中華民国総統
[Wikipedia|▼Menu]
1947年(民国36年)12月25日、中華民国第二次国共内戦中に憲法を正式に施行し、国民政府中華民国憲法(以下、別段の注記等のない限り単に「憲法」という)の定めるところにより、中華民国政府に改編され、中華民国総統が国民政府委員会主席(通称「国民政府主席」)に代わって中華民国の国家元首となり、同時に、予備の元首として中華民国副総統が創設され、総統と副総統が権限を行使するために必要な機関として総統府が設置された[8][9]

1948年4月、憲法の定めるところにより、国民大会初代総統及び副総統選挙が行われ(総統及び副総統選挙は別々に実施)、当時の国民政府主席で[注 6]中国国民党(以下「国民党」という)所属の?介石が総統に当選した(副総統は同党所属の李宗仁[11][12]。1948年5月20日、?介石は中華民国の初代総統に就任した[13][14][15]

1948年4月、第1期国民大会第1回会議(中国語版)が南京で召集され、総統の権限を拡大し、規定の有効期間を2年半とする動員戡乱時期臨時条款(以下「臨時条款」という)が採択された[注 8][9][17][18][19][20]

1949年12月、国共内戦が中華民国政府にとって不利な情勢に転じつつあったため、行政院は緊急会議を開き、中央政府を台北遷すことを決定した。1954年2月、第1期国民大会第2回会議が台北で召集され、3月11日、第2回会議第7回大会で、代表らは臨時条款の効力を維持することを全会一致で決議した[19][21][22]。これ以降、国民大会は憲法上の総統再選制限の凍結や、総統に動員戡乱機構の設立権限を附与することなどを盛り込んだ臨時条款の改訂を4回行った[注 9][9][19][25][26][27][28]

1989年7月、国民大会は5回目となる臨時条款の改訂を決定した。しかし、この改訂内容は国民大会の権限を更に拡大させるものであったがために、立法院や民間の世論に不満を抱かせるものであった[29][30][31][32]。1990年3月、国立台湾大学などの学生らが野百合学生運動を起こし、「臨時条款の廃止」や「国是会議の召集」などの要求を掲げた[33][34]。1990年5月、第8代総統就任直後の李登輝(国民党所属)は就任記者会見で「国是会議を召集し、1年以内に動員戡乱時期を終了させ、臨時条款を廃止して正常な憲政体制に戻す」とした民主化プロセスを公表し、1991年4月、第1期国民大会第2回臨時会議が台北で召集され、臨時条款の廃止提案が可決[9][35]、李が国民大会の表決結果に基づいて1991年5月1日に臨時条款を正式に廃止したことで、動員戡乱時期は終結した[9][36][37][38]

臨時条款の廃止以外にも、李登輝は総統在任中に、本来の憲法構造を変えないとする原則の下、一部の憲法の条文の改正や凍結を行う中華民国憲法増修条文(以下「憲法増修条文」という)の制定を主導した。1991年の第1期国民大会第2回臨時会議で初の憲法改正が行われて以来、7回の憲法改正が行われた[9][39]。改正後、総統選挙と副総統選挙は別々の選挙から統一され、選挙方法は国民大会による間接選挙から人民による直接選挙に変更され、任期は元来の6年から4年に変更され、同時に総統には緊急命令を発する権限が与えられ、立法院の同意無しに行政院長の任命が可能となった[注 10][9][42][43][44]

1996年、李登輝は同党所属の連戦をパートナーである副総統候補として、第9期総統選挙に於いて、民主進歩党(以下「民進党」という)所属の彭明敏(副総統候補は同党所属の謝長廷)、国民党を離れて出馬した林洋港(中国語版)(副総統候補は無所属?柏村)、陳履安(中国語版)(副総統候補は王清峰(中国語版))を破り、初の全民直接選挙による総統に当選した[45][46][47]

2000年に行われた第10期総統選挙では、民進党推薦の陳水扁(副総統候補は同党所属の呂秀蓮)が、国民党推薦の連戦(副総統候補は同党所属の蕭万長)、国民党を離脱して出馬した前台湾省長の宋楚瑜(副総統候補は無所属の張昭雄(中国語版))、新党推薦の李敖(副総統候補は同党所属の馮滬祥(中国語版))、民進党を離脱して出馬した許信良(副総統候補は新党所属の朱恵良(中国語版))を破って総統に当選し、1948年以来の国民党による長期政権が終わり、中華民国の憲法施行以来初の政権交代が実現した[48][49][50]。その後、2008年には国民党、2016年には民進党所属の候補者が総統に当選し、政権交代を果たしている。

中華民国では憲法施行以後、これまでに3回の政権交代が行われている[51][52]
職位の更迭
選挙詳細は「中華民国総統選挙」を参照

憲法、憲法増修条文及び総統副総統選挙罷免法の定めるところにより、中華民国総統は、中華民国自由地区選挙区として、満20歳に達し、後見宣告を受けておらず[注 11]、中華民国自由地区に6か月以上継続して現在居住している、或いはかつて居住していた自由地区の人民による普通、平等、直接及び秘密投票の選挙によって選出される。中華民国の国籍に戻った者や帰化によって国籍を取得した者を除き、戸籍の作成から15年以上経過し、且つ、満40歳に達した者は、中華民国総統の候補者として登録することができる[注 13]。選挙参加の登録を行う場合は、総統候補者は副総統候補者と連名で登録し、且つ、政党が推薦し、又は連署者が連署する[注 14]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:316 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef