中華民国総統
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その後、司法院大法官(中国語版)が編成する憲法法廷(中国語版)で審理され、判決が確定すれば、弾劾された総統は即時解任されなければならない[注 19]。これまでに、総統が正式に弾劾された事例は存在しない。
代理と承継「中華民国総統職位継承順位(中国語版)」も参照

憲法及び憲法増修条文の定めるところにより、中華民国総統が何らかの理由で執務すること(職権を行使すること)ができない場合は、副総統がその職権を代行する。総統と副総統のどちらもが執務することができない場合は、行政院長がその職権を代行する。死亡、罷免又は弾劾により総統が不在の場合は、総統の任期満了まで副総統が総統の職務を受け継ぐ。総統と副総統のどちらもが不在の場合は、行政院長がその職権を代行し、憲法増修条文の定めるところにより、3か月以内に総統補欠選挙を行う。前総統が任期を終えた時点で後任の総統を選出していない場合や、選出後に総統と副総統のどちらもが就任していない場合は、行政院長が総統の職権代行を兼任する[注 20]

憲法の公布・施行後数年間、1949年1月21日に?介石が退陣したことで、初代中華民国副総統である李宗仁が代理総統を務めていたが、その後?介石は1950年3月1日、復帰を宣言し、李の代理総統の職務は自ずと解かれた[注 21][注 22][14]。その後、1975年4月5日に、第5代総統の任期中だった?介石が死去し、当時の副総統だった厳家淦が直ぐに総統の職務を受け継いだ。1988年1月13日には、?経国が第7代総統の任期中に死去し、当時の副総統だった李登輝が総統の職務を受け継いだ[45][68]
職権と附属機関
職権

憲法、憲法増修条文及び国防法の定めるところにより、中華民国総統は中華民国の国家元首とされ、外国に対して中華民国を代表する。又、同時に、三軍の統帥者であり、全国の空軍を統率する統帥権を行使し、並びに憲法の定めるところにより、条約の締結及び宣戦講和を行う権限を行使することができる[注 23][70]

中華民国総統は、憲法、憲法増修条文及び中央法規標準法の定めるところにより、立法院で可決された法律を公布し、命令を発することができ、並びに行政院会議(中国語版)の決議を経た緊急命令を発することができるが、これには発布後10日以内に立法院に提出して追認を得なければならない[注 24][73][74]。憲法増修条文の公布・施行後、緊急命令を発したのは、921大地震によって1999年9月に発した李登輝のみである(命令全文)[75][76]

戦争又は反乱が発生した場合、中華民国総統は、憲法及び戒厳法の定めるところにより、戒厳を宣布することができるが、これには立法院の可決又は追認を経なければならない。立法院が必要と認めた場合は、決議により総統に戒厳の解除を要請することができる[注 25][74]。憲法の公布・施行後、第二次国共内戦によって、?介石と李宗仁が、それぞれ1948年12月と1949年7月に2回に亘って全国に戒厳令を発した[注 26][79][80]

中華民国総統は、憲法及び赦免法の定めるところにより、大赦特赦減刑及び復権を行う権限を行使することができる[注 27]。憲法の公布・施行後、総統は、4つの特赦、8つの特定の対象に対する減刑、犯罪者減刑条例による5つの一般的な減刑を行った[82][83]

中華民国総統は、憲法、憲法増修条文、公務員任用法及び陸海空軍軍官士官任官条例等の法律の定めるところにより、文武官を任免することができる。例として、行政院長は総統により直接任命され[注 28]行政院副院長や各機関の首長、政務委員(中国語版)は行政院長が総統に提言して任命を求めるほか、司法院長(中国語版)・副院長(中国語版)、司法院大法官(中国語版)、考試院長(中国語版)・副院長(中国語版)、考試委員(中国語版)、監察院長(中国語版)・副院長(中国語版)及び監察委員(中国語版)は総統により指名され、立法院による同意権の行使を経て任命される。又、各機関の公務員の初任の簡任(中国語版)、薦任(中国語版)、委任(中国語版)官など[注 29]の公務員は、銓敘部(中国語版)の審定合格後、総統に任命の署名を求める。又、軍職の少将中将の階級が変更されて官職の異動が決定した者、法律に基づいて軍位の追晋又は追贈が決定した者は、管轄機関によって報告され、任免などの決定について意を求められる[注 30][74][88]

中華民国総統は、憲法、勲章条例及び褒揚条例の定めるところにより、勲章(中国語版)の授与や明文での褒揚(中国語版)、扁額の贈呈などから成る栄典を授与することができる[注 31][91][92]

憲法の定めるところにより、中華民国総統は、行政院、立法院、司法院、考試院、監察院の5院の間に紛争が発生した場合に、各院の院長を召集して協議解決することができる院間調停権を有する[注 32][93]。行政院は、立法院の可決した決議を施行困難と認めた場合は、総統の裁可を経て、決議案が行政院に送られてから10日以内に、立法院に送り戻して再審議を求めることができる。又、立法院が行政院長の不信任案を可決した場合は、総統は立法院長への諮問の上、立法院の解散を宣言することができる[注 33][74]
附属機関2014年現在の総統府の様子詳細は「総統府」および「国家安全会議」を参照

職権の行使の必要に応ずるに当たり、中華民国総統は、台北市中正区に幕僚機関として中華民国総統府を設置している[8][94]。又、総統府は、総統の命により府内の事務を総理し、並びに所属職員を指揮監督する秘書長(中国語版)を1人設けている。この他、総統府は、総統が任命する資政(中国語版)[95]、国策顧問(中国語版)[96]、戦略顧問(中国語版)[97]などの職務を設けており、国家の大計や戦略、国防関連事項の提言を行っている。現在、総統府下には3つの局と3つの室が設けられており、総統府の附属機関として中央研究院国史館及び国父陵園管理委員会[注 34]が存在する[注 35][8]

国家安全会議(通称「国安会」)は、中華民国総統の決定する国防、外交、両岸関係(中台関係)及び国家の重大な有事などと国家安全に関連する大政方針の諮問機関である。前身は1952年設立の国防会議で、1966年3月の臨時条款第3次改訂後、動員戡乱時期国家安全会議が設置され、1991年に憲法増修条文の定めるところにより、国家安全会議として再編され、1993年に正式法制化に至った[注 9][注 36][27][102][103]。国家安全会議は、総統を主席として、総統の令により国家安全会議の決議に従って会務を処理し、並びに所属職員を指揮監督する秘書長を1人設けている。


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