中華民国
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「中華民国政府を認めるか、中華人民共和国政府を認めるか」という「一つの中国」論により、これらの国は中華人民共和国との国交を結んでいないが[27]、このうちセントルシアなどは、かつて中華人民共和国と国交を結んだが、後に中華民国と国交を回復した[28][29]。かつて中華人民共和国との国交を断交した後、再び中華民国と断交したナウルのように、方針が二転三転する国家も存在する[30]

かつては中華民国が中国大陸を統治しており、国連創設時の初期メンバーでもあったため、多くの国と国交を結んでいた。しかし、中華人民共和国が大陸を統治し始め、アルバニア決議により中華民国が国連を追われると、外交関係国は1969年の68か国から1978年には21か国に激減した[31]。さらに、中華人民共和国の国際的な影響力が増大した2000年代以降、中華民国を承認する国は減りつつある[32]

オセアニア:3か国

マーシャル諸島

パラオ - 地理的に中華民国に最も近い承認国。

ツバル

ヨーロッパ:1か国

バチカン

アフリカ:2か国

エスワティニ

ソマリランド - 中華民国側は承認しているが、正式な国交はない。

中央アメリカ:2か国

ベリーズ

グアテマラ - 承認国中で最も古い(1933年)外交関係を持ちかつ、最大の人口を擁する国家。

カリブ海:4か国

ハイチ

セントクリストファー・ネイビス

セントルシア

セントビンセント・グレナディーン

南アメリカ:1か国

パラグアイ - 中華民国承認国中で最大の面積を擁する国家。



国家承認をしていないが実質的に外交関係を継続している国

第二次世界大戦以前に多くの国々と国交を樹立していた経緯から、現在国交を結んでいない国々との間でも実質的に外交関係を継続している。その中でも台湾島や澎湖諸島の旧統治国である日本や旧同盟国のアメリカ合衆国、西欧諸国との関係を重視している。こうした国々の多くでは、事実上の大使館として台北経済文化代表処が設置されている。

日本
日台関係史」を参照第二次世界大戦後の1952年日華平和条約が調印され、日本は中華民国との国交を回復した。しかし、1972年日中共同声明調印による日中国交正常化を受け、日華間の国交を断絶する措置により関係は解消された。日本ではアメリカの台湾関係法に相当する国内法が制定されなかったが、経済交流を従来通り維持させるため、事実上の大使館領事館の役割を果たす民間の利益代表部(日本台湾交流協会)を設置し、非公式の外交関係を維持している。協会の台北事務所へ経済産業省、外務省、防衛省の職員などが出向している[33]。両国政府が利益代表部を通じて二国間協定を締結したり、親書の交換がされたりしている[34][35]。超党派の日華議員懇談会を中心にして、議員外交も盛んに行われている。馬英九総統は日台関係を「特別なパートナーシップ」と位置づけ、経済貿易・文化・青少年・観光・対話の5つのテーマを主軸に交流強化を推進している。与野党政治家の往来も活発に行われている。

アメリカ合衆国
米台関係」を参照第二次世界大戦において同盟国として戦い、戦後も米華相互防衛条約を結んで同盟関係を保ってきたが、1979年に国交を断絶して同条約は失効し、中華人民共和国を「中国を代表する政府」として承認している。しかし、歴史的経緯から断交後も台湾を諸外国の国家および政府と同等に扱っており、「台湾関係法」「台湾旅行法」によって事実上の外交関係が維持されている。台湾関係法では、原子力協定や武器売却などの、1979年以前に両国との間で締結された条約を有効なものと認めている。米台間の大使に相当する者には外交特権が付与されており、与野党政治家の往来も活発に行われている。トランプ政権発足後は米台関係がより強固になり、2018年には、アメリカ合衆国下院において台湾との国交回復を求める決議案が提出された[36]バイデン政権の発足以降、米台関係はさらに強固なものとなり、2022年8月13日、中華民国外交部は台湾海峡の安全を維持している米国に感謝の意を表明した[37]
冷戦後の動向

李登輝総統(任期:1988年 - 2000年)時代に入り、中華民国政府は中華人民共和国の存在を「反乱団体による非合法行為」と規定しなくなったが、現在も中華民国を「『中国』の正統政府」とする主張は変えていない。そのため、中華民国国内では、「『中国』の正統政府」であることをやめ実効支配地域のみを統治する政府として国家を再編することで、中華民国の新たな国際社会復帰を模索する動きも活発化している。2005年8月1日には、陳水扁総統が「中華民国は台湾」と語っており、中華民国の国家としての定義は国内において二分している状況である。

さらに21世紀初頭では、中国大陸と台湾を統治することを前提とした中華民国の国家体制から脱却し、台湾のみの統治を前提とした国家を創出する台湾独立運動(台独運動、または台独)も活発化しており、そのことが問題をより複雑化している。もっとも、台湾においては、この問題に関するさまざまな意見が存在しているものの、少なくとも台湾が中華人民共和国に属するものではないという点では世論の大勢が一致している。そのため、中華民国の立法府たる立法院の議員は、主に「台湾の主権は中華民国に属する」とする泛藍派と、「台湾の主権は中国の国家には属さない」とする泛緑派(台独派)のいずれかに大別される。

世論調査では、「実質的に中国共産党による一党独裁国家であり、言論や思想、宗教選択の自由すら許されていない中華人民共和国」と完全に分離して、議会制民主主義体制が堅持されている現在の状況を維持したいとの意見が大勢であり、中華人民共和国との統一や中華民国体制からの独立を望む声は少数意見である。そのため、中華民国の世論は基本的には現状での安定志向にあると言え、各党も世論を配慮しながら政治活動を行っている。

アメリカ、イギリスなどの中華人民共和国と国交のある諸国の政府も、公式には中華人民共和国の唱える「一つの中国」政策を支持しているものの、大統領制議会民主国家を維持することを望む中華民国の国民の意向を尊重することと、中国共産党の一党独裁国家であり、言論の自由が抑圧されている中華人民共和国[38][39] によるアジアにおける軍事的覇権を牽制する意味からも、この状態の維持を事実上支持している。日本は中華人民共和国の唱える「一つの中国」政策を「理解し、尊重する」という表現にとどめ、承認しているわけではないが、中華民国との正式な国交はなく、事実上アメリカ、イギリスなどと同様の立場を取っている。第二次安倍政権下では台湾と中国が明確に別の国であるとして取り扱う事が多くなるなど、情勢の変化が起こっている[40]

2000年代後半に入り、中華民国と国交を有していた中央アメリカコスタリカが2007年に中華人民共和国と国交を開き、その他パナマニカラグアホンジュラスなどの中央アメリカ諸国も世界第二位の経済大国となった中華人民共和国との経済関係を重視する方針を打ち出しているが、中国国民党馬英九政権の立場を尊重する中国共産党の意向により、中華人民共和国はこれら経済的な関係の深まる中央アメリカ諸国との国交を樹立していなかった[41]


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