中華民国
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バイデン政権の発足以降、米台関係はさらに強固なものとなり、2022年8月13日、中華民国外交部は台湾海峡の安全を維持している米国に感謝の意を表明した[37]
冷戦後の動向

李登輝総統(任期:1988年 - 2000年)時代に入り、中華民国政府は中華人民共和国の存在を「反乱団体による非合法行為」と規定しなくなったが、現在も中華民国を「『中国』の正統政府」とする主張は変えていない。そのため、中華民国国内では、「『中国』の正統政府」であることをやめ実効支配地域のみを統治する政府として国家を再編することで、中華民国の新たな国際社会復帰を模索する動きも活発化している。2005年8月1日には、陳水扁総統が「中華民国は台湾」と語っており、中華民国の国家としての定義は国内において二分している状況である。

さらに21世紀初頭では、中国大陸と台湾を統治することを前提とした中華民国の国家体制から脱却し、台湾のみの統治を前提とした国家を創出する台湾独立運動(台独運動、または台独)も活発化しており、そのことが問題をより複雑化している。もっとも、台湾においては、この問題に関するさまざまな意見が存在しているものの、少なくとも台湾が中華人民共和国に属するものではないという点では世論の大勢が一致している。そのため、中華民国の立法府たる立法院の議員は、主に「台湾の主権は中華民国に属する」とする泛藍派と、「台湾の主権は中国の国家には属さない」とする泛緑派(台独派)のいずれかに大別される。

世論調査では、「実質的に中国共産党による一党独裁国家であり、言論や思想、宗教選択の自由すら許されていない中華人民共和国」と完全に分離して、議会制民主主義体制が堅持されている現在の状況を維持したいとの意見が大勢であり、中華人民共和国との統一や中華民国体制からの独立を望む声は少数意見である。そのため、中華民国の世論は基本的には現状での安定志向にあると言え、各党も世論を配慮しながら政治活動を行っている。

アメリカ、イギリスなどの中華人民共和国と国交のある諸国の政府も、公式には中華人民共和国の唱える「一つの中国」政策を支持しているものの、大統領制議会民主国家を維持することを望む中華民国の国民の意向を尊重することと、中国共産党の一党独裁国家であり、言論の自由が抑圧されている中華人民共和国[38][39] によるアジアにおける軍事的覇権を牽制する意味からも、この状態の維持を事実上支持している。日本は中華人民共和国の唱える「一つの中国」政策を「理解し、尊重する」という表現にとどめ、承認しているわけではないが、中華民国との正式な国交はなく、事実上アメリカ、イギリスなどと同様の立場を取っている。第二次安倍政権下では台湾と中国が明確に別の国であるとして取り扱う事が多くなるなど、情勢の変化が起こっている[40]

2000年代後半に入り、中華民国と国交を有していた中央アメリカコスタリカが2007年に中華人民共和国と国交を開き、その他パナマニカラグアホンジュラスなどの中央アメリカ諸国も世界第二位の経済大国となった中華人民共和国との経済関係を重視する方針を打ち出しているが、中国国民党馬英九政権の立場を尊重する中国共産党の意向により、中華人民共和国はこれら経済的な関係の深まる中央アメリカ諸国との国交を樹立していなかった[41]。しかし、2016年民主進歩党蔡英文政権に交代してからは、ガンビアサントメ・プリンシペ、パナマ、ブルキナファソと相次いで国交を樹立するなど、中華民国との断交を迫る外交路線に回帰した[27]

2018年8月、エルサルバドルと断交[42]

2019年9月16日、ソロモン諸島が断交し、中華人民共和国と国交を樹立することを決定[43]

2019年9月20日、キリバスと断交[44][45][46]

2021年12月9日、ニカラグアと断交[47]

2023年3月26日、ホンジュラスと断交[48]

2023年8月21日には中央アメリカ議会が中華民国は中華人民共和国の一部であるとしてオブザーバーの地位を剥奪し、代わりに中華人民共和国をオブザーバーに選定。これに対し中華民国は即時脱退を決定した[49]

2024年1月15日にナウルが中華民国との断交と、中華人民共和国の国家承認を発表[50]
地理台湾地区の位置図詳細は「台湾の地理」を参照台湾島山岳部
中華民国の実効支配地域(台湾地区)

中華民国と中華人民共和国は、互いの管轄下にある領土を主張しているが、民主進歩党が支配する中華民国は、台湾が中華民国と同等であると主張する傾向が強まっている[51][52][53]。中華人民共和国も、台湾および福建省金門県連江県の領有を主張している。

東沙諸島南沙諸島については、中華人民共和国と実効支配を、フィリピンベトナムマレーシアブルネイとは領有権を争っている。

台湾島

澎湖諸島

金門島

馬祖列島

烏?

東沙諸島

南沙諸島

太平島

中洲島


領土問題中華民国の領土主張の最大の歴史範囲
  実効支配域(台湾地区)  領有権を主張する歴史地域中華民国が主張する国土に周辺諸国との領土問題を反映させた地図詳細は「台湾問題」を参照

中華民国の国土は、中華民国憲法増修条文によって下記の通りに区分されている[54]
自由地区(台湾地区):中華民国政府の実効支配が及ぶ範囲。台湾島(台湾)、澎湖諸島、金馬地区(金門県連江県)、東沙諸島、及び南沙諸島の一部から成り立っており、日本や中華人民共和国、フィリピンなどと領海を接している。

大陸地区(中国大陸):自由地区を除いた中華民国の領土。中華人民共和国政府が実効支配している区域(中国大陸、及びに香港マカオ)に加え、以下の地域の領有権主張も含まれている。


日本東シナ海にある尖閣諸島(詳細は尖閣諸島問題を参照)

南シナ海海域(いわゆる十一段線

2005年時点で中華民国が主張する総面積は 11,418,174km2 だったが、中華民国政府はこれらの情報について公開を取りやめている。これは、中華民国が清朝の全てを継承した国家という認識によるものであり、中華民国は国交のないモンゴル人民共和国(現在のモンゴルの前身)の独立を一旦承認したものの、中ソ友好同盟条約を正式に破棄した1953年モンゴル独立の承認を取り消したものとされてきた(詳細は対モンゴル国関係を参照)[55]。しかし、2003年に中華民国とモンゴルとの間に事実上の大使館が設置された他、2010年に中華民国政府は「我が国の領土にモンゴルは含まない」との見解を示しており、2012年大陸委員会は、1946年中華民国憲法制定時点でモンゴル独立をすでに認めており、憲法第4条で中華民国の領土とされる「固有の領域」にモンゴルは含まれないとの資料を発表した[56]


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