中華民国総統
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中華民国総統は、憲法、憲法増修条文及び中央法規標準法の定めるところにより、立法院で可決された法律を公布し、命令を発することができ、並びに行政院会議(中国語版)の決議を経た緊急命令を発することができるが、これには発布後10日以内に立法院に提出して追認を得なければならない[注 24][73][74]。憲法増修条文の公布・施行後、緊急命令を発したのは、921大地震によって1999年9月に発した李登輝のみである(命令全文)[75][76]

戦争又は反乱が発生した場合、中華民国総統は、憲法及び戒厳法の定めるところにより、戒厳を宣布することができるが、これには立法院の可決又は追認を経なければならない。立法院が必要と認めた場合は、決議により総統に戒厳の解除を要請することができる[注 25][74]。憲法の公布・施行後、第二次国共内戦によって、?介石と李宗仁が、それぞれ1948年12月と1949年7月に2回に亘って全国に戒厳令を発した[注 26][79][80]

中華民国総統は、憲法及び赦免法の定めるところにより、大赦特赦減刑及び復権を行う権限を行使することができる[注 27]。憲法の公布・施行後、総統は、4つの特赦、8つの特定の対象に対する減刑、犯罪者減刑条例による5つの一般的な減刑を行った[82][83]

中華民国総統は、憲法、憲法増修条文、公務員任用法及び陸海空軍軍官士官任官条例等の法律の定めるところにより、文武官を任免することができる。例として、行政院長は総統により直接任命され[注 28]行政院副院長や各機関の首長、政務委員(中国語版)は行政院長が総統に提言して任命を求めるほか、司法院長(中国語版)・副院長(中国語版)、司法院大法官(中国語版)、考試院長(中国語版)・副院長(中国語版)、考試委員(中国語版)、監察院長(中国語版)・副院長(中国語版)及び監察委員(中国語版)は総統により指名され、立法院による同意権の行使を経て任命される。又、各機関の公務員の初任の簡任(中国語版)、薦任(中国語版)、委任(中国語版)官など[注 29]の公務員は、銓敘部(中国語版)の審定合格後、総統に任命の署名を求める。又、軍職の少将中将の階級が変更されて官職の異動が決定した者、法律に基づいて軍位の追晋又は追贈が決定した者は、管轄機関によって報告され、任免などの決定について意を求められる[注 30][74][88]

中華民国総統は、憲法、勲章条例及び褒揚条例の定めるところにより、勲章(中国語版)の授与や明文での褒揚(中国語版)、扁額の贈呈などから成る栄典を授与することができる[注 31][91][92]

憲法の定めるところにより、中華民国総統は、行政院、立法院、司法院、考試院、監察院の5院の間に紛争が発生した場合に、各院の院長を召集して協議解決することができる院間調停権を有する[注 32][93]。行政院は、立法院の可決した決議を施行困難と認めた場合は、総統の裁可を経て、決議案が行政院に送られてから10日以内に、立法院に送り戻して再審議を求めることができる。又、立法院が行政院長の不信任案を可決した場合は、総統は立法院長への諮問の上、立法院の解散を宣言することができる[注 33][74]
附属機関2014年現在の総統府の様子詳細は「総統府」および「国家安全会議」を参照

職権の行使の必要に応ずるに当たり、中華民国総統は、台北市中正区に幕僚機関として中華民国総統府を設置している[8][94]。又、総統府は、総統の命により府内の事務を総理し、並びに所属職員を指揮監督する秘書長(中国語版)を1人設けている。この他、総統府は、総統が任命する資政(中国語版)[95]、国策顧問(中国語版)[96]、戦略顧問(中国語版)[97]などの職務を設けており、国家の大計や戦略、国防関連事項の提言を行っている。現在、総統府下には3つの局と3つの室が設けられており、総統府の附属機関として中央研究院国史館及び国父陵園管理委員会[注 34]が存在する[注 35][8]

国家安全会議(通称「国安会」)は、中華民国総統の決定する国防、外交、両岸関係(中台関係)及び国家の重大な有事などと国家安全に関連する大政方針の諮問機関である。前身は1952年設立の国防会議で、1966年3月の臨時条款第3次改訂後、動員戡乱時期国家安全会議が設置され、1991年に憲法増修条文の定めるところにより、国家安全会議として再編され、1993年に正式法制化に至った[注 9][注 36][27][102][103]。国家安全会議は、総統を主席として、総統の令により国家安全会議の決議に従って会務を処理し、並びに所属職員を指揮監督する秘書長を1人設けている。この他、総統が任命する諮問委員という役職もある。現在、国家安全会議下には秘書処が設けられており、国家安全会議の附属機関として国家安全局(通称「国安局」)が存在する[注 37][103]
礼遇国家元首による官邸への出入り専用門である総統官邸一号門「中華民国総統官邸」も参照

憲法第52条の定めるところにより、中華民国総統は刑事免責権を有しており、内乱又は外患罪を犯した場合を除いて、罷免又は解職を経ない限りは、刑事上の訴追を受けない[注 38]

公務員俸給法及び総統副総統支給待遇条例の定めるところによれば、総統の月は2,700俸点[注 39]であり、現在の49万460新台湾ドルに相当する[104]。この他、政務加給もあり、その額は行政院がこれを定める[注 40]。退任後、中華民国総統は退任総統副総統礼遇条例の定めるところにより、毎月25万新台湾ドルの礼遇金を受け取る。又、退任後1年目は年間800万新台湾ドルの弁公事務費(事務所維持費)を受け取るが、毎年100万新台湾ドルづつ徐々に減額され、4年目には年間500万新台湾ドルまで減額されるものの、それ以上減額されることはない。又、政府は、退任した総統に対し、保健医療サービスと、国家安全局から8人から12人の安全護衛を提供する。上記の礼遇の有効期間と総統の任期は同一である[注 41][107]

勲章条例第3条の定めるところにより、中華民国総統は、任期中、国家の最高栄誉勲章である采玉大勲章を佩用することができる[注 42]

中華民国総統官邸は、現在、総統府と同じく台北市中正区に位置し、李登輝の時代から使用されている。現総統である蔡英文の維安コードネーム(維安代號)が「永和」であることから、「永和寓所」とも呼ばれる[108][109]
象徴詳細は「中華民国統帥旗(中国語版)」を参照

中華民国統帥旗(中国語版)は、中華民国総統が全国の陸海空軍を統率する旗である。


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