強さ)や特殊な地位や権限などを生まれながらにして持っていたり与えられていたり、あるいは後に身につける場合がある[17]。このような能力や立場が、主人公に与えられた問題や、幾度も降りかかる困難を解決するための手段となる。

まったくの素人の状態から物語中で経験を積み重ねることにより、才能を開花させていく主人公もいる[34]。また、一見すると平凡に見えるが、心の優しさや純粋さといった、人をひきつける内面的な魅力を持つ主人公もいる[41]
何らかの欠落を抱える

主人公自身または主人公の属する環境は、何らかの埋め合わせるべき欠落を抱えており、主人公はそれを回復しようとする[24]。例えば、古今の物語の主人公やそれに準じる主要人物の多くは、両親の一方あるいは両方がいない境遇であることが多い[42]。またアメリカ映画の主人公は、しばしば自己を確立したいという強い欲求を抱いている[23]。他にも身分が低かったり、自分の才能に不足を感じていたり、心身の一部に傷やハンデを抱えていたりする場合がある[43][例 1]

これらの欠落はしばしば物語中で解決すべき最大の問題そのものであったり[24](「#問題を解決する者」も参照)、最大の困難に立ち向かう際に克服しなければならない臆病さや、向き合うことを避けてきた価値観などといった弱点であったりする[27]。このような欠落が、主人公を突き動かす動機や目的となる[24][43]
善人

善良な心・優しい心の持ち主や、正義の味方など。

物語の主人公はしばしば独自の道徳観や理想、正義感といった信念に基づく行動原理を持っており[27][17][28]、物語の作者が、主人公が体現する主題を肯定的に描こうとしている場合、そのような行動原理は肯定的に描かれる(「#主題の実行者」も参照)。自己中心的であったり反社会的な人物が主人公である作品でも、作中で価値ある目標に目覚めたり[27]、ある一面からは正しくないように見えても主人公なりの道徳観や信念を持っていたり[28][17]、主人公の方が人道的見地から肯定される場合がある[44]。例えばヤンキーや暴走族などを主人公とする作品でも、主人公にもいい面や優しい面もあることがアピールされるなど、読者に好感を持ってもらうための描写が組まれることがある[44]

物語の作者が主人公の行動原理に対して批判的である場合などはこの限りではない[26]。また、作品によっては常識や法律による束縛への反感や悪への憧れが物語の主題となることもあり、ピカレスク・ロマン(悪漢小説)と呼ばれるジャンルの作品では、主人公の悪性や反社会性が魅力的に描かれる[45]。中には物語半ばで悪人(悪役・敵役)と化する主人公も存在する[例 2]
特権
制作者の表明

制作者が登場人物紹介やインタビューなどにおいて、特定の登場人物を主人公であると表明する場合がある。また、制作者自らが主人公は二人(もしくはそれ以上)だと表明する場合もある。

主題の捉え方によっては、制作者が表明した主人公と、受け手が主人公として捉えている人物は一致しないことがある[例 3]。製作者の独断で主人公が決定された場合は、本編での活躍が薄い人物や、登場すらしていない人物が主人公になることもありうる[例 4]
キャストの順番「クレジットタイトル」も参照

日本ではアニメやドラマなどにおいて、クレジットタイトルのキャスト表示において主役を先頭に表示する慣習があることから、キャストの先頭に表示された人物が制作者が意図した主人公である場合が多いが、演じる人物や役者の格によって主人公役以外のキャストが先頭に表示されることも稀にあり[例 5]、連続放送の途中回から主人公役以外のキャストが先頭に表示される作品もある[例 6]


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