主人公
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ただし、作品が掲げる主題は台詞による説明ではなく主人公の無言の行動によって示されるが[28][26]、その解釈は作者の中ではなく作品と受け手の間に成立するため[16]、物語の描き方や受け手の価値観によっては、主題が作者の意図と異なる形で伝わってしまう場合もある[26][16]。また、主人公と対立する敵対者たちはしばしば主人公とは相容れない道徳観や倫理に基づいて行動し[17]、主人公が体現する主題を否定する役割を担うが[26]、このような敵対者が体現する主題に共感する受け手にとっては、敵対者が主人公となることもある[17]

このような主題は必ずしも明確な主張を伴っているとは限らない。例えば少女漫画では、しばしば作者が発するメッセージ性よりも、登場人物同士の関係性を描くことに重きが置かれる[29]
操作可能なキャラクター「プレイヤーキャラクター」も参照

コンピュータゲームでは、プレイヤー自らが主人公の役割を演じる[30]。プレイヤーが操作するキャラクターはプレイヤーキャラクターと呼ばれる。対戦型格闘ゲームなど、ゲームの種類(ジャンルなど)によってはプレイヤーが操作可能なキャラクターが複数用意されている場合もあり、そのような作品ではプレイヤーが選択した人物が主人公となる[31]

二人対戦、もしくはそれ以上のプレイヤーが参加する多人数ゲームでは、複数のプレイヤーキャラクターがそれぞれのプレイヤーにとっての主人公であるという状況が発生する。このようなゲーム作品のメディアミックス展開によって誕生した派生作品や、その影響を受けた作品では、作中に主人公と呼べる人物が複数登場することになる場合もある[31](「#主人公が大量に存在する、または存在しない」も参照)。
越境する者

ユーリ・ロトマンは物語世界の空間を内(我々)と外(彼ら)に分け、内・外の境界を越える人物を主人公とした[32]
感情移入の対象

受け手に自分とは異なる人生を擬似体験をさせることを主眼とした物語作品では、主人公が感情移入や共感の対象となることが求められる[33][34]。物語の作者は受け手を主人公に共感させることにより、受け手を感動させることができる[33][35]。また、主人公は物語の作者が物語を動かしやすくするため、作者の思想や願望が投影されることもある[36]。ただし、感情移入が困難な主人公でも物語が成立する場合もある[34]

少年漫画では男が主人公、少女漫画では女が主人公である場合が多いが、そうではない場合もある。なお、MMORPGプレイヤーの半数は、自分自身の性別とプレイヤーキャラクターの性別を一致させることにこだわらないという調査結果もある[37]
主人公補正

主人公にとって都合よく周囲の環境が操作されることを、「主人公補正」と呼ぶ。近現代の比較的軽度な物語(漫画やアニメ)に多く見られる[38]
資質
人間あるいは擬人化された存在である

主人公は人間である[39]。作品によっては人類ではなく動物などのキャラクターや、物品や個人に限らない組織といった事物が主人公となる場合もあるが、その場合においても物語の作者と受け手が共に人間である限り、主人公は必ず擬人化された存在であり、広い意味では人間を描いたものと言える[40]

高度な人工知能や進化して知性を獲得した動物、宇宙人のような存在によって書かれ、そのような存在によって読まれる物語であるならば、人間(地球人)を投影したりされたりする主人公が存在しないかもしれない[40]
特異な才能の持ち主

往々にして活劇の主人公は並外れた人物であり、他の登場キャラクターに比べてずば抜けて高い能力(高い知力、腕っ節の強さ)や特殊な地位や権限などを生まれながらにして持っていたり与えられていたり、あるいは後に身につける場合がある[17]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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