国名表記の「中華民国」は、中華民国政府による「一つの中国(China)を代表する主権国家」の認識に基づく。1971年に国際連合のアルバニア決議で中華人民共和国が「全中国を代表する主権国家」として承認されて以降、国際連合機関での「中華民国」(Republic of China)の表記の使用事例がなくなり、1984年サラエボオリンピック以後のオリンピックなどのスポーツ大会や国際機関は、Chinese Taipei(チャイニーズタイペイ、中華台北)を用いている。国際連合ならびに同加盟国の多くが、中華民国政府を「全中国を代表する主権国家」として承認せずに台湾地域を実効支配する中華民国政府と非公式関係を維持する、現状を認める名称である。世界貿易機関 (WTO) に「台湾・澎湖・金門・馬祖独立関税地域」(Separate Customs Territory of Taiwan, Penghu, Kinmen and Matsu)の名称で加盟し、Chinese Taipei とともに中華民国を表す名称として使用されている。
中華民国の国名や Chinese Taipei の名称について、20世紀末以降おもに台湾地域で反発が生じ、李登輝元総統(任期:1988年 - 2000年)をはじめとする泛緑派は、国号を中華民国から「台灣」(臺灣)へ改称することを推進する台湾正名運動を興している。「中国の政党」を自任する中国国民党を始めとした泛藍派は国号変更に反対し、国論を二分している。中華民国の民衆の国に対する意識も1990年代から変化し始めていると喧伝される。
中華民国政府は2003年9月以後、中華民国旅券に正式名称中華民国とともに TAIWAN を付記して発行している。2004年9月7日に中華民国外交部のスポークスマンは、「国交のない国に対しては「台湾」を強調することを最優先課題にし、将来的には国交を持つ国との間でも条約文書などで Taiwan を使用し、中華人民共和国との混同を避けるようにしたい」と話し、「9月7日の時点で行政院は、自国の略称として第一に R.O.C. 、第二に Taiwan 、第三に Taiwan, R.O.C. 、第四に R.O.C.(Taiwan)、第五に TPKM(台湾 Taiwan, 澎湖 Penghu, 金門 Kinmen, 馬祖 Matsu)を使用しているが、陳水扁総統の指示があれば使用順位を入れ替えて Taiwan を第一とする」とも話した。2020年の総統選挙で再選された蔡英文は、立候補時から中華民国台湾を使用して双方の立場に配慮している[9][10]。 日本語表記は中華民国。新聞社や通信社など多くのマスメディアでは「中華民国」ではなく「台湾」という表記・呼称を使用し、他の国家と併せて数える際は「地域」として中華民国(台湾)を国家に数えないこととしている[11]。 中華民国を「華」、台湾を「台」と略称する例もある。スポーツ関連では上記の通り「チャイニーズタイペイ」(中華台北)を使用することもある。これは主催する団体がチーム名としてこの表記を採用しているためである。旅行業界など経済・文化一般の呼称は大抵「台湾」表記を使用する。 日本国政府は、1972年以降中華民国を国家として承認していないが、サンフランシスコ講和条約において、台湾島一帯の領有権放棄後の帰属については言明していない。日中共同声明でも、日本国政府は中華人民共和国の立場を「十分に理解し尊重する」と表明したが、中華民国および台湾島一帯の地位については明確にしていない。 国旗は青天白日満地紅旗と称し、平等を表す白、自由を表す青、革命に献身した人々の血と友愛を象徴する深紅が配されている。 中華民国を国家承認する国は限られ、台湾域外の公的な場で掲揚される機会は少ない。オリンピックなどの国際的なスポーツ大会へ「チャイニーズタイペイ」として出場する際は、梅花旗を代用する。外省人国家の中華民国体制を解体して台湾本省人国家の建国を目指す台湾独立派に、青天白日満地紅旗を外来政権の旗と捉えて国旗と認めない者もいる。 中華民国の国の象徴
日本における国名表記
国旗掲揚される青天白日満地紅旗。詳細は「中華民国の国旗」を参照
国の象徴
国獣
タイワンツキノワグマ
国鳥
タイワンアオカササギ
ミカドキジ
国樹
クスノキ
国魚
タイワンマス
国花
ウメ
歴史詳細は「中国の歴史」、「中華民国の歴史」、および「台湾の歴史」を参照
1911年10月10日:武昌起義
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